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沖縄「北限のジュゴン」市民調査チーム・ザンがハンドブックを刊行

浦島悦子2008/09/04
北限のジュゴンを見守る会・沖縄事務所を拠点に活動するジュゴンの市民調査チーム・ザンはこのほど、『マンタ法によるジュゴンの食み跡調査ハンドブック』を刊行した。高木仁三郎市民科学基金の助成で作成されたもので、1部200円で配布している。
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沖縄「北限のジュゴン」市民調査チーム・ザンがハンドブックを刊行 | 『マンタ法によるジュゴンの食み跡調査ハンドブック』を手にする北限のジュゴンを見守る会・代表の鈴木雅子氏。
『マンタ法によるジュゴンの食み跡調査ハンドブック』を手にする北限のジュゴンを見守る会・代表の鈴木雅子氏。
 北限のジュゴンを見守る会(鈴木雅子代表)沖縄事務所(名護市在)を拠点に活動するジュゴンの市民調査チーム・ザン(ザンは沖縄におけるジュゴンの呼び名)はこのほど、『マンタ法によるジュゴンの食み跡調査ハンドブック』を刊行した。

 チーム・ザンは、今や沖縄島北部周辺海域にわずかな頭数を残すのみとなった日本のジュゴンを絶滅から守りたいと願う市民たちが、イノー(リーフ内の浅海)の海底に広がる海草藻場に残されたジュゴンの食み跡(ジュゴンは、前進しながら海草を地下茎ごと掘り起こして食べるので、その跡はくっきりと溝=トレンチになって残る)を調査することによって、ジュゴン保護に役立てようと2年前から活動を続けてきた。同ハンドブックは、その活動およびジュゴン保護への関心を多くの市民に広げるため、北限のジュゴンを見守る会東京事務所の協力により、市民科学者を育てる「高木仁三郎市民科学基金」の助成を受けて作成された。

 ハンドブックはA5版24頁(表紙を含む)で、ジュゴンに関する基礎知識(分類、世界及び日本における分布、生活史、生態など)、ジュゴンの餌(海草)、ジュゴンに関わる法律や国際条約、これまでの調査でわかったこと、ジュゴンを取り巻く状況(ジュゴンの生存を脅かす様々な要因)などを解説すると同時に、チーム・ザンが行っているマンタ法による食み跡調査について、写真や図入りで具体的に説明し、初めて調査に参加する人にもわかりやすい内容となっている。

 マンタ法とは、水域を調査する手法の一つで、調査員が船にゆっくりと曳かれながら、シュノーケリングで水中や水底の状況を目視する調査方法のこと。その様子がマンタ(オニイトマキエイ)に似ているところからマンタ法と呼ばれている。「数少ないジュゴンに圧力を加えずに、ジュゴンがここに生きているという実感を得られる方法です」(見守る会代表・鈴木雅子さん)。ジュゴンの食み跡だけでなく、ジュゴンの海に生きているさまざまな生きものに出会える喜びもある。

 鈴木さんは「専門家でない市民調査の特徴は、フットワークの軽さであり、楽しむことです。このハンドブックをもとに、より多くの市民が楽しみながら学んでほしい」と語る。チーム・ザンの調査には日本や海外のジュゴン研究者の指導・協力を得ており、「ハンドブックは研究者と一般市民をつなぐ役割もあります。私たちのジュゴン保護活動には、マンタ法による継続的で科学的なモニタリングと、一般への普及活動の両輪が必要であり、その二つをクロスできるツールがこのハンドブックだと考えています」。

沖縄「北限のジュゴン」市民調査チーム・ザンがハンドブックを刊行 | <center>8月17日に行われた「オキナワのジュゴンを知ろう!」ワークショップの様子。</center>
8月17日に行われた「オキナワのジュゴンを知ろう!」ワークショップの様子。
 チーム・ザンではハンドブックの刊行を期して、8月17日、名護市東海岸で、ジュゴンの餌である海草観察を中心とした「オキナワのジュゴンを知ろう!」ワークショップを行い、一般募集で参加した親子連れなどから好評を博した。「こんな調査をやっていますと説明しても、なかなか伝わらなかったのが、ハンドブックによって伝えやすくなった。こういうものが必要だったという感想も得ています。実際にはなかなか見ることのできないジュゴンですが、ハンドブックにより沖縄では身近な生きものとして親しみが持てるようになると思います」(鈴木さん)。

沖縄「北限のジュゴン」市民調査チーム・ザンがハンドブックを刊行 | <center>8月17日に行われた「オキナワのジュゴンを知ろう!」ワークショップの様子。</center>
8月17日に行われた「オキナワのジュゴンを知ろう!」ワークショップの様子。
 ジュゴンに関する基礎的情報は網羅しているというハンドブックだが、「今後、より読みやすくしたり、市民が求めているものを加えていくなど、改訂版を作っていきたい」と鈴木さんは言う。

 マンタ法はあくまでも市民調査の一つの方法であり、チーム・ザンはそれに縛られているわけではない。調査活動はいろんなやり方があっていい。継続して記録していくことの重要さは言うまでもないが、市民調査は何より楽しくなければ続かない。海の初心者でも楽しめる安全な方法による生物や海草の観察、ジュゴンの伝承や文化調査、陸上での学習会なども行っている。ジュゴンが今いる場所だけでなく、かつていた場所も含め、いろんな地域の調査もやっていきたいと夢は膨らむ。

 ハンドブックは900部作成し、沖縄事務所と東京事務所双方で扱っている。1部につきカンパ200円(送料別)。カンパは調査時の調査員の昼食代補助などに当てられる(次回調査は9月半ばを予定)。

 お問い合せ・お申し込みは、北限のジュゴンを見守る会・沖縄事務所(Tel&Fax:0980−43−7027、Eメール:info@sea-dugong.org)まで。

※以下の写真はクリックで拡大します。
沖縄「北限のジュゴン」市民調査チーム・ザンがハンドブックを刊行 | 『マンタ法によるジュゴンの食み跡調査ハンドブック』表紙。
『マンタ法によるジュゴンの食み跡調査ハンドブック』表紙。
沖縄「北限のジュゴン」市民調査チーム・ザンがハンドブックを刊行 | 『マンタ法によるジュゴンの食み跡調査ハンドブック』より。
『マンタ法によるジュゴンの食み跡調査ハンドブック』より。
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