青森市内のりんご園
「リンゴ王国青森」が揺れている。
「ユーミーアップルジュース」の看板商品を持つリンゴ加工製品製造業者「青森県果工」が、中国などから輸入した濃縮果汁を原料に使いながら青森県産と偽装表示していた問題で、「リンゴ王国」を自負する青森県と青森リンゴのブランドイメージは大きく傷ついた。
1991年、台風で落下したリンゴを 本来なら加工用にしかならないのにスーパーマーケットなどの協力で生食用として販売してもらったり、また消費者にも快く買っていただいた。
今年も、ヒョウで傷ついた(本来、生食用としては売れない)リンゴをイオンが全国のジャスコで販売するなど、支援が広がっている。「青森リンゴがんばれ!」と、全国から応援してもらってきたことをリンゴ農家は忘れていない。
それなのに、いち加工業者が利益の追求だけを目的に安い外国の原料を使って、こともあろうに青森県産と偽って販売するとは。そのことがどれだけ青森リンゴを傷つけるのか、想像できなかったのだろうか。青森県に有名なリンゴ加工業者は3社ほどある。問題を起こした会社はそのうちの一つだ。
先に書いたように、本来生食用で売れなかったリンゴも、売れる時代になった。少し傷ついたくらいでは味は変わらないし、贈答用でもない限り見た目を気にする必要がないということに、消費者は気づいたからだ。
今回の事件の背景には、次のような風潮があったようだ。ここ数年加工用リンゴは品薄で仕入れることは難しくなったという。農家としても加工用で売るよりも、生食可能な傷リンゴとして売った方が収入になる。その結果、材料の傷等がある規格外のリンゴの値があがり、加工業者は利益を出すのが難しい時代になったのだという。
青森市に住んでいる筆者も、リンゴジュースを贈答品として、お世話になった人などに贈ることが少なくない。しかし大きな加工業者のジュースではない。それはなぜかというと、そのような工場の製品はもともと信用していないからだ。
かつて何度かリンゴの加工場を取材で訪れたことがある。県産リンゴ100%であることは間違いないと思うが、どんな原料が使われているのかはっきりいってわからない。つまり、生食で売ることができないリンゴと一言で言っても、その意味は広すぎる。原料の管理状態も含めて、いろんな状態のリンゴが使われているということは間違いない。なにせ、生で食べられないリンゴなのだから。
だた熱処理をしているので、健康に害があるジュースではないと思いたいが……。安いリンゴジュースには何か訳がある。そう考えた方がいい。
筆者の場合、ここ数年は同じリンゴ農家から、自家製ジュースを直接買っている。もちろん生のリンゴもその農家から買っている。値段は少し高いが、原料が完熟リンゴであったり、リンゴの品種別にジュースを作ったりと。一つ一つ偽りがないことが実感できるからだ。筆書は青森に住んでいるから農家から買うことができるので恵まれている。
リンゴに限らず食品の偽装事件が相次いで発覚している。だが誰の指示で偽装が行われているのか犯人捜しをするだけでは、また業者のモラルを問うだけでは、この問題はいつになってもなくならないのではないか。
安い商品に飛びつくのは一般の消費者の心理だが、“安さにはわけががある”ということも認識しなければならない。スーパーに並んでいる商品は全部信頼できるわけではないということに気づくべきなのだ。
消費者に求められているのは、信頼できる商品を選ぶ判断力だ。加工食品であれば裏の表示をきちんと見て選ぶなど、消費者が賢くなることで生産の現場では偽装がやりにくくなるし、生産に対しての意欲が変わるのではないか。生産者だって商品に自信を持って売りたいはずだ。
安い食品ではなく、多少値段が高くても安心・安全な食品を求める消費者が増えることが、大事だ。消費者も勉強をしよう。