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新潟中越地震、小泉首相の対応は
2004/11/14

 10月23日6時56分、新潟県北魚沼郡川口町川口(東京青山、震度3)で震度7(マグニチュードは6.8)の地震が発生した。

 阪神・淡路大震災と同じ震度7の地震だが、11月10日までに震度5弱以上の揺れが15回観測されるなど、大きな余震が続いている。

 阪神・淡路大震災への初動対応の遅れで批判された村山富市内閣の反省のもとに、『災害対策基本法』は、「災害発生時の情報収集体制及び内閣総理大臣等への情報連絡体制を整備」と「内閣総理大臣を本部長とする『緊急災害対策本部』の体制強化や本部長の権限の強化等」を内容とした、全面的な改正を行った。

 今回の新潟中越地震では、「災害発生時の情報収集体制及び内閣総理大臣等への情報連絡体制」は有効に機能し、政府関係者の初動の対応は早く、地震発生の4分後には、首相官邸の危機管理センターに「官邸対策室」が設置され、10分後には第17回東京国際映画祭のオープニングセレモニーに出席していた小泉首相に、連絡が届いた。

 しかし、小泉首相は、すぐに会場を後にすることは無かった。小泉首相が腰を上げるまでに、震度5弱以上の揺れが8回も起きた後の午後7時8分、実に地震発生後から72分後だった。官邸・消防庁・自衛隊等の初動対応とは対照的だった。

 震災発生から13時間54分後の10月24日、村田吉隆防災相を本部長とする「新潟県中越地震非常災害対策本部」が設置された(阪神淡路大震災時は、4時間14分後)。しかし、内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部は、11月10日現在にいたるも設置されていない

 『緊急災害対策本部』の設置要件を、政府は、阪神・淡路大震災や関東大震災などの都市における直下型大震災を想定しているが、『災害対策基本法』は、第28条の2で『著しく異常かつ激甚な非常災害が発生した場合において』と規定している。

 前述したように、今回の震災は、震度5弱以上の揺れが15回(11月10日現在)も続き、住宅の浸水や土石流災害が心配される天然ダムなどは、『著しく異常』に該当するのではないかと思われる。大都市で起きた震災と違い山間部で発生した今回の地震の被災者は、人数こそ比べれば少ないかもしれないが、何十万分の一であろうと何万分の一であろうと、被災した個人にとっては「被災率100%」である。

 小泉首相は、10月26日(この日は、衆議院本会議で新潟中越地震の集中審議を行ったが、小泉首相は欠席した)に現地視察を行い、翌27日の党首討論に臨み、「いろいろな要望にどの程度こたえることができるかということに対しましても、地方の、地元の団体そして政府関係府省、緊密に連携をとりまして、どのような支援ができるかと、同時に、できるだけ支援者の声にこたえるような対策を練っていきたい」「さらに、現地に行って私が感じたことでありますけれども、・・・地方公共団体の防災担当者も支援ができるのではないかという声を聞いておりますので、当該新潟県のみならず、自衛隊、消防、警察のみならず、関係地方団体のいわゆる防災担当者も新潟の支援担当者を支援する態勢ができないかということで、総務大臣にも、各地方団体に協力を要請しろと。もういろいろな声を率直に伺って、何ができるか、何をしなければならないかということを、これは与野党の立場を超えて、協力して考えていかなきゃならないと思っております」(46分中、新潟中越地震に触れたのは4分18秒〈約9%、1156文字〉)と述べ、具体策は提示しなかった。

 映画見たさとしか思えない、小泉首相の初動の対応。衆議院本会議での新潟中越地震集中審議の欠席。被災地視察後の党首会談での、「どのような支援ができるかと、同時に、できるだけ支援者の声にこたえるような対策を練っていきたい」の発言。土曜日とはいえ、10月30日に3時間近くかけて、福田康夫前官房長官の長男の結婚披露宴に出席などの行動が、適切な救援ができず、防げたであろう二次災害を拡大したのではないかと思えて仕方がない。

 また、自衛隊が被災者支援や応急復旧で活動をしているが、11月7日、小泉首相が出席した、自衛隊50周年記念観閲式には、約4200人の自衛官、戦車や装甲車など約230両、戦闘機や対戦車ヘリなど66機が動員された。陸・海・空の3自衛隊は、66機が6日間の訓練と観閲式飛行で、延べ飛行時間約680時間を費やした。これらを災害対策に向けられたら、地震関連死が、倒壊を免れた住宅が、錦鯉が、牛が等々、もっと救済出来たのではないかと思わずにいられない。

 自衛隊が設営した宿泊用テントの利用が始まったのは10月30日、地震発生から7日目だった。当初自動車内に避難して寝泊まりする人が多く、エコノミークラス症候群が原因と見られる死亡者がでた。また、崩落した土砂が川の水をせき止め、“天然ダム”が45か所出現、このうち全村民が避難している山古志村だけで32か所に上った。(国土地理院、11月2日発表)

 天然ダム対策は、山古志村種苧原地内和田川の堰止められたカ所を応急復旧し、10月28日、湛水状況を解消した。しかし、山古志村の芋川流域の『天然ダム』5カ所は規模が大きく、倒壊をまぬがれた住宅を水没させてしまった。芋川流域の山古志村寺野地区、東竹沢地区の砂防事業について、緊急的に国が、直轄で実施することとし、「中越地震復旧対策準備室」を設置したのは、地震発生から13日後の11月5日だった。

 総理大臣(本部長)の権限の強化した『緊急災害対策本部』や『緊急災害対策現地本部』を設置し、自衛隊の宿泊用テントを24日から利用していたら、天然ダムの水量が少ないうちに通水路を確保していれば、との思いが募る。

 中央防災会議は(小泉首相が委員長)、『国民の生命・身体・財産を保護することは国政の最も重要な責務』と規定している。また、首相は、緊急・非常災害対策本部の設置、緊急・非常災害現地対策本部の設置など、災害発生時に重要な役割を担ってる。首相の危機管理意識が問われている。

 これからも起こるであろう余震による被害、積雪対策など、早急に行わなければならないことは山積みで、阪神・淡路大震災の教訓を生かし、改正された災害対策基本法などを有効に生かし、対処して欲しいものだ。


《参考》
「政府は95年以降、緊急事態に備えた政府はマニュアルで『東京23区内で震度5強以上の地震が発生した場合。その他地域で震度6弱以上の地震が発生した場合』に官邸対策室を設置するよう定めている」(毎日新聞 2004年10月24日 東京朝刊)

【災害対策基本法】
(非常対策本部の設置)
第24条 非常災害が発生した場合において、当該災害の規模その他の状況により当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、内閣府設置法 第40条 第2項の規定にかかわらず、臨時に内閣府に非常災害対策本部を設置することができる。

第24条の5 非常災害対策副本部長、非常災害対策本部員その他の職員は、内閣官房若しくは指定行政機関の職員又は指定地方行政機関の長若しくはその職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。

(緊急災害対策本部の設置)
第28条の2 著しく異常かつ激甚な非常災害が発生した場合において、当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、内閣府設置法 第40条 第2項の規定にかかわらず、閣議にかけて、臨時に内閣府に緊急災告対策本部を設置することができる。

(緊急災害対策本部の組織)
第28条の3 緊急災害対策本部の長は、緊急災害対策本部長とし、内閣総理大臣(内閣総理大臣に事故があるときは、そのあらかじめ指名する国務大臣)をもつて充てる。

 次のページに時間の経過と小泉首相の行動を整理した(時間の『ごろ』表記は省略した)。

(北誠)

     ◇

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[5133] 憶測情報
名前:愛蔵太
日時:2004/11/16 20:20
>早稲田の水島教授も批判されていました。

早稲田の水島教授は、平和憲法の人なので、やはり小泉氏(というか自民党やその党首)とはあまり意見が合わないかも。ということで、その「視点」はかなり「平和憲法視点」なんじゃないかと。「早稲田の水島教授も」ではなく「早稲田の水島教授は、やはり」のほうが正しいでしょうか。

↓「水島朝穂」でgoogle検索
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&c2coff=1&q=%E6%B0%B4%E5%B3%B6%E6%9C%9D%E7%A9%82&btnG=Google+%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=

>当日映画祭に未練たらたらだった訳は なんと松たか子!

↓それは、水島氏のサイトを見た限りでは、そういう情報を流した「週刊新潮」の記事を紹介しているだけですね。
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2004/1101.html

>>
私は、首相が山田監督の舞台挨拶になぜ、そんなにこだわるのかな、と思っていたら、「大好きな松たか子の舞台挨拶を見たかったから…。実際、舞台にいる松から『小泉さん、こんばんは』と声をかけられ、満面の笑みで応じていた」(『週刊新潮』2004年11月4日参照)という文章を読んで、なるほどと思った。
<<

割と検証的なことについてはしっかりやっている人のように思えるのですが(沖縄のヘリ墜落事故など)、情報源が一つしかない場合は、あまりそれだけで「なるほど」と思わないほうがいいかな、と思いました。

松たか子さんが舞台挨拶で「小泉首相こんばんは!」って言ったのは、だいぶ複数の情報源がありますが。

↓「松たか子 小泉首相」でgoogle検索
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&q=%E6%9D%BE%E3%81%9F%E3%81%8B%E5%AD%90%E3%80%80%E5%B0%8F%E6%B3%89%E9%A6%96%E7%9B%B8

↓こんなサイトを見ると、「あー、ソースロンダリング、やってるやってる」な気分になります(innernetblog 心網付録)
http://blog.melma.com/00067106/20041103010047

>>
山田洋次監督の挨拶を聞きたくて映画祭会場にとどまったなんて公式発表は真っ赤なウソで、結局、贔屓(ひいき)の松たか子が舞台挨拶に出るのを見たかったんだ、あいつ!
<<

俺に確認できる限りでは、「小泉首相は、松たか子の舞台挨拶の時にはそこにいた」ぐらいで、「舞台挨拶が見たかったからそこにいた」という憶測情報の元ネタは週刊新潮だけだったのでした。
[5107] あきれてものがいえない
名前:谷中レイ
日時:2004/11/15 23:29
詳細な検証、ありがとうございます。マスコミはほとんど追求していませんが、この一件はもっと糾弾されてしかるべき事だと思います。

首相日は地震当日の午前中。台風被害、難問山積の国際情勢の中、音楽鑑賞をされていた。

早稲田の水島教授も批判されていました。当日映画祭に未練たらたらだった訳は なんと松たか子! http://www.asaho.com/jpn/index.html
「危機」における指導者の言葉と所作 2004年11月1日 より

こんな人が日本のリーダーだなんて、ブッシュを選んだアメリカを笑えない。


[5083] ありがとうございます。
名前:白沢すいか
日時:2004/11/15 06:24
北誠さま
早速、ありがとうございました。

先日の「中国籍らしい」原潜が日本の領海内を航行していたときも、大きく遅れた総理への報告時刻が「午前八時」になっていました。

午前八時までは彼の「プライベートタイム」なので、報告は秘書官から止められているのでは?と勘ぐりたくなっていたのです。

土曜日で「プライベートタイム」だったから公邸にもどったのですかね(苦笑)。
[5068] RE:なぜ、公邸に向かったのか?
名前:北誠
日時:2004/11/15 01:35
23日18:06には、地震の規模を知らせらされ、その足で官邸に戻れば一本道で2キロメート強、車で10分間ぐらいで戻れます。
しかし、逆方向で、4キロメートル弱、約20分間掛かった東五反田の仮公邸に帰りました。

その後、小泉首相は、20:20に、村田防災担当相から電話で、先遣隊派遣についての指示を受けるべく相談を受けています。
このことから見ても、10分足らず出戻れる官邸に戻り、手早く先遣隊派遣の指示をするぐらいの危機管理意識があれば、批判された村山政権より早い非常災害本部の設置ができたのではないかと思います。

いや、もっと首相の権限が強い、首相の強いリーダーシップがとれる緊急災害対策本部および緊急災害対策現地本部を設置し、エコノミークラス症候群によると見られる死亡者や地震に因るダムによる被害拡大が防げたのではないかと考えられます。

翌、24日(日曜日)は、午前中仮公邸で過ごし、昼にパウエル国務長官との会談に1時間ほど費やし、その後、公邸に戻り、夜8時20分からの新潟県中越地震関係対策会議に出席のために1時間ほど費やしたのに留まりました。

この姿勢は、衆議院本会議での、新潟中越地震集中審議を欠席して現地視察を行っても、翌日の党首会談で『トイレ』の言葉が出ても、『エコノミークラス症候群によると見られる死亡者対策としてトイレを緊急に増設と飲料水の供給を増やすよう指示した』等の具体策は述べなかった。

小泉首相は、沖縄の米軍ヘリ墜落事故のときも、事故発生から約30分後に同じ六本木ヒルズで映画「ディープ・ブルー」観賞後、六本木ヒルズを散策しています。

さらに、九州地方以北・東北地方以南のほぼ全国に豪雨をもたらし、死者等の被害をもたらした梅雨前線及び台風6号で雨が降る中の2002年7月10日、小泉純一郎氏は東京NHKホールでオペラ『オテロ』を観賞し、インタビューに「外の台風を忘れて魅入られた」などと答える等、(小泉首相の夏休み〜休暇優先で、国民の生命・財産は守れるのか!参照)
今回に限らず 、国民の生命・財産が危機にさらされた時に、オペラや映画を見続けています。

私は、単に小泉首相の姿勢、何かしなければ居られないと思う誠実さの有無の問題が、仮公邸に戻った理由ではないかと思います。

もう一歩踏み込めば、東京国際映画祭のオープニングセレモニーでの挨拶を『文部科学大臣』でなく小泉首相なのか、挨拶の内容から推測すれば公私混同しているのかとさえ思えます。
[5057] 疑問に思っていたのですが
名前:白沢すいか
日時:2004/11/14 20:06
東京国際映画祭を出た後の小泉総理が、「首相官邸」ではなく「仮公舎」に向かったのは何故だったのでしょうか。
メディアでの解説を観た覚えが無く、ずっと気になっておりました。
何方かお教え願えれば幸いです。
[5035] 村山さんのときと比べてみると面白いですね
名前:愛蔵太
日時:2004/11/14 11:31
こんなところなど。

http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Bull/9881/sinsai.htm
>>
韓国より遅れて対策本部作った村山、ダイエーより対処遅れた村山♪

人命救助のヘリの着陸は禁止しておいて、自分が視察の時には陸上競技場にヘリで降りた村山♪

米軍の援助断って被災者見殺しにした村山♪

記者になんども現地入りを促されても突っぱねて逆切れの村山♪
<<

うーむ…昔のことなのでよく覚えてません。

今回の件では「党首討論1日延ばしても、現地視察に時間を取ってもよかったかも」とは思いましたが、そうできなかった事情に興味を持ちました。

メディアリテラシーの「報道に対する十箇条」、

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%E1%A5%C7%A5%A3%A5%A2%A5%EA%A5%C6%A5%E9%A5%B7%A1%BC

>>
8.メディアの人間がアクシデントに対しどんな対応をするか見極めましょう。
<<

についても考えたり。