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150の産廃処分場に悩む那須塩原市に、また巨大計画
2006/08/01

 栃木県北部に広がる那須野が原は、一時期首都機能移転の候補地にされたほどの環境の良い地域です。特に酪農は全国的にも有数の規模を誇り、「那須」の地名をつけた牛乳は広くスーパーやコンビニの棚に見ることが出来ます。

 私は8年前から那須塩原市に家を構えていますが、7月初旬に近くの那須疎水沿いに「産廃絶対反対」のノボリ旗が並んでいるのが見えました。早速調べてみると、100年間埋め立てを続けられるほどの、巨大なゴミ捨て場建設が計画され、既に東京の業者は土地を購入済みとのことです。

 那須塩原市には、計画も含めると150箇所を超える産廃処理場がありますが、さらに28万平方メートルの森林が伐採され、深さ36メートルの処理場が出来そうなのです。樹木の伐採、掘削に13年。埋立て期間100年と言う気の遠くなるような話です。これ以上の産廃処理場の増加は、「人と自然がふれあうやすらぎのまち」を標榜する当市の未来像を破壊するとともに、大きなリスクを将来にわたり背負うことになると感じています。

 また、計画地に接して流れる日本3大疎水の1つである那須疎水は、市民の重要な飲料水でもあります。明治時代からこの水によって那須野が原の開拓は進み、現在もこの水によって農業は成り立っているのです。市民の不安が怒りとなって噴出しても決しておかしくはないでしょう。

 7月8日には、約400人が参加して「産業廃棄物施設反対総決起大会」が開かれ、これ以上の受け入れは断固阻止する姿勢を示しました。
 
 しかし、なぜ那須塩原市にこれほどごみ処理場が集中するのでしょうか。これには2つの理由があります。1つは良好な交通アクセス。首都圏から比較的近距離にあり、国道4号線や東北自動車道などの幹線道路が走っていること。国道から処理場までは、県道を利用してごく短時間に到着できるのです。

 また、那須野が原は那珂川の扇状地であり、山から運ばれた砂利の堆積によって出来ているため、掘れば直ちに良質な砂利が採取できます。そのため森に少し分け入れば、大小様々な規模の砂利採掘場が見受けられます。砂利を取り終わった採掘跡が産廃処理場には絶好の穴となるのです。

 この計画に対し那須塩原市は、一自治体として負うべき社会的責任を既に十分過ぎるほどに果たしてきたとして、許可権者である栃木県知事に対し「本市内へのこれ以上の産業廃棄物処理場の設置は、本市が描くまちづくりに破綻をきたすものであり、到底容認できるものではない」旨の意思を表明したうえで、総量規制を導入するよう要望書を提出しました。

 しかし、栃木県としては県内で発生する管理型の廃棄物(*1)のすべてを県外処分していることもあり、安定型品目(*2)の処分場を県内に作ることに対しては一定の配慮をしています。そして、特定の地区に処理場が集中することを規制する総量規制には、手をつけていません。
 
 1998(平成10)年に那須地方を襲った豪雨は、この地を濁流で覆いました。増水した那珂川の水は、河口の町にまで影響を及ぼしました。恐怖の記憶は住民にとっていまだに生々しいものがあります。「産廃処理場での事故が相次ぐ今、もし再びこのような災害が発生したとしたら、とりかえしのつかないことになる」私は、周辺の自治体と住民が連携をとりながら広域反対組織を作り上げた意識の中に、このときの記憶が生きていたと思います。

 本計画によって浮き彫りにされた産廃処理問題への対応は、栃木県の将来に大きな影響を及ぼす試金石となるでしょう。全国的に問題となった香川県豊島の産廃場の12倍という、日本有数の巨大な計画の今後に引き続き注目していきたいと思っています。


*1 管理型廃棄物 埋立てた時にしみだす水が、地下水などを汚染する可能性のある廃棄物。
*2 安定型廃棄物 廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラス・陶磁器くず、建設廃材等で有害物質が溶け出さない廃棄物。

(佐藤政信)

     ◇

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那須疎水から予定地の森を経て那須岳を望む







はるかに続く予定地の森







周辺に建てられた反対の看板




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[20479] ニンビー(NIMBY)
名前:矢山禎昭
日時:2006/08/02 09:00
 公共のために必要であることはわかるが、自分の居住地域内にもってくるのは反対!(Not-In-My-Back-Yard)というのでニンビー(NIMBY)といわれますね。産業廃棄物埋立処分場や処理施設、ごみ焼却場などの建設では各地で問題になります。


 よく住民エゴ、地域エゴといわれますが、よそで発生する産業廃棄物の処分を地域住民がかぶるわけです。問題の根は深く、施設ができて便宜を受ける人(受益者)と反対に迷惑をこうむる人(被害者)とのあいだにギャップがあるかぎり、なくならない問題です。

 
 安全性や環境保全に万全を期することはもちろんですが、地方税減額、跡地を利用して森林公園をつくるなど、地元への還元策を計画に組み入れる必要があると思います。法改正も伴い、各地で必ずといいぐらいに起こるので国会でとりあげるべき問題であると思います。