トップ > 文化 > アイヌ文化がつくった大きな輪
文化

アイヌ文化がつくった大きな輪

黒井孝明2005/07/21
北海道・然別湖での「白蛇姫祭り」のフィナーレは、観客も大きな円に加わる「ポロリムセ」の輪舞だった。「和人」とアイヌの人々を一体にした素晴らしい祭りだった。
北海道 催し NA_テーマ2
 勇ましい掛け声とともに弓が八文字を描くように振り回される。若者が、空を目がけて矢をつがえる。傍らで、女性たちが歌う。

 「イヤ コーコー ネイタ ロックン チカップ」(どこの枝にとまるべき鳥なのか)

 「イヤ コーコー カリ コロカイ ヤー」(空を旋回しているのだ)

 「イヤ コーコー カニ クニ キー ヤン」(立派な弓で射ろ)

 アイヌの伝統的踊り「クリムセ」(注1)の一幕。男性の代表的な踊りだ。内容は、山深くで、狩人が空を飛んでいた一羽の鳥を射落とそうか、射落とすまいか迷う。そして結局は射ないで帰っていくというものだ。北海道鹿追町の然別湖で行われた第34回白蛇姫祭り(7月2日)で、帯広カムイトゥウポポ保存会(注2)が披露した。

 帯広カムイトゥウポポ保存会の広尾正氏が代表してカムイノミ(神への祈り)。続いてムックリ(アイヌの口琴)の演奏。霧が濃い天気のせいか、音がうまく出ない。楽器を操作している手の力が余って糸が切れてしまうというハプニングもあったが、広尾氏の巧みな司会進行もあって、なごやかな雰囲気のなかで祭りの行事は進んだ。

 バッタの大群を模した「バッタキウポポ」の踊りは、観客も参加した。上体をかがめ、両手で膝をこすりながら前で手を叩く動作は、見ていて楽しいが、かなりハードさも要求された。

 最後の踊りの「ポロリムセ」は、保存会の人たちと観客が大きな円になった。北海道はかつて(江戸時代)「蝦夷地」と呼ばれ、アイヌの人びとの土地だった。日本人は自分たちのことを「和人」と呼んだ。「ポロリムセ」の輪は、和人とアイヌの人々を一体にした。素晴らしい祭りだった。

(注1)「クリムセ」歌:「レラ・チセへの道〜こうして東京にアイヌ料理店ができた」(現代企画室)より抜粋

(注2)帯広カムイトゥウポポ保存会:アイヌ民族の誇りと文化の継承を目的として結成された。広尾正氏は1947年北海道広尾町生まれ。全国各地の保育園、小学校で踊りや歌の指導を行う。

◆関連サイト
社団法人 北海道ウタリ協会

◆関連記事
大蛇が舞う、アイヌ伝説の祭り
アイヌ文化がつくった大きな輪
神々へ祈りを捧げるカムイノミ。右端が広尾正氏
アイヌ文化がつくった大きな輪
弓の舞い。若者が激しく弓を振り回す
アイヌ文化がつくった大きな輪
観客を交えてのバッタの踊り
下のリストは、この記事をもとにJanJanのすべての記事の中から「連想検索」した結果10本を表示しています。
もっと見たい場合や、他のサイトでの検索結果もごらんになるには右のボタンをクリックしてください。