|
在留外国人が増加する中で多文化共生が言われ、政府や自治体の施策などにも取り入れられているが、その実態はどうであろうか。 8月23、24日、第26回開発教育全国研究集会(主催 特定非営利活動法人開発教育協会/共催 東京外国語大学 多言語・多文化研究教育センター)が東京外国語大学府中キャンパスで開かれた。 開発教育とは「私たちひとりひとりが、開発をめぐるさまざまな問題を理解し、望ましい開発のあり方を考え、共に生きることのできる公正な地球社会づくりに参加することをねらいとした教育活動」である。(開発教育協会) 今回は「「多文化共生」と教育を考える」をテーマに「スローガンとしての多文化共生を超えて」を考える講演、ワークショップ、ラウンドテーブル、入門セミナーや各種教材の紹介が行われた。 23日の基調講演「多文化共生の地域づくり〜浜松市の事例から」では前浜松市長の東京外国語大学多言語・多文化教育研究センター長の北脇保之氏の実践にもとづく提言の後、パネルディスカッションでは、ベトナム難民として11才で来日したチュウ・ティ・トゥイ・チャン氏(外国籍県民かながわ会議)、日系ブラジル人2世として9才で来日した宮ヶ迫ナンシー理沙氏(マルチカルチャーチルドレンの会)、移住労働者と連帯する全国ネットワーク事務局次長の鈴木健氏(カラカサン)などにより実感をもった日本の「多文化共生」が討議された。 ワークショップでは、「世界がもし100人の村だったら」、「新・貿易ゲーム」などの定番とともに、ベトナム人の生徒が直面する問題について考える「ビン君に何が起きたのか?」、アイヌ民族を考える「ティフ星人は、パセリを食べる−アイヌ民族バージョン」などの「多文化共生」と教育に係わるものが行なわれた。 24日の課題別分科会では、しゃべり場「多文化共生!?」、「ESD・開発教育のカリキュラム」、「一緒に考えよう!野宿者問題〜「ホームレス」ってどんなひと?」、議員を交えた「政治と協働する市民になろう」「「食」のメディア・リテラシー〜食品をめぐる「常識=神話」を超えて」、「対立から学ぼう!〜誰もが過ごしやすい学びの場づくり」など多彩な課題が検討された。 ESD・持続可能な開発のための教育についても検討された。課題別分科会「ESD・開発教育のカリキュラム」では、ESDの観点から開発教育のカリキュラムを考えるために霞ヶ浦の再生を行なっているアサザプロジェクト(NPO法人アサザ基金)の小学校での実践を手かがリに「地域」という視点に立った今後の開発教育のカリキュラムを論議した。 また、ラウンドテーブルでは「ESD授業デザインプロジェクト」(ESD学校教育研究会・長岡素彦)としての世界中の教師が考案した授業用ワークショップ『グローバル・クラスルーム』(D.セルビー他)の監訳者の常磐大学の小関一也氏を講師として講演・ワークショップが行なわれた。 同協会は発足当初は「南北問題」をテーマとした海外問題を取り扱うことが多かったが、グローバリズムのさらなる進展にともない、世界的な格差問題ばかりでなく、日本の問題にも目を向けており、地域での多文化共生を超えていくことなどを模索している。 今回の研究集会でもスローガンとしての多文化共生ではない各地の取り組みが報告された。今後この問題はますます重要になってくるのではないか。 ◇ ◇ ◇
|