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コラム【大気圏外】

厚労省捜索で現金400万円がなぜ出現?

      また発揮された、たくましく懲りない「役人天国」の健在ぶり

田中良太2009/06/23
 ◆厚労省で見つかった400万円
 大阪地検が厚労省を家宅捜索したところ、職員の机の中から現金400万円が出てきたという記事をお読みになっただろうか? 朝日が19日付社会面で報じており、他紙もそれぞれ書いている。

 ◆出版物の校閲で得た報酬?
 大阪地検の捜索は、障害者団体向けの郵便割引制度悪用事件で逮捕された村木厚子・前雇用均等児童家庭局長の容疑に関連する証拠を収集するためのもの。その400万円について朝日は、

 <厚労省によると、職員約10人が業務時間外に出版物の校閲をして得た報酬などのプール金で、「法的に問題ないが、多額の現金を職場で保管したのは不適切」として、関係職員を注意したとしている。同省は捜索を受けるまで把握していなかった。

 雇用均等・児童家庭局総務課の説明によると、現金は15日の家宅捜索の際、総務課職員の机の中に保管した状態で見つかった。有志の職員約10人でつくる研究会メンバーが業務時間外に、法令に関する民間の出版物を校閲した際の報酬として受け取ったものという。

 報酬は、複数の職員の分をまとめる形で、出版社から研究会の代表者の職員名義の口座に振り込まれ、この職員が引き出してプールしていた。プール金はメンバーらの私的な飲食費にあてられていたが、各自の収入は職員がそれぞれ確定申告で税務処理していたと説明している。会の名称や出版物は「私人としての代表者と出版社の契約なので答えられない」としている。>

 ◆7億5千万円受け取った「事件」で04年に22人を戒告処分
 この記事の中にも
 <厚労省では04年10月、職員が03年度までの5年間で書籍やビデオなどの「監修料」7億5千万円を受け取っていたとして幹部ら約400人が約1億3千万円を自主返納したと発表したことがある。監修料には補助事業や大量の買い上げで公金が還流しており、関係した職員は延べ1,475人にのぼった。同省は05年12月、職員22人を国家公務員法上の懲戒処分にあたる戒告処分にするなど対応をとっている。>  という「前歴」が紹介されている。

 ◆10年前、「19省庁が法令集で印税」という調査報道
 1999年6月には朝日新聞が独自調査の結果として
 <厚生・運輸・建設・法務など19省庁が、監修・編集する主要法令集の発行に伴い、出版社から印税や編集協力費名目の報酬を受け取っていたことがわかった。一部官庁は、報酬を職員の親ぼく費などに使っていたと認めている> という主旨の報道をしている。

 ◆わずかな作業で10%の印税
 その記事の一端を引用すると、
 <政府刊行物の大手出版社によると、法令に著作権は発生しないが、報酬は印税として支払っているケースが多い。率は、作家が書き下ろした場合とほぼ同じ10%が主流という。

 作業は、内容のチェックや校正、政令などの配列の工夫、判例を加えるかどうかの判断など。ほとんどの場合、前年版に新たな法令を加えるだけで「新年版」として毎年出版するため、わずかな作業で定期的に報酬が支払われる仕組みだ。

 受け取り名義は職員個人。各省庁によると人数は、3、4人から約50人まで。税務署に報告の義務のない5万円以下に分割している例が多いとみられる。

 各省庁とも、報酬はあくまで個人の収入と主張する。農水省などでは、代表者の銀行口座に一括して振り込まれ、作業に協力した職員に分配している、としている。

 ◆プールしている役所も
 しかし、環境庁は「環境六法」の発行で出版社から支払われた報酬を、編集者である「環境庁環境法令研究会」に寄付する形でプールしている。同会は総務課長を代表とする職員の集まりで、報酬は会の親ぼくや勉強のための資料購入などに使われているという。>

 厚労省で見つかった400万円も、この記事にある環境庁と同じ、プール金なのだろう。いずれにせよ、いくら批判されても改めることがない、官僚たちの厚顔無恥にあきれる。

 ◆農水省のコメ・データねつ造事件
 農水省職員によるコメ・データのインチキ報告問題もひどいものだ。この調査は7種類。対象は農家や農協など約1万9千カ所で、米などの在庫量や取引価格などを調べて、翌年の減反政策を決める基礎資料にするのだという。

 ◆出張旅費や謝礼品はしっかり受け取る
 虚偽報告を55回して停職12カ月になった関東農政局の専門官(42歳)は、調査活動をしたという書類だけでっち上げて、出張旅費など約31万円を受け取っていた。また図書カードなど調査先への謝礼品約4千円分もしっかり持ち帰っていたという。同省は5月から一斉点検していたが、「適正に調査した」と主張。調査先に確認してようやく発覚したという。

 ◆53人処分だが、「虚偽データは1%未満」と平然
 農水省の処分は19日発表されたが、5人が停職、23人が減給10%などの懲戒処分。上司21人も訓告などで、処分者は合計53人にのぼった。同省が一度に処分した人数としては、組合活動を除くと78年度以降で最多という。

 記者会見した石破農水相は「国家公務員として国の税金で何をやろうとし、どういう意味を持つのかという問題意識があれば、そんなこと(虚偽報告)になるはずがない」と語った。しかし農水省事務当局は「虚偽データの影響は1%未満で、統計的な問題はない」と説明しているという。

 いくら批判されても、「役人天国」は続く。民主党に政権交代したら、緊張感を持ったお役所に生まれ変わるのだろうか?
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