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「刑務官に投げ飛ばされ……」受刑者が損害賠償の訴え

黒井孝明2007/11/21
刑務官に暴行を受けたとして受刑者が国を訴えた裁判で証人席と傍聴席の間に設けられた遮蔽措置の取り消しを原告側は求めたが認められず、原告側が裁判官忌避を申し立て証人尋問は延期された。
東京 裁判 NA_テーマ2
 傍聴席の前には防弾ガラス。四方には警備員が一人ずつ。貴重品と筆記用具以外の荷物は制限され、証人席の周りは衝立で遮蔽されている――東京・千代田区の東京地方裁判所429号法廷は平時とはちがった物々しい雰囲気だった。

 20日、宮城刑務所の受刑者が刑務官に投げ飛ばされるなどの暴行を受けたとして国に損害賠償の訴えを起こした裁判(橋本昌純・裁判長)の証人尋問が東京地裁で行われた。

「刑務官に投げ飛ばされ……」受刑者が損害賠償の訴え | <center><b>東京地方裁判所</b></center>
東京地方裁判所
 証人尋問は、事件当時の刑務官3人に対して行われる予定だったが、口頭弁論の冒頭、原告の代理人である海渡雄一・弁護士は、証人席と傍聴席の間を隔てる遮蔽措置の取り消しを裁判官らにもとめた。

 代理人によれば、遮蔽措置や防弾ガラスなどの警備体制は、訴外の暴力団関係者が傍聴し証人を銃撃するというおそれがあるとして証人が実施をもとめたという。ふつう東京地裁では玄関で金属探知器などを使って手荷物検査を行うが、この日は法廷の前でもより厳しい検査がされ、2回行われたことになる。この警備体制や銃撃のおそれなどに対し、原告の代理人は「過剰反応」「荒唐無稽」などとしつつも、今回はやむをえないとするが、ただ、遮蔽措置は認められないとの意見書を16日に提出していた。

 証人席の左右と後ろを衝立によって見えなくする遮蔽措置は、性犯罪の裁判などでよく行われる。加害者の顔を見たくないなどとする被害者の心情に配慮する場合や、証人の安全を確保する場合などに使われるが、今回のような例は珍しいとされる。

 裁判官らは別室での合議の結果、遮蔽措置は取り払わずに裁判を続けるとした。原告の代理人は裁判官忌避を申し立て、口頭弁論は中途で閉廷となった。

 閉廷後の原告側の説明によれば、暴行を受けたときの様子は、2005年5月、刑務官が原告の首もとをつかもうと手をのばした。原告は身をかわしたが、勢い余ったのか刑務官は転び、帽子が落ちた。ほかの刑務官と受刑者がいる前である。刑務官は原告に向かって「連行」といい、腕を原告の首に巻き付ける「首投げ」をし、その後、複数の刑務官から原告は暴行を受けた、という。

 裁判は今後、原告側が裁判官忌避の申し立てを意見書として提出し、裁判所の判断をもとめていく。公権力の行使のあり方に疑問を投げかける裁判となりそうだ。
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