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堀田力のズバリ直言(4)レッドカードが見えてきた―ホリエモン裁判の行方
2006/09/18

音声配信:堀田力のズバリ直言

 ライブドア(LD)グループの証券取引法違反事件は、強制捜査から7ヶ月余り。主役の堀江貴文・前社長の初公判が9月4日に開かれたが、被告側は、争点となっている自社株売却による決算粉飾について「了承も支持もしていない」、虚偽とされた企業買収については、「情報に虚偽はなく認識もなかった」と真っ向から無罪を主張し、弁護側・検察側が全面対決する様相となっている。

 堀江被告の公判は、刑事裁判をスピードアップするため導入される裁判員制度(普通の人が裁判に参加する制度、09年5月までに導入が予定されている)をにらんで、大型経済事件では初めてという公判前の整理手続きが実験的に適用された。これにより裁判官・弁護士・検察官の3者が争点整理などの協議を行った結果を受けて、11月までの3ヶ月間に26回の集中審理を行うこととなり、順調に進めば約半年後には判決の言い渡しが行われる見通しとされている。

 ライブドア事件が世に提起した問題はなにか。堀田さんは今年2月に収録したJANJANでの映像論壇のなかで、「第一次的にはうそをついてはいけない、人をだましてもうけるのは論外という非常に単純なメッセージだ」と指摘。そのうえで、ホリエモンはどんどんもうけているように見えたから自由競争至上主義の人たちは持ち上げたのだろうが、人をだましてもうけるのは論外であり、その当然のルールを守ったうえでの話だということをもう一度確認させたということだろうという趣旨を語っている。

 そして、▽経済とは実があって、消費者に喜ばれ、生活が充実向上し、それに役立つことをやって利潤を得るというのが絶対の基本原則だ、▽あまりに過剰な富が集中することは、不当な差別、あきらめを生み、社会腐敗を招くから、税金で分配する仕組みをつくるべきだ、▽(とくに若者に)なんのために金を儲けるのか目的意識をはっきり持つことが大事だ……といった主張も展開したきた。

 今回は、堀江被告の初公判を受けて、今後進められる裁判の展望や意味合いについて改めて端的なところを語ってもらった。以下のような内容だ。
 
レッドカードが見えてきた

―ホリエモン裁判の行方―


 ライブドア問題についてはひとつはあんなもの取り締まらなくていいじゃないかという声がかなり出てきているが、基本的にはあれは株主をだました行為だから、非常に悪質な行為だ。本来、自己株を売ったそのもうけなのだからもうけとして別にいいじゃないかなんて議論もあるがそれは違う。

 自己株を処分して利益を得るのは売り上げとは全然違うので、株主は売り上げをみて会社の業績を判断するので、それも自分の株をかなり問題のあるものを売ってというのは、いわばタコが自分の足を食っているようなもので全然性質が違う。そこをだましたというのはとんでもないことで、きちんと、やっぱり処罰しなくてはいけない。もっともっと証券取引委員会が力をつけて摘発していかなくてはいけない。粉飾決算はそんなにたくさんあるとは思わないが、あればもっと少ない額のものでもきちんと処理しなきゃいけない。

 あの事件は証券取引委員会だけではやれないので特捜部として相談して一挙にやったのも適切だった。もうすこし早くやれたらよかったかもしれないが、まだ初めの段階だからしょうがないだろう。あの事件を捜査して裁判にかけて処罰するということは、経済のあり方から考えても非常に大切だと基本的に思っている。

 裁判という見方からすると、集中審理をやって半年くらいで判決までもってくるというのは大変いいことだ。あの事件は裁判員制度にはかからないが、裁判員制度も見越して日本の裁判所全体がもっともっとはやくやるということが必要だ。だいたい日本の裁判はあまりに時間がかかりすぎる。鉄は熱いうちに、悪いものは悪いと早く言わないと、その効果がどんどん少なくなる。半年くらいで終わろうとしていることはすばらしいことだと思う。

 従来、日本の裁判は争っている事件でも相当高い確率で有罪判決が出ている。それはなぜかというと自白があるからだ。いくら裁判で否認しても最後に自白を出せば状況がきちんと書いてあれば信用できるということで。日本の裁判の有罪率が高いのは調べのなかで自白があるからだ。

 この事件の特徴は自白がないことだ。これはきわめて珍しいケースだ。贈収賄とか客観的な証拠の全くない一発ものの犯罪について政治家や秘書が自白しなかったということはあるが、これは経済事件で、いろんな証拠がやまほどあるわけだから、それで自白がないというのはこの種の事件としては日本で初めてだ。やっぱりホリエモンという人は新しい人格人なんだなあと。

 ふつうはしゃべるのだが。個人としてしゃべってもいいことをしゃべらずにぐっと耐えるということは、非常に強いパーソナリティがないとできないことなので、ふつう日本人はできない。いろいろ聞いていけばしゃべるのだが、その点、この人は、いい意味でも悪い意味でも、非常に個人の強さを持っているひとだ。

 私からすると検事なにをしているんじゃということになる。経済事件でしゃべらすことのできない検事が特捜部におるということは驚天動地なのだが。これは私の検事としての見方であるが……(笑い)。そういう人が出てきたんだなと。

×××××


 裁判はどうかというと、初めてのケースだ。従来だと自白があるからと検事は安心していたが、こんどは、何を言い出すかわからないからこわい。こちらの知らない証拠でも出てきたらこわいではないじゃないですか。

 私もそこを何が出てくるかなと実は聞いていたのだが、そこに弁護人の冒頭陳述が出てきた。弁護側で何を持っているか、検事の立場で言えばこわかっただろうと思うが、その立場で読んだら、安心したと思う、検事は。つまり新しい事実、こわい事実がない。理屈がほとんだ。理屈はおもしろいことはおもしろいが、所詮は理屈で、ちょっと事実関係が悪いからそこでということではへりくつになってしまいがちだ。

 よく勉強して書いているが、検事からみると、こんな事実があったか、これじゃあぶないぞというようなものはないし、そういう証拠もない、というか、もちろん私は証拠を全部は見ていないが、あれば当然立証のなかで出てくるだろうから。つまり一部無罪はあるにしても、全体としてはかなり有罪という線であろうということが冒頭事実で見えたかなあと。

 ということは、ホリエモンはずっとしゃべらずにいて最後は無罪を願っているだろうが、実はその作戦は、成功していない可能性がきわめて高い。つまり、有罪でしかも実刑になる可能性が高い。自白していないというのは情が悪いから。ホリエモンにとって一番困るのは実刑だろうから、執行猶予と実刑では天と地だから、その大きなリスクを冒してしゃべらなかったのがそれがマイナスに出ている可能性が強いかなあと。

 ただ、弁護側が冒頭陳述を最初にやるのは始めてだし、しゃべってない被告人がどこまで新しい事実を出せるかも初めてだ。まだ何が出てくるかわからないから安心はできないが、まあだいたい見えたかなあという感じだ。

 裁判のあり方から言うと、これからは自白しないであとは争うというケースがいろいろ出てくると、被告側が有利になりすぎる。相当有罪になるべきものがならないという可能性がある。そういうふうに調べでしゃべらないと、裁判で証明すべき事項を相当制限しないといけない。あるいはしゃべらないと偽証罪にかけるとか。アメリカはそうだ。しゃべらない人は法廷でも新しいことは言えないとか、どうしても言いたいたいときは宣誓をして、うそをついたらそちらの方がむしろ罪が重いというくらいのリスクをかけてしゃべるというようにやっている。

 日本はまあ自白するだろうということで、ほとんど制限がない。そこのところが非常にもれちゃっている。これから裁判での証言の仕方の制限などいろいろ考えないと被告側に有利になりすぎるといった面も問題提起した裁判だと思う。

 検察は今後経済事犯はかなりやらなくてはいけないことになるだろうと思う。いままで経済事犯はあまりやらずにひどい脱税というようなものをやってきたが、それは行政機関がばっちりと締め上げて、事前に規制してしまって市場に参入のできる人を制限して、違法なことをしなくてもすむようにしていたから、そんなにひどい人をだますような違法行為があまりなかったし、あっても行政規制でいろいろ報告させているからすぐわかってしまって。

 だから経済は被害者を出さずにやってきたが、これからどんどんゆるめていこうということだから、誰でも参加していくようにしていくわけだから、抜け道を探す人が出てくることは当然なのでいろんなあやしげな犯罪、抜け道を越えてしまった犯罪がいっぱい出てくる。それを規制緩和ではなく、そこはしっかりと自己規制でつぶしていかないと、やりたい放題の無秩序な競争になって被害者がいっぱい出てくるから、そこはやらざるを得ない。

 (サッカーも)グラウンド内は自由に走れるけど、一方踏み出したところでインチキしたりするとびしっと制裁が来るよと、相手を倒したりするとレッドカードが来るよということがしっかりとプレーする人全員にしみ通っていないと、いんちきな行為がいっぱい出てくることになる。レッドカードをやっているんだというひとつのアピールを検察がしたということだから、それはそのまま素直にレッドカードだと受け取ってやってほしい。事業報告書を売り上げからいったらマイナスなのに50億のプラスなんて、とんでもない株主をだます行為だと私は思う。

(大和修)

     ◇

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[25211] 堀田力さんに聞きたい
名前:中西俊
日時:2007/02/28 20:56
鹿児島の選挙違反事件無罪判決をどのように説明しますか。
それでも彼らは有罪だと言いますか。
それとも担当検事の誤りだと言いますか。
[25130] わからん
名前:井之上文
日時:2007/02/25 01:36
 堀田さんは穏やかな人という印象がありますが、お話を聞いていると やはり検察サイドの人間、世間での悪評「ヤメ検コメンテーター」調のかたよりが見えます。
 検察官がすべて正義の人であれば堀田さんの論理はそのまま国民に受け入れられるんですが、現実は悲しいかなそうではないんですね。
 高知地検の検察官や多数発生している冤罪裁判の検察官等、被害者を加害者扱いして自白調書を作成してしまう輩がいっぱいいます。
 「俺が適当に作るから名前書いて帰れ!」などといいながら検察事務官に向かって小説まがいの文章を捏造し出すんですよ。


 まさに自白偏重をまともなことと、まちがって受け止めてしまっていますね。 自白調書の署名さえとれれば99%以上有罪がもらえるとの考えから、逆算してそのことばかりに執着している様が滑稽でさえあります。 まず真実や正義を追求することが第一ではないのですか?


 元検察官がマスコミのコメンテーターになるというのは、何となく天下りで省庁の権益を守る、腐敗官庁と同じ臭いがしますね。  世論コントロールが 狙いでしょうか?

最後に蛇足ですが、レッドカードはグランド内で出されるもので
一歩踏み出したところで 出されるものではありません。




[24286] こんな事を書いたら悪いのですが
名前:中西俊
日時:2007/01/29 22:30
検事は、被疑者の良心に訴え、幼いとき、若いときに抱いた正義感を思い出させて、過ちに気づかせるのが仕事。

別の見方をすれば、検事は有罪にしてナンボの世界。
だから、とかく密室の中では、どのように恫喝しようと、脅そうと、嘘をつこうと、自白しますと調書にかかせれば勝ち。
検事にとって被疑者との好ましい人間関係とは、被疑者の心理が萎縮し、検事の言いなりに調書に署名する人間関係を言う。
だから、このような好ましい人間関係を丸写しにされるビデオ録画なんて、とんでもない。
[24258] つまりは自白の強要があるということですね。
名前:海形マサシ
日時:2007/01/28 14:59
堀田さん

是非とも、逮捕された場合、検事に自白を強要されない術をお教え下さい。

有罪率99%。つまりは検事が自白を強要するから成り立つ数字ですよね。

弁護士と話すまで、一切何も言わないようにすることですかね。ただ、そういうことさえ出来ない状況に検事がするんでしょう。

最近、そういう不当逮捕を受けた場合に備えて、拷問に耐えうる精神修行をしなければと思う今日この頃です。