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神奈川県鎌倉市の大船観音前マンション開発問題で、県開発審査会が1月4日付で「鎌倉市の開発許可は違法」と、2度目の取消しをしてから3ヵ月半以上が過ぎた。しかし、未だ問題解決の方向は見えないままだ。 1月26日に、マンション建設工事のために取り壊された階段状の市道の原状回復を早急に行う、と市側は住民説明会で明らかにした。復旧工事費2000万円の補正予算も市議会で認められたが、全く進展していない。 「原状回復するわけに行かない。所有する土地が道路に接続しなくなり、建物が建てられなくなる」と事業者の代理人。県開発審査会の裁決取り消しを求める訴訟の準備を進める一方、新たな開発許可申請、鎌倉市に対する損害賠償請求の訴訟も考えているという。 事業者の所有地に接する市有地の石積み擁壁を、鎌倉市が道路と見なし最初の開発許可を出したが、2005年12月、県審査会が1度目の審査で「道路法上の道路ではない、現状は石垣積みの擁壁であって道路状にはなっていない」として、開発許可を取り消した。 ところが、2006年11月、近隣地主と争われていた市有地に関連した東京高等裁判所の民事訴訟で鎌倉市が勝訴したということで、市が市有地を階段道路だった市道に編入、接道要件が整った形になっているのだ。 「大船観音前マンション問題にとりくむ市民会議」(代表世話人・星野芳久さん)は、階段状の市道だけでなく、石積み擁壁もあわせて原状回復を求めている。「実体として、道路ではない擁壁の状態を確保しておく必要がある」と、開発阻止のために万全を期す構えだ。住民側と事業者は完全に対立している。 「市道なのだから市長の判断で元に戻せるはず」と星野さん。しかし、市道水路管理課は「現場は掘り崩され原状から大きく変わっている。技術的な面だけを考えても、修復工事は事業者の所有地を利用しなければ難しい。事業者の協力・理解がなければできない」という。 石渡徳一市長は3月に市議会で、事業者側・周辺住民・市による3者会談を4月にも始めたいと表明した。双方の要望をすり合わせる形で問題解決を図りたい考えだ。 事業者側は「近隣住民が何を言うか聞きたい。歩み寄れるものなら歩み寄りたい」と前向きの様子。だが、基本的には県開発審査会の裁決取り消しを求める訴訟や鎌倉市に対する賠償請求訴訟、新たな開発許可申請を視野に入れているわけで、その真意は測り難い面がある。 「大船観音前マンション問題にとりくむ市民会議」は、「階段状の市道と石積み擁壁の原状回復が先決」としている。3者会談の目途は立っていない。鎌倉市の関係者は「自治町内会もある。『大船観音前マンション問題にとりくむ市民会議』は、住民代表といえるかどうか。また、住民側の要望として集約されたものが出せるか?」と話している。 県開発審査会の開発許可取り消しを勝ち取った反対住民が中心メンバーで、抗議の辞任をした前都市計画審議会会長の星野さんが世話人代表を務める「大船観音前マンション問題にとりくむ市民会議」だが、正念場はむしろこれからかもしれない。 【これまでの経緯】 1992年 「古都鎌倉の寺院・神社ほか」が、世界遺産の暫定リストに掲載 2000年 当該地を含む岡本地区5.19haを鎌倉市緑地保全推進地区に指定 2002年 岡本地区の約3.2haを都市緑地法に基づく特別緑地保全地区に指定。当該地は含まれていない。 2004年9月 事業者が「開発事業等基準条例」に基づく手続きを開始 2005年3月 市が開発許可 2005年5月 県開発審査会に第1回目の審査請求。 2005年7月 工事協定書を町内会、まちづくり協議会などが事業者と締結 2005年12月 県開発審査会が違法と裁決 2006年 3月:市議会が開発区域への市有地編入を同意 4月:鎌倉市は事業者と変更協定書締結、開発を再許可 5月:「大船観音前マンション問題に取り組む市民会議」発足。 6月:県開発審査会に近隣住民たちが2度目の審査請求 11月:当該区域の市有地を市道の道路区域に編入手続き 2007年 1月4日:県開発審査会が違法と2度目の裁決 (関連記事:県開発審査会「鎌倉市の開発許可は違法」:大船観音前マンション) 1月26日:住民説明会(市主催・玉縄青少年会館) 1月28日:報告会(大船観音前マンション問題にとりくむ市民会議主催・鎌倉商工会議所ホール) 2月19日:鎌倉市は事業者に不許可通知書を郵送 2月22日:市議会が地方自治法100条に基づく調査特別委員会「百条委員会」を設置 ◇ ◇ ◇
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