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山梨県都留市:盛里地域を照らす「光」は来るのか?

日向良和2008/10/19
山梨県東部にある都留市。現在サービスされている主なネットワークサービスは、有線ではISDN回線(一部リーチDSL)、無線ではFOMAおよびAuのCDMA1X WINサービスのみである。有線ではナローバンドサービスのISDNのみ、無線でも最も早くて2.4Mbps(実測は800Kbps程度)である。東京から100km圏内にいまだこのような地域が残されていることが驚きである。
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山梨県都留市:盛里地域を照らす「光」は来るのか? | <center>衛星ブロードバンド用パラボラアンテナ</center>
衛星ブロードバンド用パラボラアンテナ
 東京から車で約1時間、山梨県東部にある都留市は、人口3万2000の小さな地方都市である。都留市には市が設置する都留文科大学があり、古く城下町のころより山梨県東部地域の政治・文化・経済の中心地として文教が盛んな都市として発展。現在の市の第5次長期計画では「教育首都つる」を目指したまちづくりを第一の目標にあげている。(以上都留市役所HPより。

 「盛里地域」は都留市の東部に位置する、大月市、上野原市および道志村と接し、谷間に細長く集落が続く、山に囲まれた自然豊かなエリアで、人口1507人、戸数446戸(平成17年度国勢調査)である。

 このエリアは、鎌倉街道の裏街道として多くの人が行き交う鎌倉往還として古い歴史が里の記憶として今に伝えられ、現在、地域の旭小学校では神社の境内にすむムササビへの餌づけを長年にわたりおこなっていることで全国的に有名である。また、未来に向かっては、リニア中央新幹線の山梨リニア実験線車両基地があり、豊かな自然と古代からの記憶、そして将来の夢が融合している地域を形成している。しかし、この地域にはまだ「光」が差していない……。

 「光」とは現代の情報化社会のインフラとしてもっとも重要な「ブロードバンドネットワーク」である。

 現在サービスされている主なネットワークサービスは、有線ではISDN回線(一部リーチDSL)、無線ではFOMAおよびAuのCDMA1X WINサービスのみである。有線ではナローバンドサービスのISDNのみ、無線でも最も早くて2.4Mbps(実測は800Kbps程度)である。東京から100km圏内にいまだこのような地域が残されていることが驚きである。

 周辺地域をみると、都留市内のほとんどの地域ではADSLおよびFTTH(光ファイバー)がサービスされている。また隣接の大月市、上野原市秋山地区、道志村についてもFTTHサービスがおこなわれている。(道志村は平成21年度から)山梨県東部地域といった広域でみても「ここ」はポッカリと暗闇に閉ざされているのである。

 今インターネットでさまざまなサービスがおこなわれている。ショッピングでは生鮮食料品も含めてインターネットを通して買うことができる。また、電子政府、電子自治体サービスを利用することにより、確定申告や電子入札といった生活や企業活動になくてはならない活動がインターネットを通じておこなわれている。企業活動についてインターネットが連絡・受注・入札・報告といった活動のあらゆる面で必須のインフラであることは論を待たない。公共工事では電子入札、現場と写真や動画を介した各種連絡がインターネットを通じておこなわれている。

 また、教育においても情報化社会においてインターネットを通じた情報収集の重要性は増すばかりであり、そのスキルである情報リテラシーを磨くことは児童・生徒の学習において不可欠である。このような中で、盛里地域に居住する住民や企業はどのような不利な状況であるか。容易に想像できよう。

 車の運転が難しくなってきたおじいちゃん、おばあちゃん。インターネットを通じての買い物を試してみようとしても、商品の写真がなかなか出てこない。厳しい競争にさらされている地元の建設業者。電子入札ソフトのダウンロードに数時間、現場の写真をすべて見るのに数時間、もちろん現場の動画などは送ることができない。

 小学校での調べ学習。近くの図書館までバスなどで1時間近くかかる場所にあり、子どもがひとりでいくことはできない。そこでインターネットを通じての情報収集であるが、やはりページの写真や動画などがなかなかみることができない。

 もっとも根本的なこととして、OSのアップデートやワクチンソフトのアップデートは現在必須の作業であるが、時には数十MBから100MBを超えるアップデートデータのダウンロードは一晩がかりである。

 もしブロードバンドが開通したならば、これらの時間は数秒から数分に短縮でき、現在さまざまなデータが増えている動画なども見ることができるようになるであろう。またこれから大量退職を控える団塊の世代のセカンドライフにブロードバンドは必須の条件であろう。

 盛里地域ではこれまで地域住民に対してブロードバンド導入のための署名などを集めてきた。平成20年度からは地域住民でつくる「盛里まちづくり推進協議会」にワーキンググループをつくり、地域全体で行政・企業に強力に働きかけている。

 そのような盛里地域において10月1日より、衛星ブロードバンド普及推進協議会による衛星ブロードバンドネットワークの実証実験がおこなわれている。全国4カ所(山梨県都留市、広島県庄原市、京都府綾部市、広島県広島市)において、衛星パラボラアンテナを設置して、人工衛星によるブロードバンド通信をおこなう実験である。ブロードバンド実験では下り2.4Mbps程度の速度が安定的にでている。このスピードなら動画などもスムーズに鑑賞できている。それぞれ4カ所とも山間地でブロードバンドから取り残されている地域である。これらの地域に細いながらも空から光が降るのだろうか。

実験ブログ:盛りの里へ光を
衛星ブロードバンド普及推進協議会

 総務省は2010年に向けてブロードバンドゼロ地域解消を目指している。他にも盛里地域のようなブロードバンドゼロ地域が全国には少なからずあるであろう。官民学そろって解消に全力を尽くしていただきたい。また地域住民においてもインターネットインフラの重要性を認識し、その導入にご理解をいただけると幸いである。
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