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共同・協力出版商法の新しい動き これまで9回にわたって、文芸社をはじめとるする共同・協力出版商法の問題について報じてきました。この間に大手の新風舎は、ホームページの「Q&A」に掲載されていた「共同出版」の説明を削除し、新聞広告では「出版実現プログラム」という新たな表現を使いはじめました。出版実現プログラムとは「出版費用の一部(制作費)を著者が負担することによって、創り手の理想にかなった出版が実現できるプログラムです」とのことです。 「共同出版」と「出版実現プログラム」はどう違うのでしょう? なぜ共同出版の説明を削除したのでしょう? こうしたことを不可解に思うのは、私だけでしょうか。 新風舎のホームページでは、自社の出版として美しいデザインと造本、販促活動、全国販売などを謳い、「企画出版」「共同出版」「自費出版」の3つの出版形態を提案しています。共同出版と自費出版では契約内容や費用は具体的にどう違うのでしょうか? エッセイストの井狩春男氏(新風舎出版賞の審査委員長)は新風舎から「本は読むより書く方が10倍楽しい」という本を出し、共同出版があたかも販売する自費出版であるように書いて新風舎の共同出版を勧めています。しかし、契約上の違いやデメリットについてはほとんど説明していません。 なお、碧天舎も同様に「企画出版」「共創出版」「自費出版」の3つの出版形態を提案し、「共創出版のすべて あなたの本で世界は変わる」(童門冬二監修/碧天舎)という、共創出版を推奨する本を出版しています。 共同・協力出版商法では、「著者が制作費を負担する商業出版」を「売ってくれる自費出版」と錯誤させるからくりがあります。悪質商法・詐欺商法の疑惑がもたれながらも、実態解明の進まない共同・協力出版問題の解決の糸口はないのでしょうか? 解決の糸口はないのか? まず、制作費に利益が含まれていることに気がつきもせず、騙されていても自覚のない人が多いことが問題です。ひろく社会問題として認識されない要因の一つは、こうした商法が一般に「自費出版」と誤認され問題が見過ごされていることです。共同・協力出版の本を「自費出版」として紹介している新聞記事も少なくありません。「制作費が著者負担」というだけで自費出版と判断してしまったり、実態からみて自費出版と判断してしまうからです。 共同・協力出版の多くは制作請負契約(自費出版)ではないことを認識させ、問題点を報道して注意喚起すべきですが、マスコミはこの問題を報道しようとしません。報道したとしても、それだけでは問題の本質的解決にはなりません。またこの商法は「水増し疑惑」であり、本は必ず出版されるために、おかしいと思ってもあきらめてしまう人も多いのではないでしょうか。騙されて契約し、不当な費用を払わされた人々は、泣き寝入りするしかないのでしょうか。 私はこの問題の場合、被害者が個別に行動するより、結束して行動していくほうがより効果的だと考えています。個人で提訴しても和解に持ち込まれ、本質的な疑惑解明が遠ざけられてしまう可能性があります。近年、サラ金の金利過払い問題では、被害者が一斉提訴をするようになりました。巧妙で解決が難しい悪質商法に対しては、被害者が団結して提訴するなどの行動を起していくことが必要ではないでしょうか。 私が文芸社に騙されたと知ったとき、すぐに被害者の会はないのだろうかと思いました。しかし、社会問題として広く認知すらされていないのですから、被害者の会など望むべくもありませんでした。 私の場合は事前に見積りの内訳をもらっていましたし、不信感をもってからは電子メールでやりとりして記録を残したこともあり、文芸社が全額返金での解約を申し出ました。しかし後から考えると、全額返金での解約の申し出は問題の発覚を避けるためだったのではないかと思われます. 解約後、この商法の巧みさを知るにつれ、弁護団を組織できる資金力を持つ出版社を提訴したり、立件の難しい詐欺罪で告訴することは、個人では非常に難しい問題であることを悟りました。難しさの要因として、出版社が会社の内部情報を明らかにしないために、制作費に加算している利益の額や出版社の負担金額などが特定できないことがあります。 しかし、今は文芸社と法廷で闘った高村さんや渡辺さんの裁判の記録がありますし、私の入手した「見積書内訳表」もあります。そうした記録を最大限活用し、被害者意識をもった人々が集団で行動することで、損害賠償や疑惑の解明は可能だと考えています。 高村さんの裁判でも、渡辺さんの裁判でも、制作費に加算された利益が正当であるかどうかについてはなんら審理されていません。問題の本質はまだ法廷で争われていないのです。 もはや「誰もが騙されうる」状況 渡辺さんの裁判では、私の本の「見積書内訳表」(「文芸社商法のさらなる疑惑」参照)の金額には文芸社の利益が加算されていることを認めています。その粗利を、渡辺さんは120万円から150万円と推測しましたが、文芸社はそれに反論していません。こうしたことを根拠に、「多額と推測される利益の加算」を追求していくことは可能でしょう。 また、高村さんは、契約の際に見積書の内訳はもらっていませんが、裁判で出版費用の内訳を提出させ、これによって不当な請求が確認できました。著者は「制作費」として大金を支払うのですから、実際の制作費がいくらであったのか、見積明細や印刷会社の請求書などの提出を求めることもできるのではないでしょうか。知る権利を主張し、出版社の隠蔽体質を追及すべきです。 また、この商法では契約の判断に影響を及ぼす重要な事項やデメリットについて、きちんと説明していないという疑いももたれます。出版社の商品をつくる契約なのに、自費出版と錯誤させる説明をしているのであれば問題です。私も、文芸社が大多数の人に協力出版を提案していたことや、制作費に利益が含まれていることを事前に知っていたら、決して契約などしなかったでしょう。 弁護士の中には、消費者問題を専門にしている方もいます。そうした弁護士を中心に被害者が集まることも可能でしょう。今はインターネットでどんどん情報発信ができる時代ですから、孤立している被害者への呼びかけもいろいろな形でできるはずです。 近年は振り込め詐欺、悪質リフォームなど、詐欺がいたるところに横行、蔓延する社会になってしまいました。マンションやホテルの耐震強度偽造事件も、二重、三重の「騙し構造」がありました。そればかりではなく、ブッシュ米大統領がイラクを攻撃したのもまさに「騙し」であったことが明らかになりましたし、先の衆院選で自民党が圧勝した際にも「騙し」ともいえる戦略がありました。 こうした詐欺社会・騙しの社会に住む以上、騙されない判断力をもつことが大切ですし、騙されないように世論喚起していかなければなりません。しかし、現状はもはや「誰もが騙されうる」状況であり、「騙し」にマスコミが加担している時代といえるでしょう。 もし不幸にも騙されてしまったら、泣き寝入りをするのではなくできるだけの闘いをし、その事実を公表することが「騙しの構造」「騙しの社会」を乗越えることにつながると私は信じています。 良心的な自費出版業者が圧迫されていないか いまや自費出版とは似て非なる騙しの出版形態があふれ、そうした出版社のホームページではメリットばかりを強調して誘惑の手を差し伸べています。批判されると名称や説明を変え、マスコミは相も変わらず宣伝に加担し、結果として良心的な自費出版業者を圧迫するという異常な状況に陥っています。この事実をしっかりと受け止める必要があるでしょう。 事実を知った被害者としてこれまでに書いてきた一連の記事が、共同・協力出版商法の疑惑解明のために役立つことを願っています。 ◇ ◇ ◇
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