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コラム【大気圏外】

「安定」より「変化」を! 「若者市長」誕生あい次ぐ

      千葉、横須賀、松阪、柳井……住民の求めが変わった

田中良太2009/07/01
 ◆横須賀市長に33歳、吉田氏
 6月28日投開票の神奈川県横須賀市長選で、33歳の新人、吉田雄人氏が当選した。

 2週間前、31歳で初当選した熊谷俊人・千葉市長とよく似ているように見えるが、熊谷氏は民主党・千葉市民ネットなどの推薦候補だった。吉田氏の場合、自民・公明の与党だけでなく、民主党も含めて、地元選出の国会議員・県議・市議はすべて対立候補の現職、蒲谷亮一氏(64歳)を支援した。

 ◆官僚出身・2期目・自公民+連合の現職を破る
 蒲谷氏は旧自治省(総務省)出身で、同市副市長を4年間つとめた後、05年の前回市長選で当選した。1期目の4年間は手堅い市政運営。こういう場合、首長の2期目選挙はもっとも当選確率が高いというのが従来の選挙常識だった。連合(労組)の支援も受けていた。さらに地元選出の国会議員は小泉純一郎元首相。今回は2度も応援演説に横須賀入りした。

 ◆駅立ち連続1,200日
 吉田氏は県立横須賀高から早大、同大学院を経て、外資系コンサルティング会社で勤務した。早大院在学中の03年市議選でトップ当選。07年も連続当選したが、そのときの獲得票は1万1,442票で、指定都市以外の市町村議としては全国最多だった。

 1期目市議選に立候補することを決めたときから、連日の「駅立ち」(駅頭演説)を欠かさず、6月19日には連続1,200日になったという。市長選で吉田氏は、「チェンジ」を旗印に、市民の声を反映させる市政の実現を訴えた。勝手連的に集まった大勢のボランティアの後押しで政策本位の選挙戦を展開。無党派層を中心に、民主や自民の支持層まで食い込んで、本命とみられた蒲谷氏を破った。

 ◆住民運動+共産・社民候補も敗北
 投票率は45・22%で、前回を5・03ポイント上回った。獲得票数は吉田氏=68,628▼蒲谷氏=64,147▼呉東正彦氏=23,134、という結果だった。

 呉東氏は、東大法卒の弁護士で49歳。原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会共同代表として、反戦・平和だけでなく、自然保護などの住民運動団体の支援を受けた。共産・社民両党は呉東氏支持で動いていた。

 この選挙では、蒲谷氏を支持した自公民+連合も、呉東氏を支持した共産・社民もともに、吉田氏を支持した勝手連的な市民に負けたのである。

 ◆三重県松阪市で最年少市長誕生
 同じような若者の挑戦が成功するケースが全国であい次いでいるようだ。熊谷千葉市長当選前の全国最年少市長は山中光茂・三重県松阪市長(33歳)だった。今年1月の市長選で、2期目を目指す現職(68歳)を破って、当選した。

 山中氏は小学校4年生の時、エチオピア難民のビデオを見て、「食事も満足に出来ない国がある」と衝撃を受けた。外交官を志し慶応大法学部へ進んだが、エイズが蔓延(まんえん)するアフリカの現状を知り、群馬大医学部で学び医師となった。

 医療ボランティアとしてケニアやタンザニアに渡ったが、「政治が壊れると生活も壊れる」と実感。松下政経塾、民主党衆院議員秘書を経て、2007年県議選に初当選。約1,300億円の借金を背負いながら、約100億円も投じてJR松阪駅前を再開発しようとしている市政を批判して立候補を決意したという。

 ◆山口県柳井市長も30代前半
 今年3月1日投開票の山口県柳井市長選は、元民主党衆院議員秘書・井原健太郎氏(34歳)が、前自民党県議(64歳)を破って初当選した。井原氏は山口県田布施町出身、早大政経卒で、03年から4年間、民主党衆院議員秘書を務めた。07年4月の統一地方選山口県議選で柳井市選挙区の候補となったが落選した。

 柳井市は人口約3万6,000人。少子高齢化や不況などで、地域の経済・社会に様々なひずみが出ているのが現状。企業誘致は進まず、経済振興が立ち遅れているという市民の不満は強い。そんな中で井原氏の「若さ」は、市民にとって「未知数の魅力」と映ったようだ。

 ◆保守的な地域で「変化」求める票の動き
 千葉市の熊谷市長も含めて、30代前半の「若者市長」がどんどん登場するというのは、多くの自治体で住民が、「安定」よりも「変化」を求めていることを示している。

 三重県松阪市、山口県柳井市と並べると保守の牙城といわれる土地柄だ。横須賀、千葉両市もまた、首都圏に位置しながら、保守が強いところだ。保守的な地域で、「変化」を求める票の動きが顕著になっているといえよう。

 ◆衆院はどうなる?
 衆院選では、こうした票の動きがどう影響するのだろうか? 国政における「変化」は、民主党への「政権交代」だから、民主党有利というのが一般的な見方かもしれない。

 しかし「支持政党なし」の無党派層は、「民主党政権になったら、国政はホントに変わるのか? 」と考える。「大きく変わることはないだろう」と考えて、棄権するというのが一般的な選択ではなかろうか。

 民主党はマニフェストなどで「変化させる」ことを強調すべきだということにならないだろうか。
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