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共同・協力出版問題で問われるメディアの責任 |
2005/11/12 |
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共同・協力出版商法では、著者を錯誤させるかのような勧誘、制作費の水増し疑惑、不透明な実態などさまざまな問題があります。それらの中でも、特に問題とされるのは制作費の水増し疑惑でしょう。
文芸社は商業出版も行なっていますが、もし商業出版の本の制作費が100万円であったのに、200万円だといったら嘘になります。ところが基本的に商業出版形態でありながら、著者が制作費を負担する場合は200万円でも嘘にはならず正当だというのが文芸社の主張です。
しかも利益の加算は契約時にも説明していません。制作請負契約ではないのに、あたかも請負契約のようにふるまい錯誤させているかのようです。加算した利益により、文芸社が負担すべき宣伝・販売費の一部あるいは全部が相殺されるのですから、契約にも反すると考えられます。ですから私は利益の加算は不当な請求であり詐欺にあたると考えています。
利益の加算が不当とするなら、文芸社の場合、多額の不当な利益を得ていると推測されます。文芸社は1点あたりおよそ200万円から250万円程度の制作費を著者に請求しているようです。
1点あたりに加算している利益の額を明らかにしないので断定できないのですが、私の例から推測して、仮に1点あたり100万円の利益を加算し、年1000点出版したとするなら、年間では10億円にもなります。最盛期には年間1700点近くの本を出版していましたから、全体ではかなりの額になるでしょう。
こうした疑惑は文芸社に限ったことではありません。近年では出版点数だけでみるなら、共同・協力出版社が大手出版社を追い越し上位争いをしており、年間数千点もの共同・協力出版本が出版されるという異様な状態です。ここ数年間だけでも、この業界だけで万単位の本が出版されています。
共同・協力出版商法は新聞広告やホームページで堂々と宣伝して行なわれているのに、マスコミがこの商法の疑惑を報道することはほとんどありません。その理由のひとつは、この商法が巧みで問題が発覚しにくいシステムであるために社会問題として広く認知されていないこと、もうひとつはマスコミが知っていても報道しないことです。
大半の著者は制作費に利益が加えられていることを知らず、被害者意識がないようです。契約後に制作費に疑惑を抱き不当だと思っても、出版社が利益の加算を認めず「必要な費用」だと主張したら、なすすべもありません。
また、私のように疑惑を問い詰めても、制作費が実費でないことを説明せず、明細書の提出も拒否して全額返金で解約してしまえば、それ以上のトラブルになりません。「おかしい」と思った人の多くがあきらめたり泣き寝入りしているのではないでしょうか。このために詐欺疑惑がもたれるような商法でありながら、ほとんど社会問題として認識されず、被害者は孤立して集団訴訟も起きていません。
最近さかんに報道されるようになった悪質リフォームは「点検商法」として、また資格をとれば仕事を紹介するなどといって講座や高額な教材を契約させる商法は「資格商法」として以前から注意喚起がなされていました。しかし共同・協力出版に関しては万単位の契約者がいると推測されるのに、問題商法として認知されていないのは驚くべきことです。
私はこの問題を知って以来、多くの人に知らせるべく、いくつものメディアにこの商法について情報提供をしてきました。またこうした商法のシステムについてマスコミに説明している自費出版関係者もいます。
文芸社問題については、メディア関係者によく読まれている月刊誌「創」に3回にわたって批判的な記事が書かれていますから、この商法に疑問を感じたジャーナリストもいるでしょう。マスコミやジャーナリストは何も知らないというわけではありません。
ところが新聞はこうした商法の問題点の指摘をするどころか黙認し、頻繁に大きな広告を掲載することによって、この商法の宣伝に加担しているのが実態です。ある新聞社は共同出版の問題を取り上げたことで、出版社から圧力をかけられたと聞いています。もし、広告掲載をしているから問題点を報道しないのであれば、業界との癒着といわざるを得ません。取材をして知らせていくことこそメディアの責任でしょう。
最近では共同出版・協力出版などという出版形態名を新聞広告に出さない出版社が多くなりました。文芸社の場合、新聞広告だけではなくホームページにも「協力出版」や「刊行審査委員会」という名称を掲載しなくなり、不透明さが増しています。
そもそも出版社はメディアの一員です。そして出版というメディアは新聞やテレビ、雑誌などに比べ、具体的に、かつ長期にわたって情報や言論を発信する媒体として大きな意味があるといえるでしょう。
共同・協力出版社もジャーナリストや思想家の本を出版したり、社会問題や戦争体験を扱った本も出版しています。文芸社は詐欺の疑いがもたれる商法を展開する一方で、「騙されて泣き寝入りしている消費者たち」という弁護士の著書まで出版・宣伝しているのですから、唖然とさせられます。
共同・協力出版問題は一部の出版社と出版を希望して原稿を送る一部の人々だけの問題として捉えられがちですが、広告を垂れ流しにし、被害の拡大を助長しているマスコミの問題でもあります。多数の被害者がいても注意喚起すらされず、社会問題ともされない責任の一端はマスコミにあります。マスコミはこのことをどう考えているのでしょうか? 被害者が立ち上がらなければ、あるいは立件されなければ知らん振りというのでは、あまりにも無責任です。
私は商業メディアの報じないこの事実をjanjanで報じ、警鐘を鳴らすことで、共同・協力出版会社とメディアの責任を問いたいと思います。
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(松田まゆみ)
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