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世界遺産都市めざす鎌倉に「かまくらジャン」ブログ開設 

佐藤夏生2008/10/30
鎌倉在住の市民記者の筆者が「かまくらジャン」というブログを開設した。市民活動や市民に向けられた活動を紹介するのはもちろん、鎌倉の将来を左右しかねない世界遺産登録について、さまざまな角度から考えるためのニュースを提供したい。
神奈川 Web NA_テーマ2
 10月16日に「かまくらジャン」<かまくらJanJan>というブログを開設した。
http://blogs.yahoo.co.jp/kamakurajanjan

 鎌倉在住の市民記者に過ぎない私が僭越なことだが、同じ在住の江口征男記者、野口稔記者からご理解とご賛同をいただき、温かい励ましやアドバイスもいただくことができて、とても感謝している。あまり肩ひじ張らずに続けていきたいと思っているところだ。以下にその経緯と開設の趣旨をご紹介したい。

世界遺産都市めざす鎌倉に「かまくらジャン」ブログ開設  | 長谷観音参道の景観重要建築物「対遷閣」。明治期の外観を再現したという旅館建築。
長谷観音参道の景観重要建築物「対遷閣」。明治期の外観を再現したという旅館建築。
 今年度に入り、鎌倉市のメディアセンターにJanJanの市民記者として登録した。「鎌倉支局」の出来上がりだ。こんなことはどこでもできることではないそうだが、鎌倉・逗子の市民には何ということもない。地元メディアは皆さん登録している。ない不便さを知らないから、ありがたいと思うより、「もっと」を求める。どこかの宅急便ではないが、「あなたのわがままに応えます」という姿勢が求められてしまう。しかしながら、これは恐らく今すべての自治体と市民との間にある葛藤だろう。自治体職員氏は、自分の職場でありながら、そこに踏み込まれてしまう潜在的な恐怖を抱えているのではないかと時々同情したりもする。

 メディアセンターに限って言えば、広報課にとって、メディアセンターは市民の広報機関として有用で、かつ市の業務に踏み込まれる余地の少ないところではないだろうか。とはいえ、大新聞と市民メディアや地元マスコミの違いは鮮明だ。大新聞のいいところは、相当踏み込んだ記事が書けるところだろう。市民メディアでそれができるのは、しがらみのない記者だ。社会人であろうとするうちは難しい。身分のほぼ保障された一流企業のサラリーマンでも取引先やら会社のしがらみは怖い。リタイアしても束縛している会社もある。公務員にはできない相談だ。中小企業や個人事業主に至っては、生活の基盤も揺るがされかねない。こうしたしがらみをすべて断ち切って、JanJanで健筆をふるっている記者さんたちは貴重な存在だ。しかしながら、やはり一番元気なのは大新聞である。彼らの支援がなくては、鎌倉の市民社会の支持で成り立つ政権の間違いを糾弾することは相当困難だ。もっとも大新聞の支援があるということは、それだけ正しい主張をしているとも言えるのだが。

世界遺産都市めざす鎌倉に「かまくらジャン」ブログ開設  | NPO団体、商工会議所、市など70余団体が集い、鎌倉を挙げて世界遺産登録推進活動に取り組んでいる。
NPO団体、商工会議所、市など70余団体が集い、鎌倉を挙げて世界遺産登録推進活動に取り組んでいる。
 こうしたなかで、まだ社会人である必要のある自分は、どのように市民社会を支援していけるのか。JanJanの支局としての役割を果たせるのか。メディアセンターへの登録により期せずして、その課題とまともに向き合う機会を与えられることになった。

 その答えとして、いくつかの課題を見つけた。第1には市民活動や市民に向けられた活動をできる限り紹介していくことだ。第2は、今鎌倉の将来を左右しかねない世界遺産登録について、さまざまな角度から考えるためのニュースを提供することだ。それには鎌倉を愛する市民たちの思いを伝え、本当に護るべきと、市民が考えている鎌倉像を日本社会と行政に理解してもらうための情報を発信することだ。また今探索されている鎌倉の研究を広く伝えることではないかと考える。

 鎌倉は日本の都である。住んでいる人、特にNPO活動に献身する主婦層やリタイア層、地元で仕事をする人々の古都鎌倉に対する誇りは、それを知らない人には想像もつかない。私も『鎌倉都民(かまくらを住居にして、東京に通勤するベッドタウン族)』の間は、地元の人の話を聞いて「鎌倉の人って、鎌倉が都なんですね!?」と驚いたものである。しかしながらここにどっぷり浸かったら、もはや頼朝公は昨日近所の山を歩いたようであり、八幡宮の神事を行っているように思える。八幡宮の宮司さんが、若宮大路を鎌倉時代に戻したい、というのももっともな話とわかるのである。頼朝も政子も、北条泰時も、今もこの都に生きているのである。人によっては実朝も大姫も、栄西も円月も、忍性も日蓮も、みな昨日話をしていたように生きているのである。

 平安末期から今日まで古都を愛したすべての人々の心が集まるふるさととでも言おうか。「新編源氏物語」「北条物語」(いずれも私の造語だが)の舞台である。その心が、今は世界遺産登録のためにひとつになって、実は武家政権の始まり、日本の中世の始まりが世界人類にとってどのような意義を持っているかを探し求めている。だから今、鎌倉の市民社会は、日本でありながら<鎌倉>という独自のアイデンティティのなかで生きている。それをどのように他者に理解させるかが大きな課題なのだ。これまで、人の思惑をまったく気にせず鎌倉だけを見つめていた旧来の鎌倉人が、自らのアイデンティティを世界に理解してもらうために葛藤している。「かまくらジャン」は、この経過を客観的に伝えていきたい。

世界遺産都市めざす鎌倉に「かまくらジャン」ブログ開設  | 北鎌倉駅前。山々の景観が「かまくら」をつくる。
北鎌倉駅前。山々の景観が「かまくら」をつくる。
 今日、テレビで、世界遺産の価値があるとされた<鞆>の町で、港を埋め立て道を通すという県市主導の計画があることを報道していた。市民は推進派と反対派に割れているという。今の鎌倉で、そのような計画が起こったら、市民はこぞって反対するだろう。推進派の声はかき消されてしまうに違いない。それでもまだ、鎌倉にも40年前の開発促進の行政計画が残っている。世界遺産登録するためには、もはやバグとしか言えないこのような公の計画も洗い出していく必要があるだろう。そして、そこにしっかりと釘をさしてきた市民の力を再評価することが必要と考える。継続した市民の力が、今日に至って世界遺産候補となるような景観をかろうじて保ってきたのだ。同じ世界遺産を目指す鞘の町へ、観光都市の先達である鎌倉がなぜ、いかにして、古都と自然的環境の景観を保ってきたかの経緯を知らせるだろう。

 このような趣旨をもって、私はかまくらJanJanを運営していきたいと思っている。
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