トップ > 文化 > 文芸社「協力出版」で著者に請求する制作費は正当か?
文化

文芸社「協力出版」で著者に請求する制作費は正当か?

松田まゆみ2005/09/27
「協力出版」「共同出版」の多くは悪徳商法・詐欺商法といえるものですが、新聞はこうしたニュースをほとんど取り上げません.
日本 本 NA_テーマ2
 株式会社文芸社は、新聞広告などで一般の人に本の出版を呼びかけ、原稿を募集している出版社のひとつです。文芸社は応募原稿の大半に「協力出版」を推奨しているとされています。私は2001年に文芸社と「協力出版」の契約を交わし、制作費として228万円を支払った後、多額の編集費をとりながら杜撰な編集しかしていないことに気づき、結局抗議して解約した経験があります。それ以降、協力出版の制作費に大きな疑問を持ち続けています。

 文芸社は協力出版について「『アマチュアの方のなかから優れた作品を世に送り出し、文化を発信する』ことを社是とする弊社は、制作費を著者の方にご負担いただき、広告・販売にかかわる費用を弊社が出資することで、全国展開可能な書籍を刊行するという出版形態を強く推奨しています。これが弊社独自の『協力出版』というシステムです」と説明しています(文芸社から私に宛てられた手紙より)。本の制作費を著者が負担することから、こうした出版形態をとっている出版社は一般的には自費出版系とされているようです。

 しかし、文芸社の契約書をよく読むと、出版権も所有権も出版社にある本をつくり、著作権者には著作権使用料(印税)を払うが、本の初版発行にあたり、その制作・販売・宣伝に要する費用は甲(著作権者)乙(文芸社)双方の分担とし、著作権者には100部(通常)を贈呈するという契約です。つまり、商業出版の形態で出版社の本を出版するが、出版に要する費用のうち初版制作費を著作権者に負担してもらうことで著作権者もリスクを負うという契約です。出版社が自社の本をつくって販売する際、著作権者と出版の条件について契約するのが商業出版の契約ですが、協力出版でもそのような契約をします。販売を前提として出版社の本をつくるところが自費出版とは大きく異なります。

 ちなみに、いわゆる自費出版では著者が自分の所有物となる本を出版社につくってもらうので、本の制作請負契約を交わします。制作請負契約ですから、制作費の見積り金額には出版社の利益が加算されています。自費出版した本を販売する場合は、著者が出版社や書店に自分の本の販売を委託することになり、印税をもらうわけではありません。

 協力出版では文芸社が自社の本をつくって販売する際、初版の制作費を著者に負担してもらうのですから、文芸社が本来負担する初版の制作実費を、著作権者が肩代わりして支払うということになるでしょう。ところが著作権者の支払う制作費は実費ではなく、文芸社の利益が加算されているものなのです。

 これは文芸社が、文芸社の商法を批判した冊子を作成した出版業者の渡辺勝利氏を名誉毀損で提訴した裁判の中で、文芸社の社員が証言して明らかになったことです。加算している利益の額はわかりませんが、渡辺氏は裁判の中で、私の本の見積金228万円のうち少なくとも120から150万円程度が文芸社の粗利になっていると推測しています。

 それに対して文芸社は反論せず、一般の自費出版の費用と比較して「協力出版における見積り金額は正当」と主張しています。自社の本をつくる商業出版形態の契約を交わしているのに、制作費の見積り計算は著者の本をつくる自費出版の方式、つまり実費に利益を加算した方式をとっていて「正当」だと主張しているのです。

 文芸社は自社が負担するとしている販売・宣伝に要する費用がいくらなのかも明らかにしていません。

ご意見板

この記事についてのご意見をお送りください。
(書込みには会員IDとパスワードが必要です。)

[33306] 差し迫った契約日
名前:Tokyo-bay
日時:2008/03/25 15:20
=========================

規定外のペンネームのため、この書き込みは削除されました。

=========================
[29839] 同感です
名前:浅野浩二
日時:2007/08/29 22:21
私も2001年3月に文芸社から、
「女生徒、カチカチ山と十六の短編」という本を出しました。
「浅野浩二のホームページ」
http://www5f.biglobe.ne.jp/~asanokouji
で、「下着売りの少女」という短い小説で、まぎらわしい名前の
出版方法に対する事を書きました。
[23219] 私も訝ってます
名前:三戒堂水宝
日時:2006/12/05 12:14
今年6月に文藝社からの誘いで、『知って得するお尻の話』を出版しました。二ヶ月で半分ほどが出ましたが、その後、販売努力がないばかりか、私に努力しろと行ってくる始末。なんだこれは、紀伊国屋本店(札幌)の扱いは酷かったよ。新刊扱いじゃなくて唯つっこんであった、売れないから一月で戻されたと報告があったンだ。先月オーロラタウンの紀伊国屋では平積みで半月で15冊は出たのを確認した。書店サイドの文芸社の扱いが酷いと言うこと、又12月に札幌の出版社から『皮膚の悩みに光を』と言う本を出版するが、そこでも文芸社は怖いところですよと聞かされた。業界筋では、引っかかる素人を冷笑しているようだ。
詐欺ではないが、釈然としない。消化不良を起こしてしまう商売だ。引っかかる方も悪いと言われればそれまでだが、苦しいからと、素人をだまし始めると、出版社の品位はがた落ちになりつつあるのではないかな??
[10936] 文芸社
名前:大窪興亜
日時:2005/09/27 23:25
素晴らしい問題提起です。私も自費出版の経験があります。新書より一回り大きいサイズで、200ページ 。1000部刷って70万円くらいでした。2刷目はぐんと安くなりました。
[10921] 著作権の考え方
名前:小貝川亘
日時:2005/09/27 14:19
文芸社は、HPや新聞広告で「人生いろいろ大賞」を募集しています。その募集要項を読んでいたら「採用作品の著作権は株式会社文芸社に帰属します」と書いてありました(9月15日現在)

出版社が賞金を払った採用作品でも、著作権は原著作者に帰属するのが常識です。出版社に帰属するのは「優先出版権」なので、「ずいぶんおかしな考え方をする会社だなー」と気になっていたところでした。

そこで、改めて同社のHPを見たら「採用作品の出版権は株式会社文芸社に帰属します」と書き直されていました。
クレームがあって書き直したのか、それとも、はじめに「著作権」と「出版権」を書き間違えたのかどうか分かりませんが、自費出版・懸賞出版全盛の折、こうした「法的権利」について、書き手側も十分注意されないと後でこじれるでしょう。 
下のリストは、この記事をもとにJanJanのすべての記事の中から「連想検索」した結果10本を表示しています。
もっと見たい場合や、他のサイトでの検索結果もごらんになるには右のボタンをクリックしてください。