豊中市は、2007年に策定された行財政改革大綱(8月)・行財政改革プラン(12月)により、「とよなか男女共同参画推進センター・すてっぷ」の6階部分に、とよなか国際交流センターを移転させることを計画しています。その第1回目の市民説明会が、4月25日、すてっぷ大ホールで急遽(当局側も冒頭、このような表現を用いて陳謝)行われました。
左:とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ。右:とよなか国際交流センター。すてっぷへ移転すると広くなると当局は説明しているが……。
まず、豊中市を代表して吉田人権文化部長から「行財政改革の一環として今回の計画がある」こと、松田同部次長から「行財政改革大綱」の説明がありました。その後、市民との間で活発な議論が交わされました。
松田次長からは、「他の自治体同様、三位一体の改革の影響で財政が厳しい」「とくに豊中は高齢化で厳しい」「豊中市単独では、今ある施設の維持補修も困難」「市民の皆さんとの協働で乗り切りたい」など、どこの自治体でも行革や職員賃金カットの際に持ち出す、月並みなお話がありました。
平成16年、国際交流センターなどとすてっぷを統合する話が出たが、「統合の効果が見えないために、財団あり方検討委員会で検討する」ことになったということです。
以下は、市民側からの追及と、それに対する市当局の答弁の要旨です。
■市民活動・施策への影響……後退への不安払拭する裏づけなし
国際交流センターは無料で、「すてっぷ」は有料。そのため国際交流センター利用者から反対が多い。一方、「すてっぷ」は面積が半減してしまう、などの不安の声が相次ぎました。
これに対して当局は、「個人の思いとしては、男女共同参画施策の後退にならないよう努力する」と回答。市民側からは「個人の思いを言われても、具体的な数字などの裏づけがないと不安だ。また、3年たったら人事異動でうやむやになってしまうのではないか?」などの懸念が相次ぎました。
また、移転が計画される6階には、すてっぷ利用者用の子どもスペースがあり、それを含めて、900m
2。「900m
2は国際交流センターの実質面積の500m
2より広いから、メリットがある」と、当局は国際交流センター利用者には説明していました。しかし子どもスペースは、すてっぷには不可欠です。そうなると、5階に子ども用スペースをあらたに作るのか? どちらにしても、両方の利用者にいいことばかり言い過ぎているのではないか、などの批判が相次ぎました。こうした後退への不安を払拭する裏づけは、市から出てきませんでした。
■利用料について……市民から苛立ちの声相次ぐ
市民から、「すてっぷ開館当初から市民は一生懸命すてっぷのために努力してきた。利用料が高いと利用に躊躇する向きもあると、市に伝えていた。しかし高い利用料を放置しておいて、『稼働率が低いから、国際交流センターとくっつける』というのは乱暴だ」。当局は「利用料についてはできるだけ汗をかかせていただきたい」と、どうにでも取れる回答をしました。
■館長人事をめぐる混乱と活動低迷……いやいやながら低迷を認める
さらに、「2003年度末で非常勤館長だった三井マリ子さんを雇い止めにして、組織強化にすると称して桂容子さんを常勤館長にした。桂さんも2006年度末でやめた。館長空白が続いたことが組織体制強化になったか」、と市民から迫られると、部長は、4月から就任した中村彰館長・事務局長を指差して「ご覧の通りです」と木で鼻をくくった回答をしました。これには市民からブーイングが出ました。中村館長ご自身は「来たばかりで慣れておらず、ご迷惑をおかけしている」と平身低頭し、主な答弁は事務局次長に任せていました。
市民から、「男女共同参画のための目的施設なのだから、その目的に沿った利用がないと無意味であり、その増減のデータを出すべき」と指摘されると、「データはない」と当局は渋りました。しかし、いやいやながら、2006年度から2007年度にかけて、すてっぷ主催事業が250件減り、男女共同参画目的利用も30件減り、実際に増えているのは目的外の利用(300増)であることを認めました。
■当局の責任問題……「謝罪なき協働」にブーイング
「52億円もかけて、すてっぷを作り、結局半分に面積を削減せざるを得ないのは、見通しの甘さがあったからでは? それへの謝罪・総括がないと、いくら『一緒にがんばろう』といわれても乗れない」「1998年に財政が厳しいことを当局は認識していた。その後もどんどんハコモノを作っている」などの厳しい意見が相次ぎました。当局も「結果としてそういうことがあったと認めざるを得ない」と、言い逃れるのが精一杯でした。
「市は、いいことばかりしか言わない。これでは信用できない」「国際交流センターと一緒になったら、活動団体同士のネットワークができる、と市はいうが、場所が離れていてもネットワークはできる。ネットワーク作りをしようとしなかったのは市だ」など当局への不信が相次ぎました。
「すてっぷは立ち上げから市民が参加して作りあげてきた。それを受け止めてほしい。書類だけで判断しないで」と、机上の「数あわせ」にも見える行革への厳しい批判もありました。「難しい書類だけ出して、データは示さないまま、市民に考えてくださいといわれても困る。責任逃れだ」という声には、当局も「役所の書類ですから難しい言葉も多い。丁寧に説明します」と答えるのが精一杯でした。次回は5月に開催され、ホームページで告知するということです。
■感想:当局の無責任にあきれる。国政の悪影響も実感
「改革」「市民の声を聞く」などきれいごとを並べながら、数字は出し渋る。不十分な情報しか与えないまま、「市民の皆さん考えてください」などという。一方で、当局は人事異動でメンバーが入れ替わっていることもあってか、過去の経緯を充分には把握していないようでした。豊中市に限った話ではないのですが、改めて日本の行政の問題を見た思いがしました。
当局には、「結論ありき」ではなく、市民に対して出すべき情報は出していただきたい。一方で、市民が知っているような「過去の経緯」を把握していないなら、きっちり勉強し、市民と情報を共有化していただきたい。そうでないと議論の土俵にのりません。また、当局は行革の目的のひとつに「職員のモチベーション向上」もあげていましたが、中身のある仕事ができないで何のモチベーションでしょうか? 形式的な仕事をさせられる一般職員が気の毒です。
ただ、当局が理由にあげる財政危機については、「豊中だけではなく全国各地で起きている問題」です。「行財政改革大綱」で圧縮をしなければいけない赤字幅約70億円(毎年)は、ほぼ国の三位一体改革の悪影響部分です。このままでは、橋下徹府知事による補助金大幅カットも予想されます。「国や府の経済政策を変えないと日本は大変なことになる」「それだけに、いくら市民にしわ寄せしても、危機はエンドレスで続きかねない」と改めて思いました。