東京・杉並の区立和田中学校で始まった夜間塾「夜スペ」に、区民が中止を求めて仮差し止めを申請した。申立人たちは、「夜スペ」に対し、公立学校が営利企業に施設を提供することは地方自治法に反していること、公教育を塾に丸投げしている、受講生に特権意識を植え付ける危険がある、などと指摘。さらには同中学の保護者の間にも不満はくすぶっているが、通学の生徒を持つ身では、声を出せないなどと訴えた。
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報道と地元の実情に大きなギャップ
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和田中の保護者にもくすぶる不満
・教師から聞かれない評価する声
報道と現場の実情に大きなギャップ
東京・杉並区立和田中学校が大手進学塾「サピックス」と提携して1月から始めた有料授業、通称「夜スペシャル」に対し、3月24日、杉並区民49人が「公共用財産である学校施設を一営利企業の塾に利用させるのは違法」などとして、区などに対し、授業の本格実施の仮差止めを東京地裁に申し立てました。ちなみに、筆者は申立人の一人です。
記者会見が終わって
申立人ら5人は同日、東京地裁司法記者クラブで記者会見を行い、申し立ての理由、背景などについて発言しました。その概略を報告します。
【なぜ仮の差止めを申し立てたか?】
T:皆さんは新聞報道などで、「夜スペ」はうまくいっていると思っていらっしゃることでしょう。しかし、和田中、藤原校長に関する報道と地元の不満と怒りには大きなギャップがあり、愕然としています。従って、こういう声があるのだということを表すために、これを一つのステップとして差止めを申し立てました。手続きを含め、非常にいい加減ではないかということで本日、区民58名で杉並区に住民監査請求も出しました。
私たちには納税者として区に公共用財産を適正に管理させる権利があり、これを侵害されたため、学校施設の目的外使用許可の差止めを申し立てました。保全の必要性としては、これ(夜間塾)が4月から本格実施されると、公立学校施設で一企業による有料授業が既成事実化する、また「サピックス」という一企業の私権の設定になってしまう。このようなことが他の公立学校に波及していけば、学校は商業ベースに染まり、子どもたちは営利のターゲットとなってしまいます。従って緊急に差し止める必要があります。
地方自治法第244条では「公の施設を設ける目的」を「住民の福祉を増進する」と定めています。同法第238条の四では「行政財産は・・・・これに私権を設定することはできない」と規定しています。公共用財産を営利企業に便宜供与することは禁じられているのです。学校施設確保に関する政令3条では「学校施設の目的外使用の禁止」を定めており、私的営利を目的としない等々、特例は厳しく設定されています。
お手元にある「特別補習事業(夜スペ)実施に係る覚書」をご覧下さい。公共施設を使って行うのに、正式な書類はこれしかありません。これは和田中地域本部夜スペ実行委員長を「甲」とし、サピックス中学部代表者を「乙」として覚書を交わしていますが、最後の署名押印のところでは「甲」は和田中地域本部事務局長になっており、「乙」は「サピックス中高等部代表」となっており、書類の体裁をなしていません。しかも日付は平成20年1月24日付です。有料授業が始まったのが、この2日後の1月26日です。いかにも付け焼刃で、1月23日の教育委員会で追及されて、あわてて作ったということが分かります。当初、1月の初めから実施すると言っていた時はどうだったのか。手続きは何もやっていなかったのではないかと思われます。都教委が指摘するのが当たり前です。
もう一つ「特別補習事業の実施要綱」というのを見てください。これも1月22日に急きょ、あせって作ったとしか思えません。2ページ目の付則の2を見てください。「この要綱が施行される前に行われた本事業に関連する手続き等は、本要綱に即して適正に行われたものとみなす」とあります。なんですか、これは。つまり、要綱がなかった時にやったことも正当だ、とこの付則に書いたわけです。こういうものも何も作っていなかったので、あせりまくって後付けし、強引に実施した。だから土台、無理があるのです。
プロの先生方に言わせれば、この事業は単なる塾への丸投げで、おもしろいことでもなんでもないというのが現場の評価です。みなさん、その辺をぜひ見抜いて記事を書いていただきたいと思います。
(次ページ「
和田中の保護者にもくすぶる不満」に続く)
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