ジュゴン裁判で日米の保護団体の勝訴を一面トップで報じる『沖縄タイムス』と『琉球新報』の紙面(いづれも25日夕刊)
「米国防総省が敗訴」。普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対している日米の自然保護団体が米国防総省を相手に提訴していた「沖縄ジュゴン訴訟」で米国のサンフランシスコ連邦地方裁判所は24日(現地時間)、米国防総省がジュゴンへの影響などを評価・検討していないことは米国文化財保護法(NHPA)に違反しているという判決を下した。この判決は基地建設による天然記念物ジュゴンへの影響の回避を求めており、基地建設を急ぐ日本政府に高いハードルを突きつけられたことになる。
ジュゴン訴訟の関係者が明らかにしたところによると、マリリン・パテル裁判長は米国防総省に対して「文化財保護法に従がうように命じる」と判決、「ジュゴンへの影響を評価するために、どのような追加情報が必要かを示した文書を90日以内に提出するよう命じ」ている。また、提出文書についても「どこから情報を得るか。対象には、関係する個人、組織、政府機関を含む」と判示し、「日本の環境影響評価は、国防総省にとって文化財保護法に基づく義務を果たすのに十分であるか」という問いかけをしている。
沖縄防衛局、那覇防衛施設局が沖縄県に提出した環境影響評価(アセスメント)方法書は、薄っぺらなもので、沖縄県の審議会から総攻撃が浴びせられた。県知事の意見書提出期限の間際になってやっと150ページの追加資料を提出している。日本のアセスメントは開発側への「合わせメント」とよく言われているが、沖縄防衛施設局が提出した方法書は普天間飛行場の代替施設の建設を優先させたものであり、米国から求められている環境影響評価の一つとして、その方法書も提出するだろうが、米国の基準をクリアできるだろうか。
マリリン裁判長は、住民からの意見聴取も義務づけており、それに日本政府がどう対処できるか注目される。90日以内で名護市民の意見聴取をすることはとうてい無理な話である。基地誘致派の意見だけを募ったとしても、米国の裁判所に通用しないだろう。提訴したグループは「過半数を占めた名護市民の住民投票の結果を再提出する」としており、沖縄防衛局、那覇防衛施設局は住民の意見をどういう方法で提出し、その正当性を司法の場で主張できるだろうか。アメリカの基準、裁判所の判断に耐えうるか、はなはだ疑問である。
名護市宮里に住み、北限のジュゴンを見守る会代表の鈴木雅子さんは「今回の判決は本当にうれしい。長年ジュゴン保護運動をしてきた苦労が報われる判決だった。国の天然記念物を法律で守るのは当然であるが、沖縄県も国も法律を忠実に守ろうとしない。沖縄県は自分たちの文化・歴史・自然を守ってほしい。国の姿勢がどうであれ、環境省の法解釈がどうであれ、沖縄県の歴史を伝え、自然や暮らしを守り、未来を築くことができるのは、私たち自身であり、沖縄県民の責務です」と話している。
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