靖国神社正門(撮影:いずれも筆者)。
終戦記念日の8月15日、靖国神社が映画『靖国 YASUKUNI』に映像を提供していた香港のTV局の取材申請を却下していたことがわかった。神社関係者が記者に明らかにした。
このTV局は「香港フェニックスTV」。社長は人民解放軍の幹部だった人物で、放送内容も嫌日であることで知られる。中国人監督によるドキュメンタリー映画『靖国 YASUKUNI』に登場する国会議員の拝殿参拝シーンは、同TV局撮影のものだった。
神社関係者は「(問題の)シーンは平成18年(2006年)の終戦記念日に撮影したもの。『香港フェニックスTV』は取材目的をニュース素材として申請していた。にもかかわらず映画に流用したことは虚偽の申請にあたる」と取材拒否の理由を説明した。
靖国神社が映画の上映中止を求めていた理由でもある。
「香港フェニックスTV」が映画『靖国 YASUKUNI』の製作に、積極的に関わっていたのか、それともただ「資料映像」的に流用されたのかは分からない。
筆者は10年以上、終戦記念日の靖国神社を取材してきたが、よほどのトラブルを起こさない限り神社側はメディアに寛大だ。ところ今年は例年と事情が違う。映画『靖国 YASUKUNI』が、右翼の圧力などにより一部の映画館で上映中止に追い込まれる騒動に発展したからだ。
昨年までは取材申請書類に形式だけ整えて提出するだけでOKだった。ところが今年は事前に電話をかけた段階で神社広報から「映像はニュース素材で使用ですね?」などと2回も念を押された。
当日は所属メディア(会社)の記者証の提示まで求められた。靖国神社でこれを求められたのは今回が初めてだ。ある民放TV局のクルーも「今年は厳しいな」と嘆息していた。
拝殿取材の受付をしていた女性職員に「今年、チェックが厳しいのは映画の影響ですか?」と尋ねた。女性職員は「そうなんです。騒がれましたからね。ご迷惑かけてすみません」と映画の影響であることを認めた。
境内で参拝者にインタビューをしていても、守衛がすっ飛んできて「やめて下さい。今度見つけたら取材証(リボン)を取り上げますからね」。
「遊就館」では南京虐殺は捏造だとする映画が上映されていた。
こんなことも初めてだ。靖国神社全体に「報道管制」が敷かれているようでもあった。「遊就館」では南京虐殺は捏造だったとする映画が上映される念の入れようだ。
映画の事前検閲を求めた稲田朋美議員も参拝した。
映画の事前検閲を求め、騒動の引き金を引いた稲田朋美衆院議員は、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」と共に参拝した。騒動の発端となったことでバツが悪いのか、稲田議員は終始うつ向き加減だった。
今年参拝したのは衆院議員125人(うち代理人85人)、参院議員38人(うち代理人25人)。
福田康夫首相はかねてから明らかにしていた通り、15日は参拝しなかった。総理が参拝しないことの感想を記者団から聞かれた「国会議員の会」の島村宜伸会長は「日本人として来て頂きたかった」と残念そうに語った。
選挙目当てで参拝する日本の国会議員がいて、中国の嫌日メディアからは映像が流用されて……。これでは戦後日本のため尊い犠牲となった英霊たちは浮かばれない。
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