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辺野古新基地アセス準備書の公告縦覧始まる

浦島悦子2009/04/13
普天間飛行場代替施設(辺野古・大浦湾沿岸新基地)の環境影響評価(アセスメント)準備書の公告縦覧が4月2日から始まった。問題だらけの準備書を、是非、多くの人々が見て、意見を出して欲しいと思う。膨大な量を全部見る必要はない。自分が興味や関心のある箇所だけでいい。そして、数行でもいいから意見を書いて出すことが、この無謀な計画を見直す力になる。
沖縄 安全保障 NA_テーマ2
 普天間飛行場代替施設(辺野古・大浦湾沿岸新基地)の環境影響評価(アセスメント)準備書の公告縦覧が4月2日から始まった。縦覧期間は1ヶ月。縦覧開始から1ヶ月半(5月15日)までに、誰でも、準備書に対する意見を出すことができる。

辺野古新基地アセス準備書の公告縦覧始まる | <center>準備書の縦覧場所(名護市役所ロビー)
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準備書の縦覧場所(名護市役所ロビー)
アセス法の精神に反する縦覧方法
 移設予定地とされる名護市東海岸(久志地域)に住んでいる私は、縦覧開始の数日前、同施設の事業者である沖縄防衛局に電話し、地域の各公民館で、それが無理なら最低、名護市役所の久志支所だけでも縦覧場所にして欲しいとお願いした。応対した同局広報室の職員は「ご要望は伝えます」と言ったが、結局それは実現せず、今回も方法書の時と同様、5ヶ所(沖縄防衛局、同辺野古出張所、沖縄県庁、名護市役所、宜野座村役場)のみで縦覧されることとなった。

 北限のジュゴンが生息し、アオサンゴやハマサンゴの大群落、クマノミのコロニーなど、世界的にも貴重な生態系が次々に明らかになっている辺野古・大浦湾海域に巨大な基地を造るこの計画の環境アセスには、今や日本中、否、世界中の関心が集まっている。それなのに、公告縦覧場所はわずか沖縄県内の5ヶ所のみ。そのすべてが官公署なので、平日の9〜17時しか見ることができない。このことだけでも、市民とのコミュニケーションの道具と言われるアセス法の精神に反している。

 しかたなく、山を越えて西海岸の名護市役所まで出かけたのだが、準備書を実際に目にして唖然とした。まず場所がよくない。庁舎の入口近く、人が行き交い、風の吹き渡る場所。落ち着いてゆっくり見るには不適当だ。

 狭い机の上に、3分冊の準備書とその概要書が2セット置かれている。準備書の厚さに驚いた。なんと5400頁もある。仕事を持つ普通の市民が全部目を通すのはとうてい無理だ。さらに驚いたことに、書類はすべてワイヤーでつながれ、コピーも不可だという。
 地域の友人は、仕事の休みをもらってわざわざ行ったのに、既に閲覧者がいてなかなか終わらないので、閲覧できないまま帰ってきたとこぼしていた。概要書は300頁だが、そこでは肝心の調査結果がほとんど省かれている。準備書は、アセスの方法書に基づいて調査した結果を報告するものだから、それが載っていない概要書はあまり意味がない。

 当初、概要書のみをホームページで公開していた沖縄防衛局は、全文を公開すべきだという県内外の自然保護団体や市民の強い声に押されるように、9日、全文公開した。そのことは評価したいが、それでも、ダウンロードするだけでも膨大な時間がかかるし、インターネットを使えない環境にある市民も多い。 
    
 アセス法では、準備書の縦覧期間中に説明会を開くことが義務づけられている。防衛局は、これを形式だけのアリバイ的な説明会にするのでなく、地元はもちろん、県内外のできるだけ多くの場所で、市民が納得行くまで何度でも、説明会を行うべきである。

 さらに、予定地の海は、世界最大の自然保護団体である国際自然保護連合が3回も続けて保護勧告の決議を行っている北限のジュゴンの生息域であり、米国でジュゴン裁判も継続中であることから、準備書を英訳してWeb公開すべきだとの要請も行われている。

辺野古新基地アセス準備書の公告縦覧始まる | <center>3分冊の準備書。合計で5400頁
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3分冊の準備書。合計で5400頁
膨大な調査の結果は「環境影響なし」?
 限られた時間の中で、ごくわずかを拾い読みしただけだが、4500頁近い膨大な量の調査結果から導き出された結論(総合評価31頁)が「影響は少ない」というのでは、市民常識からあまりにも遠い。方法書も確定しないうちに海上自衛隊まで投入して事前調査を強行し、莫大な血税を使ったあげく、方法書に対して出された市民のさまざまな疑問や懸念にも、沖縄県や専門家の意見にも何一つ答えていない。

 ジュゴンだけをとってみても、沖縄県は最低複数年の調査が必要だと要請したにもかかわらず、わずか1年だけの調査で、沖縄島周辺の生息数は3頭(東海岸1頭、西海岸2頭)、辺野古は生息域ではないので基地建設の影響はない、と結論づけている。その乱暴さにはあきれるほかない。

 辺野古海域には、広範囲にわたる良好な海草藻場(ジュゴンの餌場)があり、以前はジュゴンの食み跡がたくさん見られた。それが見られなくなったのは、基地建設のためのボーリング調査を強行しようと、防衛局が雇ったたくさんの作業船が走り回るようになった2004年頃以降だ。音に敏感で、人間活動から身を避けるジュゴンを、命綱である餌場から追い出しておいて、生息域でないとは、本末転倒も甚だしい。ここに静けさが戻れば、ジュゴンは必ず戻ってくるはずだ。

 ジュゴンは移動する動物であり、生態も未解明の点が多い。専門家は、ジュゴンの個体数を維持するには、現在よりも良好な生息環境が必要だと言っている。もし、防衛局が言うように3頭しかいないのだとすればなおのこと、基地建設などできるはずがない。準備書をどう読んでも、建設計画は即刻中止し、佐渡のトキ以上に危機的状況にあるジュゴンの保護計画を早急に立てるべきだという結論しか考えられない。

 一昨年の方法書で最初に示された事業内容が17頁しかなく、専門家や市民、沖縄県環境影響評価審査会による再三の追及の結果、膨大な追加資料(これについて市民が意見を述べる機会は与えられなかった)が出され、「後出しジャンケン」と批判されたことは記憶に新しいが、今回の準備書もまた、同様の批判を浴びている。方法書にはなかった事業内容(4つのヘリパッド、船舶が接岸できる200mの護岸、汚水処理浄化槽、給油エリアなど)が、準備書に突然現れたのだ。「これは事業内容の変更に当るので、方法書からやり直すべきだ」と市民団体は要求している。

辺野古新基地アセス準備書の公告縦覧始まる | <center>ジュゴンについては229頁が使われている</center>
ジュゴンについては229頁が使われている
意見書を出そう
 ことほどさように問題だらけの準備書を、是非、多くの人々が見て、意見を出して欲しいと思う。膨大な量を全部見る必要はない。自分が興味や関心のある箇所だけでいい。そして、数行でもいいから意見を書いて出すことが、この無謀な計画を見直す力になる。

 繰り返すが、意見書は、地球上に住む人なら誰でも提出できる(但し、提出する際は日本語で、となっている)。

アセス準備書の全文は以下で見ることができます。
http://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/kakubu/03tyoutatubu/junbisyo/junbisyo.html

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