●アメリカにおける模擬選挙
私は、昨年10月25日から11月3日の間、芝浦工業大学柏中学高等学校の杉浦正和先生と共に、アメリカのカリフォルニア州とニュージャージー州を訪問してきました。訪米の目的は、昨年11月2日の大統領選挙に伴い、学校の授業やウェブ上などで行われた「模擬選挙」の実施状況を視察することです。
模擬選挙とは、実際の選挙にあわせ、投票権を持たない人たち(アメリカでは18歳未満)に実際の立候補者に対して投票をしてもらうという取り組みです。子どもや若者が、民主主義の土台である選挙を「体験」しながら政治について学ぶ良い機会となるため、アメリカやイギリス、フランス、コスタリカなどで一般的に行われています。
今回は、National Student/ Parent Mock Election(NSPME)という非営利団体の呼びかけに応じて全米で行われた模擬選挙の状況を視察しました。私たちは特に、学校現場でどのように模擬選挙が取り扱われているのかについて興味を持ち、4つの高校と1つの小学校を訪れ、模擬選挙やそれに関連する授業を見学しました。
●学校での模擬選挙に関する取り組み
私は学校見学を通じ、模擬選挙をきっかけとして、様々な取り組みを行うことができるのだ、ということを実感しました。例えばニュージャージー州トレントンの小学校の社会科の授業では、模擬選挙の投票の前に、児童がブッシュとケリーに扮し、体育館に集まったクラスメイトや親の前でそれぞれの候補者の実際の政策をまとめたものを演説形式で発表していました。
またカリフォルニア州ロスガトスの高校では、『民主主義クラブ』という文化部が全校を対象とした模擬選挙を主催していました。そのクラブでは、模擬選挙の投票実施に先立ち、部員を共和党陣営と民主党陣営に分け、昼休みや放課後に他の生徒に声をかけて自分の陣営への投票を訴えるという取り組みを行っていました。民主主義クラブのメンバーが、真剣に、且つとても楽しそうに模擬選挙を運営している姿が印象的でした。
私たちが見学したその他の学校の授業でも、模擬選挙の投票をするにあたっては入念な事前学習を行っていました。
これらのことから模擬選挙は、生徒・児童たちにとって主体的に政治のことを学習するきっかけとなり、また自己決定能力を育成し、権利行使の重要性や民主主義のシステムを実感できる契機となるので、教育現場において非常に重要な取り組みであるということを改めて感じました。
将来ミュージシャンを目指しているという高校生は、「僕の周りには、9.11をきっかけとして政治に関する話題を身近な問題として感じ、考えるようになった人が多い。模擬選挙は、そんな自分たちの政治に対する想いを表明できるとてもいい機会なんだ。」と話していました。
●投票結果は?
今回の模擬選挙の投票総数は約400万票。得票率は、ブッシュが52.0%、ケリーが44.0%、ネーダーが2.3%(実際の選挙ではそれぞれ51.5%、48.5%、0.35%)となり、実際の選挙と大差ない結果となりました。
●日本でも模擬選挙を普及させよう
私が所属する特定非営利活動法人『Rights』は、「子ども・若者の政治・社会参加を促進する」ことを目的として日々活動しており、その活動の一環として国政や地方選挙の際に模擬選挙を行っています。しかし、2004年に行った『模擬参議院議員選挙』の参加学校数が21校、投票数は4826票。日本国内で模擬選挙が浸透しているとはまだまだ言えません。アメリカの投票数に少しでも近づけるよう、そして、少しでも多くの日本の子ども・若者に政治に関心を持ってもらえるよう、Rightsとして日本国内で模擬選挙を普及させるための取り組みを今後とも進めていきます。
現在Rightsでは、模擬選挙を普及させるためのミーティングを定期的に開催しています。また、直近では今年3月の千葉県知事選挙および5月のさいたま市長選挙での模擬選挙実施を予定しています。これらの活動はどなたでも参加可能ですので、興味をもっていただいた方は、ぜひご連絡ください。
特定非営利活動法人Rightsホームページ: http://www.rights.or.jp/
(模擬参議院議員選挙の結果は http://www.rights.or.jp/youth-vote/sangiin2004/)
NSPMEホームページ: http://www.nationalmockelection.org/
(三神尊志)
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模擬選挙の投票をする小学生
学校の体育館で、同級生に向けて演説をする「ブッシュ候補」役の小学生
模擬選挙の開票作業を行う高校生たち
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