私は杉並に居住していますが、杉並区民3人と3人の弁護士さんと共に、警視庁公安部(被告は石原慎太郎東京都知事)の不当な家宅捜索に対し国家賠償を請求する裁判を東京地裁に提訴し、既に5年以上にわたって闘っています。
2001年6月6日、結柴誠一現杉並区議が事務局長をしていた「都政を革新する会」の事務所が暴力的な強制捜査を受けました。朝日新聞とフジテレビを動員し、結柴さんが区議を辞めて立候補する都議選の9日前(15日公示)のことです。結柴さんの当選を妨害する意図があったことは明白です。結柴さんは6月13日に東京地裁に国家賠償訴訟を起こしました。
東京簡裁が発行した捜索差押許可状
私はその当時、「都政を革新する会」を支持・支援する杉並住民が集まる後援会の事務局長として様々な支援活動をしていたので、警視庁公安部に目を付けられていたわけです。
私の自宅への家宅捜索は02年2月14日早朝にありました。4名の私服が突然自宅に来て、「2000年8月26日警視庁玉川署管内で発生した被疑者不詳の運輸省幹部宅車両爆破事件」での爆発物取締罰則第1条違反の捜索差押許可状を盾に8点を押収していきました。
同じように、「都政を革新する会」の支援者宅が何回にもわたって家宅捜索されました。当時後援会の会長を務めていた荻窪のクリーニング屋さんは、それまで11回も家宅捜索に入られて営業妨害もされていましたが、一切屈服せず後援会の会長を引き受けておりました。
彼は1度も提訴せず泣き寝入りの状態でしたが、このまま放置することはできないと決意しました。同じように3回も家宅捜索された今年79歳の区民と私の3名で、02年10月に警視庁公安部(被告は石原知事)に対し国家賠償請求を東京地裁に起こしたのです。
我々の訴訟は、被告が同じで訴訟内容も共通する案件だったため、最初の結柴誠一さんの訴訟に併合されました。それ以来今年で満5年なります。最初の結柴誠一さんの提訴から数えると既に6年以上になります。
私は容疑事実の「運輸省幹部宅車両爆破事件」などには一切関知していません。なぜこの事件で家宅捜索を受けなければならないか全然分かりません。私のところの家宅捜索の「捜索差押許可状」を発行したのは東京簡易裁判所の新田誠志裁判官です。なぜ東京地裁でなく東京簡裁発行の捜索差押許可状が多いのでしょう?
警視庁の東京簡裁への捜索差押許可の申請の際には、公安部の井出友一警部が被疑事件と私が関係すると疑われる証拠や目撃証言を「疎明資料」として提出しています。我々はその資料を裁判の証拠書類として提出するよう要求し、東京地裁は提出命令を出しました。が、被告側は東京高裁に上訴し、逆転判決で提出命令が取り消されました。原告の最高裁上告も却下されました。この疎明資料提出問題のため、国家賠償裁判が2年くらい止まっていました。
東京簡裁は、被疑事件と関係すると思われる証拠や目撃証言が一切無いのに、警視庁公安部の捜索差押許可申請に対し、自動発行機のごとく、めくら判を押して許可状を乱発しています。このことをマスコミは報道しないので、一般国民には知られていませんが、決して許されるものではありません。日本の公安警察が裁判所からチェックも規制も受けずに、憲法違反や人権侵害をやりたい放題している現実は、ひどいものです。
日本のマスコミは、自分たちの独自取材で真実を解明するジャーナリストとしての基本原則を放棄して、日本独特の記者クラブ制度のうまみにどっぷりつかっています。そのため、「逮捕や家宅捜索は過激派やテロリストを取り締まる合法的な捜査である」との一方的な警察発表を垂れ流し、一般国民に真実が伝わらない仕組みに加担しています。
10月17日に、我々原告4名と証人1名の証人尋問が東京地裁で丸1日かけて行われました。反対尋問した被告代理人たち(東京都法務部)は、「都政を革新する会」=「革共同中核派」=「過激派」の図式の中で、我々が「過激派中核派」の活動家であることをでっち上げるために様々な誘導尋問をしかけてきました。しかし、被告側が被疑事件と我々の関係を一切質問しなかったことは、被疑事件と我々が関係すると疑われる証拠や目撃証言が一切無く、「質問できなかった」事を証明しています。
11月7日(水)午前10時15分より東京地裁民事部627号法廷で、被告側証人3名の証人尋問が行われます。3人は家宅捜査の「捜索差押許可状請求人」2名と「家宅捜査執行人」1名で全員警視庁公安部公安刑事です。
さらに、11月14日と21日にも、家宅捜索に関わった警視庁公安部の計4人の刑事の証人尋問が開かれます。民事裁判で公安刑事が証人として出廷するのは珍しいことです。多くの方に傍聴していただければ幸いです。
警視庁公安部の組織は公表されていません。どのような部署があり、何人の職員がいて、年間予算がいくらで、具体的に何をしているのか一切明らかにされていません。警視庁公安部は、一般国民に対して個人情報の収集や捜査が自由に出来る絶大な権力を持っている組織ですが、その実態は全く明らかにされていません。国民やマスコミや議会にとって話題にすることがタブーとなっている、闇に隠れた不気味な暴力装置です。
富山県でタクシー運転手が警察に強姦事件の犯人にでっち上げられ、逮捕・起訴され、3年の服役後、真犯人の自白で無罪を言い渡された事件がありました。03年の鹿児島県議選をめぐる公選法違反(買収)の「志布志事件」では、村民12人が警察のでっち上げで逮捕・拘留・拷問・起訴されたが、具体的証拠が一切無く自白しかないために今年2月に全員無罪を言い渡されています。
このように、警察の権力乱用によるでっち上げで犯人にされてしまった冤罪事件が次々と暴露されています。
戦前の特高警察は治安維持法を盾に、共産主義者や社会主義者、無政府主義者などの体制批判者だけでなく、ジャーナリストや学者、評論家などの知識人や一般市民も逮捕・拷問して天皇制ファシズム体制を維持し侵略戦争に突き進みました。この歴史上の事実は遠い過去の話ではなく、現在でも別の形、方法で実際に行われています。
1人1人は非力な存在な我々ですが、権力の横暴に目をつぶって泣き寝入りするつもりはありません。仲間と共に一致結束して、献身的な弁護士さんと共に裁判で反撃していきます。戦前の暗黒社会を2度と繰り返さず、他国を侵略することなく、平和で安心して暮らせる、夢の持てる社会をつくることに繋がっていく行動だと思います。