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2日間にわたって東名高速の休憩所をまわり、トラック運転手、清掃員の方から話を伺ってきたルポの第2弾です(前回記事:日本が広くなる?〜高速を降りて下を走る運転手)。 ■眠るための飲酒、起るための飲酒 トラックは車体が大きいからより図々しく見えるのかもしれないが、残念なことに一部の運転手はマナーもかなり悪い。足柄PAで早朝のエリア清掃が終わった清掃員に話を聞くと「昨日の夕方から一晩でコレだけのゴミがポイ捨てされていた」と言って大きなゴミ袋4つ分のゴミを見せてくれた。そのゴミ袋のなかにはたくさんの缶ビールや、酎ハイ、酒瓶があった。彼らはいつ酒を飲んでいるのだろうか。 トラックから出されるアルコール飲料のゴミについての疑問を運転手にぶつけて見ると、2種類の答えが返ってきた。 1.眠る前に飲んでいる 前回記事で紹介したように、運転手の睡眠時間は荷主の都合などからかなり不定期なものとなっている。いくら疲れていても、朝になり、太陽の光を浴びることでリセットされた体内時計の影響などで、すぐに眠れないときがある。そういったときに、缶ビールなどを1本一気に飲み、酔いが回ったところで眠ると言うのである。なるべく入眠までの時間を早くして睡眠時間を長くするための工夫だ。 2.運転中に飲んでいる こういった人は実際にかなり多いと思われるが、現状では警察の取り締まりがほとんどないため、まかり通っているらしい。多くの運転手が良く知っている話として、教えてくれた。それによると、眠るための酒がさめていない場合もあるが、この場合は、逆に眠らないために飲むのだと言う。少量のアルコールは脳を興奮させ眠りを遠ざけるという。 ■安全のためにシャブを打つ 以前の取材(*)で明らかになったことだが、トラック運転手の中で、眠らないために覚せい剤を利用している人がいるらしい。覚せい剤の使用についても話を聞いてみた。(*「安全のために覚醒剤を打つ――コスト削減要求に追い立てられるトラック運転手」:『世界』2006年2月号) 1人の運転手は、以前違う仕事をしているときに覚せい剤を利用したことがあると話す。その経験からすると「覚せい剤やってたらトラックなんて運転できない」「東京行こうとして九州走ってしまう」と、過労に対する覚せい剤の効果を否定していた。他の運転手も「覚せい剤をやると結局つらくなるからそんなもんは流行らない」と教えてくれた。 しかし、違う運転手は「覚せい剤は昔から魚屋(魚を市場に届けるトラック)の間では使われている」と語る。眠くなったときでも10分眠ればだいぶ楽になるから、大抵の運転手はそうするが、時間を追う仕事をする運転手はそうも言っていられない時があるのだという。そして「覚せい剤を利用しなければならない奴は、こんな時間こんな場所の休憩所にはいない」と言った。それは、夜9時前後の東京IC(インターチェンジ)から30キロほどした中井SA(サービスエリア)という場所だった。 魚市場に荷物を降ろしている運転手が眠れる時間は、早朝に荷物を降ろしたあとから、夕方に荷物を積むまでの時間で、その間をやりくりをするから、この時間にはこんなところにはいないのだという。単に睡眠時間の長短だけでなく、眠気が襲ってきたときに10分眠れないのがつらいのだと言う。そして最後に「俺は時間を追う仕事は引き受けない」と言っていた。 ■駐車場が、注射場 東京から1番近いPAの港北PAの清掃員で、「2年前に針を駐車場で拾って警察に届けた」という方に話を伺うことが出来た。針は駐車場の、トラックがいつも止まっている付近で注射器とともに落ちていたと言う。糖尿病の方のインシュリン用の注射針かどうかの鑑定も行われ、結果覚せい剤に使ったと判明した。「2時間ほど警察から話を聞かれた」と話していた。 海老名SA(下り) 足柄SA(下り)といった、東名高速道路でも有数の大きなSAの清掃員に話を聞いたところ、「年に3回から4回はトイレなどで注射針を見つける」という。しかし、こちらでは毎回警察に届けるわけではなく、毎回、清掃会社の上層部に報告すると言っていた。清掃を請け負う側にとっては、報告するだけ負担が大きくなるという現状があるようだ。 足柄SAの清掃員に興味深いことを聞いた。それは、「注射針が見つかるのは決まって下り。上りで見つかることはまれだ」というのだ。海老名SAでも上りではほとんど見つからないと言っていた。過労運転との関連性までは見つけられなかったが、大変興味深い。また、1人の運転手が覚せい剤の入手ルートについて教えてくれた。入れ替わり立ち代りトラックが入ってくる駐車場でも実は、いつも決まった場所に止まっているトラックがあるというのである。そして、知っている人は知っているらしいのだが、そのトラックはそのスジの人間が中にいて、覚せい剤を販売してくれるというのだ。 今回の取材では、市場関係に荷物を降ろしているトラック、高速を使う事がほとんど出来ないトラック、といった、もっとも過酷な労働環境におかれている人たちからは話は聞くことが出来なかった。 ◇ ◇ ◇
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