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群馬 動物 NA_テーマ2
ぐんま昆虫の森:税金の無駄遣いか、学習の為か
2006/01/15

 群馬県新里村に群馬県立「ぐんま昆虫の森」が昨年8月オープンし、半年が経過したが、入場者数も目標を達できず、県は「学習の場と考え、採算は度外視している」というが、税金の無駄遣いの感もする。

 園の広さは48haで、大部分が雑木林からなっているが、総事業費は約80億円、そのうち約44億円をかけて目玉施設として安藤忠夫さん設計の昆虫観察館があり、その中に西表島の環境を再現して、40種類800匹のチョウを放し飼いしている。育成室もあり孵化させてもいる。

 フィールドは雑木林、畑、富士沼ゾーンからなっており、里山を再現している。昆虫を観察したり、採取して実験、学習するコーナーもあるが、終われば昆虫は放される事になっている。

 しかし、この施設は大人400円、大学、高校生は200円、中学生以下は無料であるが、入場者数も当初計画の目標数1000人/日を大きく割れ、年間約3億円の赤字が予想されていると言う。
 事業者である県は「人を集めるには目玉となる施設も必要であり、独立採算をしなければならない施設でもなく、総合的な学習の場と考えている」と言うが、現場には目玉施設自体の説明も、この事業にどのくらいの費用をかけているかの説明もない。県民に公開する義務があると思うが……。

 何故、群馬県に西表島の環境が必要なのかとの問いに、「群馬には里山、山など見慣れた自然が多くあるが、改めて見ようとする人はほとんどいない。そこで他の場所の環境と比べることにより良く分かってくる。環境が変わると生物もこれほど違うということを実感して欲しいと考えた」との園長のメッセージが張り出されていた。

 知人である指導員の案内でフィールドに出た。今の時期は昆虫も木の皮、枝、葉の裏や落ち葉の中で冬眠している。カブトムシの幼虫やオオムラサキなど多くのものを見ることが出来た。又、初めて冬虫夏草(昆虫の死体から発生するキノコ)も見たし、面白いものでは鳥が後で食べようとしたのか木の枝に突き刺していた昆虫が黒く干しあがっていた。指導員がいなければ分からない生態がほとんどであった。

 一人で見学していると、ほとんど気が付かないことばかりで、こんな事にどうして多額の投資をするのか誤解されるのが怖いと指導員は言う(昆虫に興味を持つキッカケを持つには、指導員の説明は必要である)。

 私達の周りにも里山はあるが、手入れが行き届かず荒れ放題で、昆虫の種や数が少なくなり、川にはメダカもいなくなった。昆虫や動物への環境影響は、長期的に見れば人間にも影響が出てくる。自然を観察し、学習する大切さは充分分かるが、巨大な温室での西表島の環境と比較する施設への巨額の投資には驚いた。

 「学習の場を提供するのであるから採算は度外視している」というお仕着せ施設には何故かお役所仕事の感が抜けない。民間的な感覚でやれば、もっと安く提供できたのではないかと思う。このツケは県民に来る。

ぐんま昆虫の森
http://www.giw.pref.gunma.jp/view/servlet/IncectTop

(矢本真人)

ぐんま昆虫の森 昆虫観察館 安藤忠雄氏設計(この中に生態温室がある)=群馬県新里村(2006年1月13日 矢本真人撮影)







西表島と同じ環境の温室に飛ぶクロアゲハ(2006年1月13日矢本真人撮影)







ヤンマタケ 冬虫夏草(昆虫の死体から発生するキノコ)。飛散しないようにプラスチックのケースがかけてある。雑木林ゾーンで矢本真人 2006年1月13日撮影)