トップ>コラム> 大気圏外> 「地方の時代」に向け、パンダを旭山動物園に!
コラム【大気圏外】

「地方の時代」に向け、パンダを旭山動物園に!

田中良太2009/04/20
 パンダのいない上野動物園の入場者数の落ち込みが激しく、行動展示で伸びている北海道の旭山動物園に急追されている。子どもたちが期待するパンダを日本に呼べるなら、上野ではなく「旭山にパンダを!」と提案したい。「地方の時代」の実現に向け、まずパンダで突破口を開きたいものだ。
北海道 動物 NA_テーマ2

 唐突だが、「パンダを旭山動物園に!」という運動を、全国民レベルのものとして展開することを提案したい。

 もちろん中国政府が日本の子供たちのためにパンダを1つがい贈ってくれるというところにまで持って行かなければならない。そのためには、北海道や旭川市だけの運動では実現するはずがない。

 現状では旭川市が、あるいは北海道がこうした運動を展開しているわけでもない。「地方の時代」なのだから、旭川市や北海道は自信を持って「日本の子供たちへの贈り物を旭山に」という運動の先頭に立つべきだと思う。そして全国民がそれを支持し、ときの政権が、中国政府に申し入れるところまでもって行きたい。そういう展開になって、初めて「地方の時代」ではなかろうか。

 18日付「朝日」の第3社会面に、以下の記事が載っていた。

×         ×         ×

 発行日 =2009年4月18日  ソース =朝刊
 面 名 =第3社会面  ページ =29
 発行社 =東京  文字数 =1713   

 (もっと知りたい!)上野動物園、旭山が猛追 「稼ぎ頭」パンダ不在響く

 上野動物園(東京都台東区)がピンチだ。パンダがいなくなった影響で08年度の入園者は289万8,191人と1年前から約60万人減り、60年ぶりに300万人割れした。ブームが続く旭山動物園(北海道旭川市)に猛追され、その差は12万9千人弱。国内の動物園界の王者から転落してしまう日は近いのか。(別宮潤一、斎藤茂洋記者)

 ジャイアントパンダのリンリンが昨年4月に死んだ後、上野のパンダ舎に入るのは、立ち姿で人気者になったレッサーパンダだ。しかし、「小」は「大」を兼ねなかったようだ。

 「パンダがいないね」。小宮輝之園長は2月、残念そうに会話する母と子を見かけた。昨夏には酔った中年男性が「レッサーパンダでごまかしてる」と毒づく姿も見た。

 園内にある提案箱に08年度後半に寄せられた356件中53件が、「パンダを呼んで」「孫に見せたい」という再公開の要望だった。

 リンリンが死んだ直後から、園は、新しいパンダを呼ぼうと国内外の入手事例を調べ始めた。08年5月の日中首脳会談では貸与も提案された。ところが、石原慎太郎知事は「見たけりゃいるとこに行けばいい」。この素っ気ない反応に、都庁内の動きは止まり、その後、中国側からの連絡もないという。

 上野公園内にある敷地は14haと動物園としては手狭で、年間300万人台が適正規模だ。都は、混雑緩和のため、58年に日野市に多摩動物公園、89年には江戸川区に葛西臨海水族園を開園させた。

 入園者の減少はこうした分散策の効果でもあるが、経営上の失敗もあった。希少種の保存を重視し89年度から始めた「ズーストック計画」を優先し、ブタやロバなど身近な動物の展示をやめた。その結果、2000、02年度には308万人と大台割れ寸前に。

 都幹部は「リピーター確保には、ディズニーランドと一緒で新施設を造り続けるしかない。唯一いるだけでかせげたのがパンダだった」と解説する。ただ、大型改装は数年に一度。築80年を過ぎたホッキョクグマ舎の改修はようやく今年度からだ。都幹部は「次々整備できる旭山がうらやましい」とぼやく。


 国内最北の動物園、旭山の08年度の入園者は前年度から約1割減の276万9,210人。97年度から始まった右肩上がりは途絶えたが、関係者に悲壮感はない。

 というのも、昨年は、春先はガソリンの高騰、夏は北海道洞爺湖サミットの厳重警備、秋以降は景気後退という外的要因で観光客が落ち込んだと見ているからだ。

 2月には映画「旭山動物園物語」が全国公開され、翌3月には入場者が前年を上回る日も出た。園側は「他の動物園が1割以上減る中、踏みとどまった。全国からのリピーターが根づき、旭川市民も増えた」と分析する。

 珍しい動物は特にいないのに続く人気は、「お家芸」の行動展示に支えられている。オリの真下からヒョウを見られる「もうじゅう館」、飛ぶように泳ぐ姿を観察する「ぺんぎん館」、円柱水槽の「あざらし館」――。廃園の危機にあった90年代後半、職員たちが知恵を出し合い、少しずつ作り上げてきた。

 4月29日の夏季開園から「エゾシカの森」が公開される。跳びながら移動する姿を観察ホールから見上げる。「テナガザルの森」も今秋のオープンを目指す。旭川市は「動物園は近年、黒字運営。市の財政は厳しいが、市民の理解もあり新施設の予算が組めている」という。


 上野の入園者のピークはパンダブームの74年度に記録した764万7440人。この年、旭山は開園8年目で46万6412人と、上野とは実に718万人の差があった。それが13万人を切るまでに迫った。逆転はあるのか。

 「旭山で学んでこい」と職員を視察に出したこともある上野の小宮園長は「パンダがいない今は地力をつけるいい時期。色々と工夫をしていく」と話す。旭山も「動物の素晴らしさを伝えようとしてきたのは上野と同じ。結果として、入園者数がついてきた。抜く可能性を考えたことはない」(広報係)という。

×         ×         ×

 石原慎太郎都知事は当分の間「東京オリンピック誘致」に全力投球で、パンダに冷淡な姿勢を変えないだろう。その「当分の間」こそ、チャンスである。しかも動物園の世界では「地方代表」が「旭山」であることに異議を唱える人はごく少数であるはずだ。

 こうした「全国で1カ所」を選ぶ場合、これまでは、「地方の時代」を唱える人たちも、「東京ならシカタガナイ」と考えてきたのではなかろうか。

 これ以後、「地方の時代」を叫ぶ人たちはまず「東京以外」で大同団結し、その後「地方代表としてどこが良いか」を論議するという形にすべきだと考える。

 G8サミット(主要先進国首脳会議)など国際会議の開催場所、「国立」の諸施設の立地場所などもまた、「東京でなく地方代表に」という考え方が定着していくことが重要だと思われる。その突破口を、「まずパンダで」と提案する次第だ。
下のリストは、この記事をもとにJanJanのすべての記事の中から「連想検索」した結果10本を表示しています。
もっと見たい場合や、他のサイトでの検索結果もごらんになるには右のボタンをクリックしてください。