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地域再開発:行政は古い発想のごり押しをやめ、地域住民の意見を取り込んだ新しい発想ができないのか

矢本真人2008/11/01
旧神奈川県立川崎南高校の跡地利用を巡る裁判は続いている。行政は地域住民としっかり向き合うべきだ。抗議の現場には沢山の訴えがある。「イメージして欲しい100年後のこの森の姿を」「神奈川県はどうしてパブリックコメントを募集して南高の再利用を検討しないのか」「みんなの税金で建った南高を住民にろくに説明もせず、解体を進めるな」、そして「「みなみ(南高)ちゃんを守ろう」と訴えている。
神奈川 まちづくり NA_テーマ2
地域再開発:行政は古い発想のごり押しをやめ、地域住民の意見を取り込んだ新しい発想ができないのか | 裁判で係争中であるが、内装の取り壊し作業が始まった旧神奈川県立川崎南高校
体育館の天井はアスベストが吹き付けられているが、工事は無防備なやり方だ。<br>旧県立川崎南高校 2008.10.30 矢本真人
裁判で係争中であるが、内装の取り壊し作業が始まった旧神奈川県立川崎南高校 体育館の天井はアスベストが吹き付けられているが、工事は無防備なやり方だ。
旧県立川崎南高校 2008.10.30 矢本真人
 国や県、市町村のやる事業が地域住民らの反対にもかかわらず、強行される例は以前から多い。過去に美濃部さんが東京都知事であった革新知事時代に「一人でも反対者があると、その事業はやらない」との方針を貫いたことがあるが、行政は滞ったと聞いたことがある。官僚にとって一度決まったことをどんな理由があれ変更することは御法度なのだ。行政が住民の身近な問題で、反対派の意見を聞くことは実に大変なことなのだ。

 ある事例がここにある。旧神奈川県立川崎南高校の跡地利用を巡って裁判沙汰にまで発展しているケースだ。

 県、市は住民に十分な説明をしないまま計画の強行突破を図ったのだが、旧県立川崎南高校を建設した当時(約30年前)、「廃校するときは福祉など地域住民のために使用する」と言う約束で地域住民は設立に協力したのだという。ところが川崎高校統合後、行政(県、市)は校舎などを解体・撤去しURに売却、用途変更して商業施設やゲームセンターを建設しようという計画を出してきた。

 地域住民はそれでは約束が違う。今まで協力してきたのも「廃校時は住民のために福祉施設などに使用する約束があったためだ」と抗議した。

 解体、土壌改良などに7億7000万円もの無駄づかいをし、その上、緑を破壊する反環境行為をしなくても有効利用の仕方は他に沢山あると住民側は提案し、話し合いを要求していた。その話し合いについて、県知事は「もう充分に説明した」と言っているが、住民にとっては昨年7月の1回だけと、とてもではないが納得がいかないようだ。

 十分な話し合いができないうちは工事は認められない、阻止しようと、地域住民の校門前の座りこみが始まった。暑い夏でも年配者が交代で警戒した。

 ところが行政側は工事着工を早く進めたいために、住民の行動を工事妨害であるとして、3月、横浜地裁に対し、「建物除去工事妨害禁止仮処分」の申し立てを行った。その決定が9月5日に出た。「工事やそれに付随する一切の作業を妨害してはならない」という住民側敗訴の決定であった。当然住民側はこの「仮処分」に異議申し立てをした。

地域再開発:行政は古い発想のごり押しをやめ、地域住民の意見を取り込んだ新しい発想ができないのか | 横浜地裁から出された、除去作業及びそれに付随する作業の妨害を禁止する決定に対して地域住民が異議申し立てをしとぃえう。裁判はまだ継続中だ<br>
2008.10.30 矢本真人
横浜地裁から出された、除去作業及びそれに付随する作業の妨害を禁止する決定に対して地域住民が異議申し立てをしとぃえう。裁判はまだ継続中だ
2008.10.30 矢本真人
 この決定を機に、神奈川県から工事再開に当たっての見解が示された。この計画は県有財産の早期有効活用、川崎市のまちづくりに大いに貢献し、さらに逼迫している財源確保にも利するという内容だ。行政側は工事再開を要望し、27日から車輌搬出入、内装工事が始まった。警備員、ガードマンも通常の倍以上を配置している。

 解体せずに生かせる方法としては、「川崎南高を活かそう会」会長の高橋さんによると、災害時の避難場所、高齢者福祉、競技場、仮校舎としての使用、保育所、学童保育、地域コミュニテイー活動などが考えられるし、なによりも緑の保全ができるという。

 一方、商業施設、ゲームセンターの利用としては、車の往来などの環境が悪くなるし、商業施設はいまでもエスパが隣接している。近くのJR川崎駅には大型ショッピングセンター、アザリアやラゾーナがあり、若者で賑わっている。今、消費は落ち込んでおり、イオンなどは大型ショッピングセンターから一部撤退も考えているのが現状である。7.7億円を投資してさらに高額で売却すれば逼迫する財源の補充には役立つかもしれないが、先のことを考えた地域住民のためになる計画なのだろうか、と疑問も出てくる。

 抗議行動をしていた女性に「今、署名はどの位集まったんですか」と聞くと「3万9000人を越えた」という。まだ今日も続いている。「一体誰が解体を決めたのか」と問うても分からないらしい。

 地域住民に校舎を貸与する方法もあるのではと思った。実例が東京都にあるという。四谷第四小学校は校舎の半分が地元に無償貸与されている。残り半分はNPOが有償で活用し、地域コミュニテイーの核となっている。東京都ができて何故神奈川県はできないのか。この計画の背後に利権に絡む輩がうごめいている感じがする。

 同高校には地元住民も1500万円に及ぶ献金をしている。解体することはこれらの善意を葬り去ることで許されないという感情もある。県が主張するように、県の資産とばかり言ってはいられない事情もあるのだ。

地域再開発:行政は古い発想のごり押しをやめ、地域住民の意見を取り込んだ新しい発想ができないのか | 校門前に掲示された住民の主張<br>「公僕を忘れ私的感情の行政」「みなみちゃんを守ろう」の看板など<br>2008.10.30
 矢本真人
校門前に掲示された住民の主張
「公僕を忘れ私的感情の行政」「みなみちゃんを守ろう」の看板など
2008.10.30  矢本真人
 税金のムダ使い、福祉社会の充実、環境保護、これから益々必要になる地域コミュニケーションの重要性などを考えると県や市が言うような施設が本当に必要なのか疑問に思う。地域住民がしっかりした提案をしているのだから、何故もっと話し合いに熱意を示さないのか。行政のお粗末さ、旧来然とした行政のやり方に怒りを覚える。

 体育館の内装解体が始まった。この体育館の天井にはアスベストが張られていると言うが全く無防備な工事をやっており、地域住民の不安は絶えない。行政側はどんな管理をしているのか。

 まだ裁判は続いている。行政は地域住民としっかり向き合うべきだ。抗議現場には沢山の訴えがある。「イメージして欲しい100年後のこの森の姿を」「神奈川県はどうしてパブリックコメントを募集して南高の再利用を検討しないのか」「みんなの税金で建った南高を住民にろくに説明もせず、解体を進めるな」、そして「「みなみ(南高)ちゃんを守ろう」と訴えている。

 神奈川県は新しい行政のやり方を模索すべきである。

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