私が住むブラガに突然、物々しい厳戒体制が敷かれました。先月1月19日のこと、「祈りの町」と言われる古都にとってはちょっと珍しい風景でした。
ポルトガルとスペイン両国の首相をはじめ主要閣僚や経済人、研究者がブラガ市庁舎に集ったからです。両国がナノテクノロジーを共同開発することになり、ブラガに建設する総合研究施設の起工式が行われました。2009年末の完成を目指すそうです。
ナノテクノロジー総合研究施設(LABORATORIO IBERICO INTERNATIONAL DE NANO−TECNOLOGIA)の建設地に立つ看板
ナノテクノロジーとは、物質をナノメートル(10億分の1m)という極微な領域で制御する技術で、情報、バイオと並ぶ21世紀の最先端科学です。私に理解できるような世界ではありませんが、物質が係わるすべての科学技術の基になる分野だけに、無限の可能性を秘めた世界であろうことは、何となく想像できます。
素晴らしい技術開発の根拠地がわが町に誕生することは喜ばしい限りですが、どうしてブラガに白羽の矢が立ったのか。私なりに考えてみると、まず思いつくことは、ブラガは両国の首都であるリスボンとマドリッドからほぼ等距離に位置し、ポルトガル側のポルト空港からも、スペイン側のヴィゴー空港からも車で1時間以内という交通上の便利のよさです。
第2には、ブラガはEU諸国の町の中では住人の平均年齢が若く、先進技術の拠点としてのイメージに合う気がします。もう1つ付け加えれば、「祈りの町」の安全性も評価されたのかもしれません。
研究施設が建設される場所は、昨年9月までは「ブラカランディア」と呼ばれた遊園地でした。ふと、私の故郷、横浜のことを想い出しました。“夢の遊園地”(ドリームランド)は経営に行き詰まって、いま大学と公園型霊園に生まれ変わっています。第2の生き方がさまざまなのは世の常ですが、ぜひ「ナノの心」で、人にも街にもきめ細かく、優しい心遣いをお願いしたいものです。