キリスト教国で11月1日は「諸聖人の日」と呼ばれる祝日です。日本では「万聖節」(ばんせいせつ)とも言われ、その名の通りすべての聖人を崇める日です。
その前日(10月31日)を祝すのが、皆様よくご存知の「ハロウィン」です。アメリカやプロテスタント諸国では「諸聖人の日」がじょじょに廃れて、「ハロウィン祭り」が独り立ちしたと言えそうですネ。
「ハロウィン」は古代ヨーロッパに古く分布していたケルト人という民族の大晦日の祭りが起源だといわれています。古代ヨーロッパの祭りが、日本でももて囃される時代なのですね。
さて、話を「諸聖人の日」に戻しましょう。ポルトガルでは官庁、企業はもとより、ほとんどの商店はお休みです。「諸聖人の日」は別名「墓参の日」と呼ばれており、多くの人々はこぞって墓参りに出掛けます。
「諸聖人の日」の翌日の墓地。当日の写真撮影は失礼と思って、翌日撮りました(撮影・筆者)
“祈りの町”と称せられるブラガの墓参の凄さはまた格別です。朝早くから多くの家族連れが、キャンドルと花束を手に手に墓地へ向かいます。普段は閑散としている墓地が、黒山の人だかりになります。小さな教会のスピーカーから流れるミサの賛美歌に、多くの人々が声を合わせて歌います。広々とした墓地全体が賛美歌に包まれ、まさに聖なる空間に誘われます。
ミサが終わっても、その場を立ち去る人はいません。ご先祖さまの墓前で、多くの親族たちが語らい続けています。10代・20代の若者たちも数多く目にしました。
現世と天国との垣根が取り除かれたような錯覚に陥ります。先祖を敬う、家族の絆――日本ではすっかり希薄になった素晴らしい世界が私の目の前で繰り広げられています。日本のお彼岸も、先祖を含めた家族全員の語らいがある墓参の日にしたいものです。