仁淀川中流域の沈下橋 橋脚が丸見え状態(12/12)
12月12日朝、四国山地のど真ん中にある安居渓谷に向かう途中で、前方の沈下橋を見て、車を止めた。仁淀川(※)中流域の名護屋の沈下橋である。別に、沈下橋が珍しかったわけではない。私は、平成3年から10年間、この沈下橋から10分ほど奥に入った新別の棚田(5反)を借りて、鶏を飼い、野菜を作っていたことがある。だから、この沈下橋は、日常的によく見知っていたのである。
ウムッと思ったのは、仁淀川の水量の少なさである。沈下橋の橋脚のほぼ全体が見えていたのである。こんな沈下橋の姿は初めてである。沈下橋とはいえ、橋が濁流に沈下するのは、極端な増水時だけで、せいぜい年に2、3回のことである。近年は、平常の水量が少ないため、めったに沈下しなくなった。昨年、今年は、たぶん1度も沈下しなかっただろう。しかし、それにしてもこれは水量が少なすぎる。
4年前は、これでもか、これでもか、というくらいに洪水が来た。通りすがりのおばあさんに聞くと、「この村に嫁に来て50年になるけんど、こんな洪水は初めてじゃ」ということだった。50年に1度なら、もう当分は来ないだろうと素直に決めていたら、翌年同様の洪水が何度もやってきた。当時、堤外(堤防の川側)に畑や果樹園を借りていたので、2年続きの洪水に、しっかり根性をつけてもらった。自然を相手にしていると、努力が水泡に帰することはよくある。1度冠水すると、水が引いても、農作物は腐る。仁淀川では、50年に1度の洪水が、2年続いたのである。
天候については、異常が当たり前で、平常というものがなくなりつつある。昨年、今年は、台風もほとんど来ず、梅雨もほとんど雨をもたらさなかった。そのため、四国地方整備局は12月12日、渇水対策本部を設置した。2月、9月に続いて3度目の設置で、年に3度というのは初めてのことだという。現在、愛媛県の吉野川水系と高知県の仁淀川水系の両方に渇水対策本部が設置されている。この冬は、四国全域で、前例のない水不足が予想される。
仁淀川上流域の大渡ダム 貯水率は現在30%未満
仁淀川の支流にあたる安居渓谷にも水はなかった。高知市周辺の水源となっている仁淀川上流の大渡ダムでは、すでに貯水率が29%である。そのため、農業用水は50%、水道用水は40%の取水制限になっている。
この連年の天候異変は、たぶん、地球温暖化の影響であろうと想像される。よほどアメリカ寄りの御用学者でも、もうそろそろ「因果関係がはっきりしない」とは、恥ずかしくて言えないだろう。
翌13日、今度は気象庁が、今年の日本と世界の年平均気温を発表した。陸域のみの世界の年平均気温は、平年に比べ、0.67度高く、統計を取り始めた1880年以降で最も高くなる見通しだという。温暖化の影響に、数年から数十年周期の長期的な高温傾向が重なったということらしい。
「天災は忘れたころにやってくる」というのは、一昔前のことで、「天災は忘れる前にやってくる」というのが、今風なのである。
仁淀川下流域の八田堰(増水時のようす)
※仁淀川(によどがわ)は、愛媛県・高知県を流れる一級河川で、流域面積1560km²、流路延長124km。吉野川・四万十川と並ぶ四国第三の河川で、流域人口は約11万人。中流域には四国で第二の規模を誇る多目的ダム大渡ダムをはじめとして治水・電源開発のための施設も多く、水辺利用率も全国1位(2002年)であり、ほぼ100%に近い。 全国的に著名な四万十川と比べると知名度は低いが、水質は全国4位(1999年)に位置づけられている。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)(編集部)
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