埋め立て区間の中ほど (写真はいずれも、11月25日・撮影:青木智弘)
東京・落合川の埋め立て工事をめぐり、周辺住民が東京都に作業の中止をもとめた訴訟の第2回弁論が27日、東京地方裁判所(白石哲・裁判長)で行われた。落合川の工事は、下流の一部がきょうにも完了し、訴訟の間も依然として作業が進んでいる。
原告側は、周辺住民が原告としての資格を備えており(原告適格)、景観による恩恵を享受していること(景観利益)、などを示した準備書面を27日付けで提出し、被告である東京都の反論を待つ構えだ。
竣工間近な最下流区間
東京都が準備書面で指摘したのは、訴訟が原告に法律上の利益をもたらさないとする原告適格について。この訴訟で原告の住民は、落合川に生息し絶滅が危惧されているホトケドジョウと、整備工事されている落合川を「もっとも被害を受けているから」と原告に加えているが、とくに河川とドジョウのかわりに訴えた周辺住民に原告の資格があるかという問題が浮上してきた。
原告適格の有無は、行政訴訟において裁判所からいわゆる「門前払い」を受けるときによく争われる。「あなたにはこの裁判で争う資格がない」というように一蹴されることは少なくない。
原告側が準備書面で、原告適格の根拠としてあげた判例は、2006年11月に小田急線の高架化事業をめぐり都と沿線住民の間で争われた
訴訟だ。これまで地権者に限定されていた原告適格だったが、騒音や振動によって直接健康被害などを受ける沿線住民には原告の資格があるという最高裁判決が出た。原告適格の範囲が裁判所によって拡大された判決だ。
最上流部。旧川上に遊歩道、緩傾斜の広場を親水空間として整備予定
また、景観利益も今後の争点となる可能性がある。原告が判例としてあげた
国立マンション訴訟は、マンション建築をめぐり周辺住民が建築主に対してマンションの撤去などをもとめた裁判で、良好な景観によって得られる恩恵が法律上保護されるか、という点を主眼に争われた。
最高裁判決(2006年3月)では、景観利益が法律上保護に値すると認められるものの、この事例のマンション建築が景観利益を侵害しないとされ、周辺住民の訴えは棄却された。この判決は景観利益より一段上の「景観権」までには至っていないが、景観利益に対する違法性の判断基準を示した判例となった。
原告側は訴状で、ホトケドジョウの生態環境の破壊や、環境アセスメントを実施していなかった点などを違法性としてあげ、27日の弁論では落合川周辺の模型を使って陳述。東京都は「(ホトケドジョウと落合川を)原告として維持するのか」と原告側へ前回と同じ質問をした。原告の代理人は引き続き維持すると伝えた。東京都は次からの弁論で違法性について反論していく。
次回期日は2月12日。
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