6月7日、東京の品川区環境情報活動センターでESD授業デザインプロジェクト公開研究会2008Vol.1「持続可能な社会をめざす環境学習」(主催・ESD学校教育研究会)が行われた。
“ESD”とは、持続可能な開発のための教育のことで02年のヨハネスブルグ・サミットにおいて日本の市民と政府が提唱し、日本でも政府によるESD国内行動計画が策定され、その推進のために政府にも内閣府を中心に「国連持続可能な開発のための教育の10年関係省庁連絡会議」が設置されている。
ESD学校教育研究会は、純然たる民間教育研究団体で「学校教育でESD・持続可能な開発ための教育をすすめるための研究会です。地域活動や国際活動に実際に携わっている教員を中心につくられました。主に、ESD授業デザインプロジェクトとして教員の場づくり、教材開発、そして進め方の検討などを行っていきます」(同研究会)という。
左:新しい環境学習をつくるネットワーク代表の羽角章氏。右:教材の説明。
この公開研究会では、新しい環境学習をつくるネットワーク代表の羽角章氏から教員としての授業実践や、新しい環境学習をつくるネットワークの環境学習についての考え方などが語られ、新しい環境学習をつくるネットワークの開発した教材の紹介が行われた。
次に、ESD学校教育研究会代表の淺川和也氏(東海学園大学人文学部教員) が「ESD」について、同研究会の長岡素彦(持続可能な開発のための教育の10年さいたま代表)が「ESD学校教育研究会の活動」を述べ、その後、参加者の教員による活発な討議がなされた。
新しい環境学習をつくるネットワークは1998年に神奈川で環境学習に取り組む教員のネットワークとして誕生し、自分たちで使うオリジナル教材を開発している。
羽角氏は高校で取り組んできたワークショップを取り入れたオリジナルの授業について語った。環境教育といっても自然体験教育、リサイクル教育、公害教育、環境美化など多様な立場があり、現状はこれらがかみ合わないまま行われており、これらの環境教育を段階的整理し、統合する環境教育の重要性を述べた。さらに「環境」に関する学習だけでなく民主主義を育む教育、地球市民教育なども含みこんだ「新しい環境学習」について語った。
また、その具体的展開としてオリジナルの「違いの違い」「ゴミはなぜ増える」、コンビニゲームや環境省などの教材作りに協力した「地球温暖化防止のための環境学習教材」などを開発し、授業で活用しているという。
討議では、ESDや新しい環境学習では、知識を行動に結びつけることの難しさについて論議された。
また、従来の教員が一方的に教えるような「非文脈的講義型の授業」の問題点が指摘されるとともに、生徒が自分なりに学ぶことの意義付けができる「文脈的に沿った授業やワークショップ」の重要性が指摘された。同時に、現在の傾向として、従来の「非文脈的講義型の授業」も成立しないという問題点も論じられた。
持続可能な社会を目指していく教育・学習では、知識を行動に結びつけるために学習者の文脈に沿った授業やワークショップも必要となるが、学習者が環境や物事に関心を持ち、論議し、環境を変えていくような市民教育や民主的な学びを生み出すことも必要である。
このようなESDや持続可能な社会をめざす新しい環境学習には、これらを具体的に行うための授業や教材のデザインが必要であり、その意味でも今回発表された持続可能な社会をめざす新しい環境学習を生み出す「新しい環境学習をつくるネットワーク」の教員の実践は重要である。
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