トップ > コラム > 大気圏外 > 四川大地震「おから工事」日本公共事業にない理由
コラム

四川大地震「おから工事」日本公共事業にない理由

田中良太2008/05/25
中国・四川大地震で学校ばかりが倒壊した「おから工事」が非難されている。役人と業者がぐるで「手抜き」を見逃していた結果だ。同じことはフルシチョフ時代のソ連でもあった。日本では手抜き工事はほとんどないが、官庁発注工事は単価が高い。政治家や役人への賄賂、天下り役人の人件費をまかなうためだ。高すぎる工事費を保証するため国の借金が膨れ上がる。国民は瓦礫でなく国の借金に押しつぶされる運命にある。
日本 財政 NA_テーマ2
 ◆民衆の施設は手抜きばかり
 四川大地震で、学校がバタバタと倒壊した。ひどい手抜き工事が原因で、それを「おから(豆腐の副産物)工事」というのだそうだ。役人たちはほんらい「手抜き」を摘発しなければならないはずなのに、たいていは業者とぐるになっているらしい。

 インターネット上では「幹部が使用する建築はしっかりしているが、学校など民衆のための建築では手抜きばかりだ」「腐敗官僚と不正業者が子どもたちを殺した」などの告発の声が高まっているという。

 工事費の一部が賄賂に化けて、手抜き工事というケースばかりではないらしい。経済成長があまりに急ピッチなため、カネをかけない工事をしなければ間に合わなかったということもあるらしい。

 ◆旧ソ連のフルシチョフカ
 阪神大震災の年、1995年5月にサハリン北部地震が起きた。被災の中心地・ネフチェゴルスクでは1棟80戸の5階建てアパートが一瞬のうちに17棟も全壊、多数の住民が生き埋めとなった。

 このアパートは「フルシチョフカ」と呼ばれていた。1960年代半ばに、石油・天然ガスの採掘基地としてつくられたのがこの町だった。当時のソ連の支配者はスターリン批判で知られるフルシチョフ首相。アパート建設には、鉄骨を使わせなかった。コンクリートの板を組み立て、次つぎ積み上げていく「パネル工法」。しかも建設段階でセメントが抜き取られ、その分を砂で補填(ほてん)した手抜き工事まで行われた。粗製乱造という意味を込めてフルシチョフカだったらしい。

 ◆日本でも腐敗官僚が横行
「だから共産主義はダメだ」と言えるかどうか。警視庁が摘発した文部科学省汚職によって、日本でも腐敗官僚が賄賂を召し上げていたことがわかった。さらに文科省職員の天下りを受け入れた建設会社に優先的に落札させるという、官製談合の構図も明らかになっている。

 ◆国民は借金に押しつぶされる
 日本の場合、手抜き工事はほとんどない。官庁発注の工事は単価が高く、下請けに丸投げするだけで20〜30%の利益があるとか言われている。政治家や役人に渡す賄賂や、天下り役人の人件費は、この「上積み分」で十分まかなえる。問題になっている道路も含めて、高すぎる工事費を保証しているから国の借金がどんどん膨れ上がっていく。日本国民全員は近い将来、国の借金に押しつぶされる運命にある。

 お役人さんたちは、「瓦礫に押しつぶされるよりマシ」と喜べというのだろうか?

ご意見板

この記事についてのご意見をお送りください。
(書込みには会員IDとパスワードが必要です。)

[34382] おから工事
名前:村上久三郎
日時:2008/05/26 10:40
 私が書いた記事は、実話に基づいたものです。
業者はいつも「水とセメント粉を適正に混合したので、法律的に問題はない」と言うでしょうが、問題はコンクリートを練った時期です。コンクリートは完全に乾くまで数週間かかります。
 中国の四川地震で、学校関係が甚大な被害を受けました。
ほとんどの中国人や日本の方々(建築専門家を含む)が「役人による賄賂が原因で、素材を節約した。今回の被害は人的被害だ。」と言い、これがあたかも「定説」になって流布しています。この「定説」は、ある程度、真実かも知れませんが、むしろ私は「擬おから工事」に大きな原因があるように思っています。
 重要な因子となるのが、地震が起こった地域の気温です。海抜、1500−2500メートルとなりますと、(緯度によりますが)5月〜10月は温かいですが、それ以外は寒く、特に夜は冷え、高原地帯独特の気温変化が起こります。このように、私は「コンクリートを練った時期の低温からくる『擬おから説』に大きな原因があるのではないか」と考えています。「中国の役人は賄賂を取るほど悪者だ」とは思いたくないです。業者の経営方針「学校は農閑期に」ということから来る「擬おから工事」に注目しています。
[34381] ご教示有り難うございます
名前:田中良太
日時:2008/05/26 07:19
 知りませんでした。
 私は北海道出身なので、以下のようなことは知っていました。
 冬の除雪工事を請け負うのがたいていは土建業者。除雪だけにとどめず、道路面のアスファルトやコンクリートを目立たぬように削っておくのが大切、なのだそうです。そうすると道路改修の工事も必要となる、というわけです。
 貴兄ご指摘の「おから工事」も同じ発想でしょうか? 「ない」と思っていたのは不明でした。
[34367] おから工事
名前:村上久三郎
日時:2008/05/25 12:28
 田中良太記者様へ           「おから」から
 
 田中記者様、記事どうも有難うございます。私は「豆腐の絞りかす」です。人呼んで「おから」と申します。僕には僕だけの「おからネットワーク」があります。人間様のネットワークと違い、「ごわごわ」「もくもく」していますが、参考まで「歯切れが悪く、口の中が、もたもたするお話」を致しましょう。
 田中様の記事に「日本には手抜き工事はない」とありますが、
「おから工事」まがいの工事はあります。これを僕は「擬おから工事」と呼んでいます。特に学校が狙われます。
 田中記者様。今後お時間ありましたら、積雪・寒冷地の学校建築のコンクリートを練った時期を調べて下さい。意外なことが分かってくるかも。
 建設業界にとって冬の寒い時期は「農閑期」です。「学校建築」と「農閑期」に関係があるのです。この時期に、セメント、砂、砂利を混ぜて板パネルの間に入れます。・・・
その後、気温が下がりました。するとコンクリートの一部が「おから」状態になります。これは人間様にほとんど見えません。PTA・父兄・教育委員会などの偉い方々は「素晴らしい校舎だ」と大喜びです。
 それから、10年位たちました。すると「おから」から「じわじわ。たらたら。」と音は聞こえませんが、「雨漏れ」が始まります。それを見て、ニタニタ笑う人がいます。補修・修理で稼げるからね。
 関東などの温暖地帯でも、10年程度で、やれ「建て替えだ」「補修だ」と騒ぐ校舎は要注意です。まずは、コンクリートを練った時期を調べて下さい。意外な話がぞろぞろ出るかもね。
下のリストは、この記事をもとにJanJanのすべての記事の中から「連想検索」した結果10本を表示しています。
もっと見たい場合や、他のサイトでの検索結果もごらんになるには右のボタンをクリックしてください。