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スラヴォイ・ジジェクが9.11直後に発表した『Welcome To The Desert Of The Real』というエッセーがある。 わたしはジャーナリズム的な作品は創らないが、日本を含めた先進諸国連合軍がアフガニスタンからイラクへとヒステリックな破壊・殺戮行為を敢行し、あと30年はかかるだろうイラクの終戦/政情安定に向けた動きが始まり、もはや9.11はジャーナリスティックでなくなったと感じ、このエッセーから得たインスピレーションを元に作品を創り始めた。 大きいもので8号という小品の連作だ。油彩画を描く時、マチエール作りのために絵の具以外のものを使うことはなかったが、今回は砂をはじめとして、様々なメディアを使うことにした。虫ピン、草の種、アスファルト、ガラス、画材屋で売っている油彩画用の砂や石英、ホームセンターに置いてある建材用の川砂など。エジプトを旅した耳の不自由な女性からもらったアスワンの砂も使用している。アフガニスタンやイラクの砂を使ったら、果たしてどのような作品が出来るのだろう……。 インターネットといわれるシステムも、1961年米国ユタ州で起こった電話中継基地爆破テロ後に研究が始まった通信システムが元になっている。そのシステムが、例えばコンピューターウイルスの蔓延や、サイバーテロの発生、テロ首謀者と実行犯の連絡に使われたりもする。どれだけ人員や資金をつぎ込もうとも、そのような行為が無くなることはないだろう。 同様に現実のテロについても政治やテクノロジーなどの技術的な対策で根絶するものではない。そして、至る所に監視カメラを設置しているロンドンという大都市でも、地下鉄・バス同時爆破テロは起こってしまった。一つひとつの国、一人ひとりの人間が厳粛な綱渡りをしているのだという認識、そしてこの世界という「現象の綱」から下りることはしないという決心が必要なのではないだろうか。 なにもかもみんなたよりなく なにもかもみんなあてにならない これらげんしゃうのせかいのなかで そのたよりない性〔せい〕質が こんなきれいな露になったり いぢけたちいさなまゆみの木を 紅〔べに〕からやさしい月光いろまで 豪奢な織物に染めたりする 〔宮澤賢治 過去情炎より抜粋〕 |