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北海道日勝峠・融雪剤で天然記念物の原始林一帯に被害

松田まゆみ2007/08/12
日勝峠はカーブが多く、しかもトラックの交通量が多いので、事故を防ぐためにもスリップをしないような対策は必要です。しかし、周辺の樹木を枯死させるほどの融雪剤を散布するのであれば、融雪剤の使用量を減らすだけではなく、根本的な対応策が必要ではないでしょうか。
北海道 自然 NA_テーマ2
北海道日勝峠・融雪剤で天然記念物の原始林一帯に被害 | <center>峠から日高側に向かって右側の道路沿いの、枯れたダケカンバ。</center>
峠から日高側に向かって右側の道路沿いの、枯れたダケカンバ。

 先日、北海道の日高地方と十勝地方を結ぶ国道274号の日勝峠を通る機会がありました。日勝峠は標高が1022m。日高山脈を横断する3つの道路の中ではもっとも標高が高く、峠の一帯は日高山脈襟裳国定公園に含まれています。

 十勝側から峠を越えて日高地方に入ったとき、夏だというのにダケカンバの白い樹皮が白骨のように連なっている光景が目に飛び込んできました。道路に沿って両側のダケカンバやヤナギなどの樹木が枯れ上がっているのです。それが、麓まで続いています。日勝峠はしばらく利用していなかったこともあり、今まで気づかなかったのですが、これは今年になって枯れたものではなさそうです。

 枯れているのは、ちょうど除雪車が雪を吹き飛ばす範囲にある木です。全体が枯れている木もありますが、道路側の枝だけ枯れている木もあります。これでピンときたのが、融雪剤による被害ではないかという疑問でした。木が枯れるほど大量の融雪剤を散布しているのであれば、周辺の環境に大きな影響を与えているはずです。

 そこで、後日、道路管理者である日高道路事務所に電話で問い合わせました。電話に出た維持補修係の方によると、融雪剤として塩化ナトリウムを散布しているとのことでした。要するに塩を撒いているのです。

 担当者は、数年前から道路脇の樹木が枯れていることを把握しており、それが融雪剤によるものであることも認識していました。そのための対策として1、2年前から塩化ナトリウムの量を減らし、焼砂の割合を多くしているとのことでした。ただし、日勝峠はトラックが多く、融雪剤を使用しないと運転手から苦情がくることもあり、塩化ナトリウムの使用を完全にやめることはできないとのことです。

 確かに、日勝峠はカーブが多く、しかもトラックの交通量が多いので、事故を防ぐためにもスリップをしないような対策は必要です。しかし、周辺の樹木を枯死させるほどの融雪剤を散布するのであれば、融雪剤の使用量を減らすだけではなく、根本的な対応策が必要ではないでしょうか。

 このまま塩化ナトリウムの散布を続ければ、樹木を枯死させるだけではなく、土壌にしみこんで周辺の草本植物や土壌動物にも悪影響を与えるでしょう。さらに河川にも流入します。日勝峠の日高側一帯は、「沙流川源流原始林」として国の天然記念物に指定されているのです。しかも、峠の周辺は国定公園の第一種特別地域であり、景観の保全が求められるところです。

 道路管理者は早急に、より環境への影響が少ない滑り止め対策を講じる必要があるでしょう。

北海道日勝峠・融雪剤で天然記念物の原始林一帯に被害 | <center>左側の枯れたダケカンバ。枯れているのは、ダケカンバだけではない。</center>
左側の枯れたダケカンバ。枯れているのは、ダケカンバだけではない。
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