裁判経過を報告する烏賀陽さん(京都市中京区で)。
ジャーナリスト個人に対する恫喝的な訴訟や、インターネット上のサイト規制問題など、昨今、表現や言論の自由を脅かすような動きが顕著になってきた。こうした問題について考えるフォーラム「表現の自由が危ない」が26日、京都市内の京都新聞文化ホールで開かれた。マスコミ関連の労働組合で構成する関西マスコミ文化情報労組会議(関西MIC)と京都MICが主催したもの。一連の動きは特定の人たちに向けられているのではなく、表現活動をする全ての市民に向けられていることについて警戒する意見が相次いだ。
オリコン訴訟を闘う烏賀陽弘道さんと安倍晋三氏の秘書から名誉毀損訴訟を起こされた朝日新聞記者の山田厚史さん、元徳島新聞記者でブロガーとして活躍する藤代裕之さん、報道被害やNHK番組改編問題などに取り組む弁護士の日隅一雄さんの4人が登壇した。
烏賀陽さんは月刊誌「サイゾー」に寄せたコメントについてオリコンから5、000万円の損害賠償訴訟を起こされた。その経緯を詳しく報告し、「この訴訟の手法は全ての市民を標的にしているのです。ブロガーは確実にやられるでしょうし、すでに個人で発行するメールマガジンで名誉毀損裁判を起こされ負けた事例もあります。インターネットで情報発信されている皆さんが標的にされる可能性があるのです」など、恫喝的な訴訟が表現活動をしている全ての市民に向けられる恐れがあることに警笛を鳴らした。
山田さんはテレビ朝日の番組「サンデープロジェクト」での発言を巡って安倍晋三氏側から名誉毀損訴訟を起こされたが、「誤解を与える表現があったとすれば遺憾である」と表明することで和解した。山田さんは裁判の過程で裁判官から謝罪を勧められたが拒否してこの文言で「勝利的和解」をした。しかし途中からは個人で弁護士を手配したり、カンパで訴訟費用をまかなうなど1個人が訴訟を起こされた場合に相当の困難がつきまとうという現実も体験したこと、訴訟がジャーナリストとしての活動を狭めたことも実際にあったとした。
左から日隅さん、烏賀陽さん、山田さん、藤代さん(同)。
日隅弁護士はマンション建設に関して実際にあった事例として、反対派の住民が大型生コン車の流入に抗議して車は帰ったが、生コンが無駄になったとして数千万円の損害賠償請求を業者が住民に対して行ったことを紹介した。「市民生活の場にも企業側のむき出しの論理が持ち込まれる状況が生まれてきているのです」などと話し、訴訟費用の面では優位に立つ企業や資産家が裁判という手段を使って、圧力をかけてきている風潮に警戒感をあらわにした。
こうした恫喝的な口封じともいえる訴訟もさることながら、ネット上での書き込みによる逮捕事件や青少年保護を視野に入れた「有害サイト規制問題」も表現や言論活動に打撃を与える恐れがある。藤代さんは「ネット規制の議員立法を進めた高市早苗衆議院議員は『皆さんがお困りですから政治がやらなければならないのです』と私の取材に答えていました。規制の動きの背景に書き込みを許すな、有害サイトを規制しろという声があるのも確かなのです」と世論がネット上の表現活動を追い詰めている側面もあることを指摘した。
烏賀陽さんは現在、オリコン側勝訴の東京地裁判決に対して不当判決だとして東京高裁に控訴している。個人で裁判闘争を貫くには理解者たちの支援が不可欠だ。フォーラム開催に合わせて、支援するためのTシャツやCD、書籍の販売が行われた。聴衆の1人が「最後まで闘うという烏賀陽さんの姿勢に感動しました」と話すなど、会場に集まった人たちも烏賀陽さんを囲んで激励の言葉を寄せたり、品物を買うなどして支援の気持ちを表していた。
関連リンク:
・
うがやジャーナル
・
ガ島通信(藤代氏のブログ)
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