目次
P1.ハウス栽培と水耕栽培のミニトマト
P2.
減農薬ミニトマトが消えた
ハウス栽培と水耕栽培のミニトマト
洋食・和食を問わず添え物として人気のあるのが「ミニトマト」です。ミニトマトは別名プチトマトとも呼ばれています。果実の直径は2〜3cm位で、野生トマトの血を引く小型トマトの総称です。トマトはナス科に属する多年性植物で、ナスやピーマン、トウガラシ、ジャガイモ、タバコなどと同じ仲間です。
ナス科の代表選手として、トマトは世界中の人々から最も愛され利用されている野菜の一つとなっています。トマトの赤い色はリコピンという色素によるもので、リコピンは最近注目されている物質です。またビタミンA、B1、C、カリウムなどの栄養素が含まれ食物繊維も豊富です。(※1)
ミニトマトの果房
(写真1)開花後収穫までに30〜60日かかります。 樹で赤くなった[完熟品]を出荷します。
1.トマトは多年草・草丈10mにも
ハウス栽培のトマトは条件さえ整えば、ほぼ無限に生育しますので複数年の栽培も可能です。一般的には20〜30段の果房まで収穫する長期栽培がほとんどです。草丈も8m〜10mになり、順次「段下げ」という作業で、収穫位置を手の届く高さに降ろしてゆきます。
一般にナス科の作物は「連作」に弱いと言われています。特にハウス栽培では、「降雨」による土壌洗浄の機会がありませんからなおさらです。同じ作物を同一圃場に連作すると思わぬ障害に出会うことがあります。これを
連作障害と言っています。根や樹木の残渣の影響?根圏の生物体系の癖など連作障害のメカニズムはまだ解明されたとは言えません。多くの園芸農家はこれを「土づくり」や「土壌消毒」でしのいでいます。
近年、消費者嗜好の多様化は著しく、「
無農薬」どころか「
無化学肥料」を賛美するチームも見受けられます。「土つくりで自然栽培」。これは理想ですが「安定再生産」ができなくては農業経営としては成り立ちません。
2.水耕栽培の姿
この対角線に位置するのが「水耕栽培」です。この地区のトップを走るミニトマト農園を紹介します。室温・換気・水流・水温・肥料濃度、全てが人口環境です。「コンピューター管理で IT 農業」とうたうには格好の話題です。テレビなど視聴率狙いの記者なら、必ずこのキャッチフレーズで報道します。
(写真2)一段目が色づきました。これから収穫期に向います。
白マルチの下に僅か5cmの深さの水耕ベッド。中身は栽培栄養溶液だけです(養液といいます)この園では7段目までを収穫目標にしますので、草丈は2〜3m程度です。
(写真3)7段目まで収穫が進んでも元気のいい樹形
写真(3)で頭上に見えるのは室内空気の循環ファンです。筆者の店で納入しました。(宣伝はいけませんね)室内環境を整えるには強力な味方です。水と同じように空気もよどまない方が良いのです。調温・調湿……色々な役目があります。エネルギーの有効利用と環境整備に活躍します。
3.水耕栽培のコツ
筆者は、この農園と20年以上のお付合いをして来ました。お父様の後を継いだ現オーナーのYさんは、次の様に語ります。
【順調に生育している期間はせいぜい1/3】
【なにかしらトラブルがあるのが普通】
【良くなるのは遅く、悪化するのはアッと言う間】
この3点を回避するため、7段までの短期栽培とし農薬も最小限度に抑えています。
【子育てと同じですよ。悪くなる前にはなかなかわかりません。突然ですから……】
【いかに早く気づくかが勝負です】
言うは易しですが、
これが出来るようになるのに最低5年。否、10年はかかるでしょう。水耕栽培とは
「トラブル解消の技術」そのものであり、そこが農業経営の勝負でもあります。水耕にチャレンジしても解決方法に迷いが出て、又、土耕栽培に戻る農家もあります。
農業技術は季節や天候という自然現象との戦いです。春の失敗を再現して対処方法を探るには、1年後の春を待つ以外に方法は無いからです。成功の経験を生かすのも同じことです。水耕は順調に生育してくれれば、それこそ「
水商売」です。養液をポンプで水をグルグル回し、極く微量の肥料を添加するだけです。1t
300円の水が
100万円に化けるのも農業の魅力です。なにしろトマトの90%以上は水分ですからね。
(次ページにつづく)
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