1冊の本が米軍基地の撤去の方法を教えてくれた。それは最近発行されたケント・E・カルダー著『米軍再編の政治学』(日本経済新聞出版社刊)である。駐留米軍と海外基地のゆくえについて詳細に述べられているが、それはまた米軍基地が置かれている条件・環境を取り除けば、米軍基地が撤去できるという方法を教えてくれるものである。長年、基地に苦しめられている沖縄にとっては“基地撤去の虎の巻”として読める本でもある。
米軍基地撤去の「虎の巻」にもなる『米軍再編の政治学』
著者のカルダー氏はハーバード大学政治学部でライシャワー教授の指導を受け、博士号を取得したあと、米戦略国際問題研究所日本部長、駐日米大使特別補佐官を歴任している。『自民党長期政権の研究』などの著書もある知日派。沖縄基地が問題になった1990年代後半には、駐日米大使の政策アドバイザーとして東京と沖縄をひんぱんに往来し、東門美津子(現・沖縄市長)ら沖縄側の政治家や運動家とも会っている。特に普天間基地の返還合意を盛り込んだSACO(日米特別行動委員会)に深くかかわってきた。
これまでも日本の「思いやり予算があるから基地がある」といわれてきたが、その基地を維持する当事者だった著者が、その事実を明らかにしているから説得力がある。
本書の305ページでは、米軍基地の受け入れ国の中で「日本のように、外国の基地を安定させるために莫大な資金を投入し、基地を支えるとともに国内の関連団体にも手厚い補償を行うところもある。こうした受け入れ国の積極的な補償型政治によって、当然ながら、海外展開している基地設置国の利害関係も濃厚になる。例えば、米海兵隊は、寛大な受け入れ国支援がある沖縄に第3海兵遠征軍を残しておきたいと考える。そうした支援体制のないところへ移転するのを嫌う意向が強まる」と述べている。
つまり、米軍基地への思いやり予算がなければ、海兵隊は出て行く可能性が高い。こうしたヒントが散りばめられた本である。しかも、著者は沖縄と直接かかわった駐日米大使の元アドバイザーであることに注目している。
カルダー氏を取材したことがあり、その本の書評も書いている『沖縄タイムス』の屋良朝博記者に「この本は基地撤去の虎の巻だ」と言ったところ、「そうですよ。その本に書いている裏を読めば、基地撤去の方法になる」と話した。基地利権に群がる“政治屋”でなく、沖縄県民のことを考える政治家の皆さんにはぜひ熟読してもらいたい1冊である。
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