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東京 裁判 防災・復興
まちづくりに多様な市民の参画を:ふえる原告・下北沢訴訟
2007/02/22

 小田急線地下化を機に急浮上した道路計画をめぐって、いま、東京・下北沢が揺れています。「防災のために必要」とする世田谷区や、再開発賛成の市民に対して、さまざまな疑問が提起されました。

 道路の事業計画の認可取り消しを求める「まもれシモキタ!行政訴訟」は、原告がふえています。2月17日夜、まもれシモキタ!行政訴訟の会では説明会を開催、道路計画や再開発に疑問を持つ多くの市民で会場はあふれました。(写真はすべて、クリックすると大きくなります)


原田学さん




下平憲治さん。手にしているのは世田谷区作成の防災マップ。



赤(10号線)とオレンジの部分(54号線)が、第1期(事業認可)区間。黄色い部分は茶沢通り(この地図は、上が「北」です)。



構造図(設計図)(1):この図は、下が「北」になっています。



構造図(設計図)(2):この図は、下が「北」になっています。



 説明会ではまず、原告団長の原田学さんが挨拶、「60年前の道路計画が、いま、なぜ急浮上したのか疑問だ。私のような地権者にも殆ど説明は無かった。行政は“よかれ”と思っているかもしれないが、お上の押し付けではないのか」(筆者要約)と、あらためて道路計画への疑問を呈しました。

 金子賢三さんと共に、Save the 下北沢の共同代表をつとめる下平憲治さんは「いんちきな手続きによって道路計画が実施され、まちが壊されてはたまらない。区の作成した防災マップを見ると、再開発の計画地域は“安全”ということになっている。下北沢駅周辺は、1980・90年代に建物の建て替えがすすみ、耐火建築率は高く、路地が多く、来訪者が多い現在でも、防災上、大問題はないのではないか」と、あらためて問題点を指摘しました。

 このほか説明会では、石本伸晃弁護士らが、道路事業/再開発をめぐって様々な問題点を指摘しました。活発な意見交換も行われたので、説明会の内容を抜粋・要約してここにお伝えします。

形式的だった市民参加
 下北沢の街づくりについては、1984(昭和59)年から120回にわたって、地元4町会、4商店会による「街づくり懇談会」が開催されました。しかし、懇談会の参加者がごく限られていたため「形式的な市民参加に過ぎなかったのでは」という疑問がひろく呈されています。

 再開発の問題が明らかになって以後、下北沢フォーラムSave the 下北沢下北沢商業者協議会などの市民団体は対案を示し、世田谷区行政との間に対話を求めました。しかし結果として区政は対話を拒否、都市計画審議会会長(当時)らの疑問を押し切って、昨年の10月に都市計画が強硬に決定されたという経緯を持っています。

 都市計画は、1・建物の高さ制限を大幅に緩和(地区計画の変更)、2・幅26mの道路造成、などを定めました。しかし、下北沢の再開発には多くの市民が疑問を感じています。対案を提示し、行政との話し合いの場を求め続けてきた市民は、昨年の9月に道路事業の認可差し止めを求めて「まもれシモキタ!行政訴訟」を提訴しました(計画の一部が東京都に認可されたことで、原告は訴状内容の変更を行ないました)。

道路事業の問題点
 道路(補助54号線・区画街路10号線)は、もともと戦災復興計画の中で計画され、マッカーサー道路と俗称されていたものです。東京(23区)は第二次世界大戦後の財政難などから、たびたびにわたって都市計画の実現をはばまれており、あちこちに眠った道路計画があります。

 私見を述べれば、そのことは悪いことばかりではないのです。近代的な都市計画には、ジェーン・ジェイコブスらの批判があります。 

 関連記事:まちに混沌の復権を
 関連サイト:
東京の都市計画の変遷
都市計画理論(都市計画:ウィキペディア)
ジェイコブスの原則
http://www.dbj.go.jp/japanese/download/pdf/affairs/affairs08.pdf など)

 26mもの幅員は、小田急線を高架化する予定に対応していました。しかし、地下化工事が行われている現在も変更されていません。2期3期の事業予定区間は、住宅街を貫き、大気汚染や振動、騒音、小学校区の分断などの環境悪化が懸念されます。あちこちに立体交差を設ける計画なので、日照にも大きな影響があるでしょう。

 1期には110億円もの、1〜3期で310億円もの事業費を見込んでいます。しかし、道路計画予定地や周辺ではすでに地価高騰が始まっています。どれだけの事業費がかかるのかは明らかではありません。公共事業なのに、費用対便益の分析も行われたのかどうか疑問です。

 また、都が事業認可した1期工事区間は、補助道路としての目的を果たせず、下北沢のまちを高層化するために認可された区間だと考えられます。まちの高層化が下北沢のまちにふさわしいかどうか、世田谷区などは広範な意見聴取をしていません。疑問を持たれている“再開発”のための道路なのです。

 世田谷区は、道路事業の立案に必要な交通量の調査も不十分にしか行っていないのではないかと思われます。並行する井の頭通りは2008(平成20)年度末までに拡幅される予定です。その効果や、小田急線地下化による開かずの踏み切りの解消もあります。ですから、あたらしい道路が必要なのかどうかは疑問です。小田急線地下化跡地の、公的な有効利用活用も未定と言われます。

 「まもれシモキタ!行政訴訟」では、昨年11月20日に第一回の口頭弁論、本年1月29日に第二回の口頭弁論が行われました。第三回は4月23日に予定されています。下北沢の再開発問題をめぐって、世田谷区行政や区議会は民主的に機能せず、市民の疑問に応えませんでした。まちづくりに民主的な手続きを導入するには、あとは裁判しか手段がありません。より多くの人々の賛同を求めて「まもれシモキタ!行政訴訟」では、ひきつづき2月末まで原告を募集しています。

(石井真哉)

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特集:東京・下北沢が危ない!
特集:都市再開発を考える

関連サイト:下北沢(ウィキペディア)、など