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株式会社文芸社は、新聞広告などで一般の人に本の出版を呼びかけ、原稿を募集している出版社のひとつです。文芸社は応募原稿の大半に「協力出版」を推奨しているとされています。私は2001年に文芸社と「協力出版」の契約を交わし、制作費として228万円を支払った後、多額の編集費をとりながら杜撰な編集しかしていないことに気づき、結局抗議して解約した経験があります。それ以降、協力出版の制作費に大きな疑問を持ち続けています。 文芸社は協力出版について「『アマチュアの方のなかから優れた作品を世に送り出し、文化を発信する』ことを社是とする弊社は、制作費を著者の方にご負担いただき、広告・販売にかかわる費用を弊社が出資することで、全国展開可能な書籍を刊行するという出版形態を強く推奨しています。これが弊社独自の『協力出版』というシステムです」と説明しています(文芸社から私に宛てられた手紙より)。本の制作費を著者が負担することから、こうした出版形態をとっている出版社は一般的には自費出版系とされているようです。 しかし、文芸社の契約書をよく読むと、出版権も所有権も出版社にある本をつくり、著作権者には著作権使用料(印税)を払うが、本の初版発行にあたり、その制作・販売・宣伝に要する費用は甲(著作権者)乙(文芸社)双方の分担とし、著作権者には100部(通常)を贈呈するという契約です。つまり、商業出版の形態で出版社の本を出版するが、出版に要する費用のうち初版制作費を著作権者に負担してもらうことで著作権者もリスクを負うという契約です。出版社が自社の本をつくって販売する際、著作権者と出版の条件について契約するのが商業出版の契約ですが、協力出版でもそのような契約をします。販売を前提として出版社の本をつくるところが自費出版とは大きく異なります。 ちなみに、いわゆる自費出版では著者が自分の所有物となる本を出版社につくってもらうので、本の制作請負契約を交わします。制作請負契約ですから、制作費の見積り金額には出版社の利益が加算されています。自費出版した本を販売する場合は、著者が出版社や書店に自分の本の販売を委託することになり、印税をもらうわけではありません。 協力出版では文芸社が自社の本をつくって販売する際、初版の制作費を著者に負担してもらうのですから、文芸社が本来負担する初版の制作実費を、著作権者が肩代わりして支払うということになるでしょう。ところが著作権者の支払う制作費は実費ではなく、文芸社の利益が加算されているものなのです。 これは文芸社が、文芸社の商法を批判した冊子を作成した出版業者の渡辺勝利氏を名誉毀損で提訴した裁判の中で、文芸社の社員が証言して明らかになったことです。加算している利益の額はわかりませんが、渡辺氏は裁判の中で、私の本の見積金228万円のうち少なくとも120から150万円程度が文芸社の粗利になっていると推測しています。 それに対して文芸社は反論せず、一般の自費出版の費用と比較して「協力出版における見積り金額は正当」と主張しています。自社の本をつくる商業出版形態の契約を交わしているのに、制作費の見積り計算は著者の本をつくる自費出版の方式、つまり実費に利益を加算した方式をとっていて「正当」だと主張しているのです。 文芸社は自社が負担するとしている販売・宣伝に要する費用がいくらなのかも明らかにしていません。 |