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フェアトレードでも儲け企む巨大企業

水元公平2006/03/08
「フェアトレード」と聞けば、公正な取引を想像するが、途上国の原料を安く買って利益を上げているネスレ社は、これも販売戦略に組み込んでいる。
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 人々に、フェアーとアンフェア−とどちらが良いかを尋ねれば、殆どの人はフェアーを選択するでしょう。現代では、フェアーであるかどうかは、私たちの重要な価値基準になっています。お金を儲ける時でも、フェアーに行きたい、と私たちは考えます。ところで、フェアトレードと冠した商品があるのを、ご存じでしょうか。

 「自由貿易の名の下で、地球上の大半の人々は、その不公正に苦しんでいる」、「価格や利潤の他に何か『最優先すべき事項』があるのではないか」と考えた人々によって始められ、「フェアトレード」の称号≠ノ値する商品を認証する運動で、今や世界的に広がっています。発展途上国の小規模生産者の生活向上と再生産を支援するため、より公正な価格で継続的に商品取引するーー。この取組みが最も進んでいるとされる英国では、フェアトレード基金が創設され、財団が基準を設けてフェアトレード認証を発行しています。日本でも徐々に知られてきており、取組む団体やフェアトレード商品を取り扱う店が、全国的に増えています。

 バレンタインデーは終わりましたが、バレンタインデーに贈られるチョコレートにもフェアトレード商品が出始めています。フェアトレード商品で最もよく例に出されるのは、チョコレートとコーヒーです。いずれも、発展途上国の農民が原料を作り、欧米に輸出されて、加工商品化されます。しかし、途上国の輸出価格と欧米での蔵出し価格には雲泥の開きがあり、途上国の貧困と欧米企業の富の蓄積が問題になっています。そして、そのいずれの商品も世界最大の食品企業ネスレ(本社 スイス)の大きな戦略商品なのです。

 英国では、コーヒーショップチェーンのスターバックスでもフェアトレードコーヒーが出されて、顧客が飲めるようになっています。昨年秋には、ネスレも英国でフェアトレードコーヒーの認証を受けた商品を発売しました。しかし、ネスレ社は同国の高級紙ガーディアンに、「世界で最も倫理性の乏しい企業」とコキおろされました。有機消費者協会も、フェアトレード基金財団に「ネスレのフェアトレードはイチジクの葉なのだから、同財団の『不評条項』に抵触するので認証しないように」と警告を発したほどです。

 ネスレは社内報で、「イギリスで『フェアトレード認証』を受けたインスタントコーヒー“ネスカフェパートナーズブレンド”を発売しました」「ネスレの社会貢献のひとつ」と自画自賛、その上で「新たな消費者開拓の面でも期待」と、儲け拡大の意図を露骨に示しています。

 インターネットで「Nestle Fair Trade」を検索すると、驚くほど多くの批判記事が出てきます。

 「ネスカフェのフェアトレードコーヒーである『パートナーズブレンド』は、ネスレの総コーヒー販売の0.02%を占めているに過ぎません」、と英国ではいまだに、インターネットサイト(タイムズ オンライン3月4日)で言われています。

 また、ABS CBN News(3月4日)では、「巨大な多国籍企業ネスレはNGOによってかなり批判された後、フェアトレードのコーヒー・ブランドを出しました。しかし、ネスレのコーヒー全ての他のブランドがフェアトレードを意味しません。ひとつが認証されても、他の全てが公正取引によるもの、というわけでありません」と論評しました。

 これから日本で、フェアトレードはどのように成長していくのでしょう。注意深く見守っていきたいものです。
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写真はイメージです
(提供:「ミントBlue」

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