12月7日、宮崎県児湯(こゆ)郡新富町の航空自衛隊新田原(にゅうたばる)基地(米沢敬一司令)で、毎年恒例の航空祭が行われ、県内外から約6万人の来場者があった。
「ダイヤモンド・テイクオフ」の隊形をとるブルーインパルス(12月7日 宮崎県新富町で筆者撮影)
基地周辺では毎年交通渋滞や駐車をめぐるトラブル等も起きているため、新田原基地では昨年度から基地内及び基地に隣接している眺鷲(ちょうしゅう)台駐車場等の使用に際して、駐車券を発行することとなった。事前の申し込みが必要だが、抽選にもれた場合は、基地から離れた特設駐車場を利用する。特設駐車場からは有料のシャトルバスで基地へ向かうことになる。
午前6時すぎに自宅を出て、宮崎市に近い特設駐車場に着いたのは午前6時半過ぎであった。すでに多くの車がとまっていて、特設の受付で往復の乗車券を購入し、バスに乗り込んだ。午前8時半の開門が1時間ほど早くなったとのことで、その時間に合わせるように、午前7時10分すぎからシャトルバスが動き始めた。
「ワイド・トゥ・デルタ・ループ」で急降下!(12月7日 宮崎県新富町で筆者撮影)
新田原基地までは約20分。シャトルバスが進入する南門には、他の特設駐車場からのシャトルバスがすでに開門を待って並んでいた。会場に着くと、すでに基地内に駐車していた見学客が、地上展示してある航空機をカメラやビデオカメラで撮影していた。12月に入り宮崎も冷え込みが厳しくなり、この日もとても寒かった。私も防寒対策をしてきたが、毛布など持ち込んでいる人もいた。
午前9時からの飛行展示は、新田原基地第301飛行隊のF-4EJ改戦闘機やF-15戦闘機など14機による編隊飛行で始まった。
この航空祭の目玉は2つある。
1つは、「日本のトップガン」と呼ばれる飛行教導隊による機動飛行である。
1983(昭和58)年3月、それまであった築城基地(福岡県)から新田原基地に部隊移動した飛行教導隊は、対戦闘機戦闘のエキスパートが第1線部隊のファーター・パイロットに空中戦のノウハウを教える部隊として編成された。
飛行教導隊は、仮想敵部隊として行動するため、攻撃者・侵略者を意味する「AGGRESOR(アグレッサー)」を帽子や隊本部の部隊旗のデザインとして使用している。また、「空中戦には白旗は無い。敗北すればこれだ!」を意味するドクロのマークが胸のエンブレム及び教導隊の部隊旗のデザインになっている。
かなりアグレッシブな印象のある飛行教導隊だが、さらに、使用しているF-15DJ(一部F-15J)は迷彩柄が施され、垂直尾翼にはコブラのマークが付いている。
この「日本のトップガン」たちの飛行が見られるということで、多くの航空ファンや戦闘機マニアたちもカメラを手に詰め掛けていた。教導隊は、最大性能発揮による機動飛行を行った。かなり低空で飛行するF-15戦闘機はめったに見ないが、迫力ある飛行は圧巻であった。
「タック・クロス」、ものすごい近距離で交差していました(12月7日 宮崎県新富町で筆者撮影)
そして、もう1つの目玉は、「ブルーインパルス」である。
ブルーインパルスは、宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地第4航空団第11飛行隊に所属するエアロバティックチームである。ニックネームのブルーインパルスは、初期のコールサインである「チェッカー・ブルー」、訓練時の「インパルス・ブルー」に由来している。
ブルーインパルスの初代機体F-86は、東京オリンピックで五輪の輪、大阪万博開会式で空に「EXPO'70」の文字を描いた。そのかっこよさに、大きくなったらパイロットになりたいと子どもながらに思ったものだ。
2代目T-2は国産の超音速高等練習機で、離陸時にアフターバーナーを使用して発煙油に点火するトーチングがかっこよかった。戦闘機のプラモデルを完成させたあと、トーチングを再現するために、脱脂綿に赤く色を塗って戦闘機につけたことを覚えている。現在は3代目のT-4で、年間20回程度の展示飛行を行っている。九州・沖縄では、築城基地、那覇基地でも行われている。
さて、新田原基地の航空祭は、この2つの目玉展示飛行だけではなく、救難ヘリコプターUH60、救難捜索機U125Aによる救難活動の一連の動きの紹介や、千葉県船橋市の陸上自衛隊習志野基地所属の第1空挺団による空挺降下も行われた。アナウンスでは宮崎県出身者の隊員の名前が呼ばれていたが、家族や親戚などが見ている中での降下は気持ち良かったことだろう。
寒い1日ではあったが、家族連れでシートを広げてお弁当を食べながら、上空で繰り広げられている空中ショーを楽しんでいた。
「毎年、家族と一緒に来ています。ブルーインパルスの飛行を楽しみにしていますが、寒いですね」(40代男性)
「迷彩柄のF15は他では見ることができないので、たくさん写真に収めたいですね」(20代男性)
また、若い女性が会場に多かった。基地に勤めている家族ではなく、どうやらイケメンの隊員がお目当てのようである。
「パイロットはかっこいいので、一緒に写真を撮りたいと思っています」(20代女性)などのように、飛行が終わったパイロットの周りには一緒に写真に写る姿が見られた。
午後3時に航空祭は終了し、展示されていた航空機は所属部隊に戻るため、離陸の準備をしていた。
その中で、1機だけ気になる機体があった。地上展示されていた早期警戒機E-2C、通称「ホークアイ」である。予算の関係で艦載機用の機体を導入することとなったため、主翼が折りたためる構造になっている。展示では、主翼を折りたたんだ状態であったため、どうやって主翼を伸ばすのだろうか、ということである。
興味があったのは私だけではないようで、E-2Cの周りには多くの人が集まっていた。エンジンがかかりプロペラが回るものの、一向に主翼は伸ばす気配がない。ビデオカメラを置いた瞬間、ガクンという音がして静かに羽が動き出した。私だけではなく、周囲にいた人はカメラやビデオカメラを構えてその様子を撮影していた。結構面白いものを見た。詳しくは、動画で紹介したい。
以前は国道10号が混雑していたが、道路事情が良くなり、さほど渋滞することなく帰宅することができた。この時期の航空祭は、防寒対策が欠かせない。また、基地内または基地近くの駐車場を利用したい場合は、事前に申し込みが必要で、航空祭に合わせてホームページをチェックすることをお勧めする。
【関連サイト】
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航空自衛隊新田原基地
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ブルーインパルス
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飛行教導隊は迷彩柄のF-15で、垂直尾翼にはコブラのマークも
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築城基地(福岡県)からはF2支援戦闘機が機動飛行を行った
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第1空挺団の宮崎県出身隊員による空挺降下も行われた
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