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二子玉川東地区再開発問題 「にこたまの環境を守る会」11・3集会開催

林田力2009/11/05
 「にこたまの環境を守る会」11・3集会〜『こんな理不尽な再開発は許せない』の怒りを、これからの運動につなげるための集会」が2009年11月3日に上野毛地区会館(東京都世田谷区)にて開催された。

 「にこたまの環境を守る会」は二子玉川東地区再開発の問題に取り組む住民団体である。集会では様々な団体の参加者が出席し、再開発の問題の広がりが感じられた。

 冒頭挨拶では新井英明副会長が集会の趣旨を説明した。当初は総会として企画したが、形式的な内容は避け、決起集会にしようということで、この形になったとする。

 淵脇弁護士からは継続中の2つの裁判について説明がなされた。再開発組合相手の民事訴訟では裁判所が洪水被害に関心を示し、その点の審理を進めているところである。世田谷区相手の住民訴訟では世田谷区が再開発組合の報告書だけで公金の支払いをしている実態が明らかになった。領収書などの添付もない杜撰さである。

 両訴訟とも相手方は形式的な反論しかしていない。民事訴訟では洪水時には高層マンション「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」の駐車場を水没させるから問題ないという、まともなマンションならばあり得ない反論がなされた。住民訴訟では再開発によって移り住む新住民が幸せになるから、既存住民は我慢しろと言わんばかりの反対尋問であった。これら相手方の論理の穴を炙(あぶ)り出すことに成功しているとする。最後に淵脇弁護士は二子玉川の美しさを自ら作詞作曲した歌「にこたまに愛を」を披露した。

 住民訴訟で証言した岩見良太郎・埼玉大学教授からは日本の都市計画の異常性が説明された。開発が善とされ、高層ビルを建てて企業が金儲けする計画が経済成長するということで公共性があると正当化されてしまう。本当の公共性は何かということを考えなければならない。
 
 そこで公共性の判断基準として「地域環境の優れた資質を引き継ぎ発展させるまちづくり」など5つの公準を立て、二子玉川東地区再開発が公共性を満たしていないことを意見書や証人尋問で示したという。最後に岩見教授は二子玉川の住民運動は日本中のまちづくりに影響を及ぼす可能性があるし、そのようになるべきであるとエールを送った。

 集会では他団体からの参加者も発言し、交流を深めた。代表的な団体は以下の通りである。
・二子玉川東地区住民まちづくり協議会
・二子玉川の環境と安全を考える会
・玉川1丁目の住環境を守る会
・外環道検討委員会
・景観と住環境を考える全国ネットワーク
・八ツ場ダムをストップさせる東京の会

 特に印象的であった内容は「二子玉川の環境と安全を考える会」の発言であった。これは二子玉川南地区の大規模堤防計画の見直しを求める団体である。巨大な堤防ができると、玉川一丁目は堤防と再開発地域で挟まれた、すり鉢の底のようになり、かえって洪水被害が増大する。これは再開発地域の北側が再開発地域の人工地盤によって洪水被害が激化することと同じである。堤防と再開発は同根の問題であり、共通の認識の下に戦わなければならないと主張した。
 
 また、景観と住環境を考える全国ネットワークの小磯盟四郎副代表は人口減少によって住宅が余りつつあり、放置マンションが出始めていると説明した。この中で「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」のような巨大マンション建設は幽霊マンションを作ることになるとしか思えないと批判した。

 住民からは様々な意見が出されたが、工事被害の深刻さが改めて浮き彫りになった。工事の重層的な下請け構造で、責任が有耶無耶にされる。元請けの東急建設らに約束させた内容が下請けや孫受け会社まで徹底されない。工事会社は説明会を開催せず、戸別訪問で済ませようとするため、被害の実態を共有して共同行動することの重要性が確認された。
 
 また、その場しのぎの工事会社の説明のエピソードも披露された。住民が工事会社に夜間工事を抗議したところ、「急に決まった工事で、人手がないから夜にやる」と開き直られたという。そもそも工事が急に決まること自体が不自然である上、優先度が高い工事ならば他の現場の要員を使えばよく、あえて夜間に行う必要はないと改めて抗議した。

 これを受けて、工事は機械掘りから手堀りに変わり、騒音・振動は緩和された。工事を手堀りで進めるということは時間的余裕があることになる。つまり緊急性のある工事だから住民は我慢しろという当初の工事会社の説明は崩れた。再開発事業自体がだましだましで進められており、工事説明も住民をごまかそうとする傾向がある。このために企業の説明を疑う姿勢が必要と指摘された。

 目の前で行われている工事被害対策というミクロの世界から、他団体と共通するまちづくりの問題共有というマクロの世界までを包含する有意義な集会であった。

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