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文化

マンハッタンでの「バーンスタイン祭」

浜地道雄2008/10/30
現在、ニューヨーク・マンハッタンはバーンスタイン生誕90年、NYフィル音楽監督就任50年を記念して、バーンスタイン一色だ。我われも11月23日、バーンスタインの“音楽の喜び”(OMNIBUS)日本語字幕入り映写会を、メディア・ホールのご好意で主宰することとなった。
米国 音楽 NA_テーマ2
 世界屈指のオーケストラ、NYフィルのTA(Teaching Artists)による子供たちとの音楽交流、なかんづく、11月11−17日、東京都港区と新潟県妙高市でのreativity創造力の育成を図るワークショップについて記した。
NYフィルの贈り物−(日本の)小学校で楽しいワークショップ 2008/10/28

 筆者にとってその根にあるのは、偉大なる音楽家、作曲家、指揮者、教育者であったバーンスタインの音楽映像シリーズの日本語版DVD制作という素晴らしいプロジェクトである(後述)。

 その生誕90年、NYフィルの音楽監督就任50年を記念して、現在(9月24日―12月13日)、マンハッタンではバーンスタイン一色だ。
バーンスタイン祭

 折角の縁、ここに日本(人)として参画し、存在を誇示できないかと筆者は密かに思い立った。(エコノミック・アニマルという印象だけでは困るし――)しかし、何といっても先立つものが欠けている。

 しかるべき会場を「無償」で借りられないかと、それらしきつてを頼って色々当たったが、そんな虫の良い話を聞いてくれるところはない。諦めかけていたら、何と驚いたことに、マンハッタンのど真ん中、近代設備の整ったメディア・ホールが「無償提供」を申し出てくれた。

 1990年に98歳で亡くなったCBSの創始者William S. Paleyが1975年に設立したものだ。彼はNBC、ABCと並ぶ3大(ラジオ・TV)ネットワークの1つ、Columbia Broadcasting Systemを創始した。

マンハッタンでの「バーンスタイン祭」 | <center>Paleyセンター</center>
Paleyセンター
 ブッシュ政権による中東侵略、兵器産業の繁栄、行きすぎた自由経済と問題山積みだが、さすがはアメリカ。こういう理解者もいる。桁は違うが、筆者にとって気持ちの上では、超富豪の慈善事業を想起する。
バフェットとゲイツ

 これに勇を得て、かくして、前述「子供のための音楽ワークショップ」(11月11−17日)を終えてから、11月23日(日)、バーンスタインの“音楽の喜び”(OMNIBUS)日本語字幕入り(=我々の作品)の映写会を主宰することとなった。

マンハッタンでの「バーンスタイン祭」 | <center>Omnibus(音楽のよろこび)のジャケット</center>
Omnibus(音楽のよろこび)のジャケット
 『青少年コンサート』の原点ともいうべき、このシリーズ「オムニバス(OMNIBUS)は1954年から58年にかけて放映され、ベートーヴェン、バッハ、オペラ、現代音楽、ミュージカル、さらにはジャズまで、バーンスタインが幅広い音楽知識をもとにわかりやすく解説されている。その台本は「音楽のよろこび」The Joy of Musicとして出版された。(訳:吉田秀和 1966、音楽の友社)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2581633

 そこから、下記2作品を上映する(無料):
 ・ベートーヴェンの「第5交響曲」Beethoven's Fifth Symphony(放送:1954年11月14日)[32:56]
 ・指揮法 The Art of Conducting(放送:1955年12月4日)[48:23]

 日時: November 23, at 12:30 for 90 minutes.(開場:12:00)
 場所: The Paley Center for Media
    25 West 52 Street, New York, NY 10019

 会場(Paley Center)が無償提供されて、出版元ドリームライフ社や翻訳者佐久間公美子氏ら関係者の好意で、入場料は無料だが、整理の都合上、予約制とする。下記事務局あて「バーンスタイン音楽映像申込」として、お名前、人数、ご所属(よろしければ)を明記してEメールで申し込みされたい。加えて、何らかのコメントも頂ければうれしい。(先着200名)
YFA09065@nifty.com

マンハッタンでの「バーンスタイン祭」 | <center>「音楽のよろこび」から</center>
「音楽のよろこび」から
 さて、話は前後するが、冒頭に述べたバーンスタインの音楽映像シリーズの(日本語への)翻訳とDVD制作、特に第1弾「答えのない質問」は大変だったが、実に楽しいプロジェクトだった。
バーンスタインのレクチャー 2005/12/09

 それには、著名な音楽評論家に過分の言葉をいただいた。天にも昇る思いとはこのことだ。

 諸石幸生氏 「以前に読んだ書物が本DVDによりようやく理解、納得できた」
 満津岡信育氏 「日本語字幕も労作である」

 解説書を執筆してくださった慶大教授許光俊氏は「ヘトヘト」と心情を吐露された。
http://www.hmv.co.jp/news/article/512010072

 「私が最近へとへとになっている最大の原因はバーンスタインである。今月、ドリームライフからDVD6枚組のセットが出るが、この解説書を執筆するためにテープを試聴したところ、あまりの中身の濃さに呆然。これはよほど腰を据えてやらなくちゃと締め切りを急遽延ばしてもらったほどなのである。こんなことは珍しい。」

 富樫哲桂氏はこんな推薦を書いてくださった。
http://www.bandpower.net/special/togashi_sp/08_bernstein/01.htm

 「決して安価とはいえない商品を、どんな人が購入し、観るべきか。 まず、バーンスタイン・ファン。次に、音楽理論や研究の専門家。もしくは、音大で楽理などを学んでいる研究者。そして吹奏楽関係者。特に、アマチュア・バンドの指導者に。」

 在マンハッタンのみなさんに、こんな素晴らしいバーンスタインの一端を改めて紹介できるのは、筆者にとって、いかにも「ボランティアのよろこび」。いまから楽しみだ。

 かくして、筆者の次なる「挑戦心」はかの有名な “Young People’s Concerts”「青少年コンサート」の日本語版作成(翻訳)ということにつながる。
http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=776737&GOODS_SORT_CD=103


関連拙稿: マンハッタン、音楽、英語
(ここに出てくる踊る大紐育「On the town」(ブロードウエイ・ミュージカル)もまた、バーンスタインの作曲である。)
◇ ◇ ◇

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[40048] 音楽ブログに紹介された
名前:浜地道雄
日時:2008/12/30 12:47
NY上映会に来て下さった在米30年というNY金魚さんは音楽関係の造詣が深いブログを
書いておられます。(後述)


その「英雄の系譜 (2) ベートーヴェン、そして春樹など」の中で詳しくコメントしてくださいました。

ベートーベン



少々長いけど、(ご許可を得て)その部分を転載します。


ここまで書いたとき、僕とベートーヴェンのあいだにもちゃんと「運命」の使者がやって来た。


伝説のNYフィルの指揮者、レナード・バーンスタインLeonard Bernstein が第五交響曲「運命」を解説したドキュメンタリーを、ミッドタウンのMusium of TV & Radio で上映するという。


おまけに日本の浜地道雄氏の主催なので、映画には日本語字幕が入っている。この祖国語の字幕というのがまた在外邦人をいつまでたってもうれし泣きさせるのですね。


50年代のTVドキュメンタリーシリース「オムニバス」を編集したこのフィルムのなかで、若き日のバーンスタイン氏がSymphony of the Air Orchestra との演奏とともに語りはじめた。


ベートーヴェンが第五のために書いて結局使わなかったかなりの数の草稿を、交響曲のなかに復元し、その違う種類の音を聴き、なぜベートーヴェンがその草稿を捨てたのかという理由を推測しながら、作曲という神秘に満ちた創造の過程にある作曲家のこころをさぐる。


バーンスタインの指揮も楽理も、もちろん楽譜を理解する感性もすばらしいものだが、その聴いたことのない十数種類もの運命交響曲は、どれもが個性のかたまりであり、見知らぬ進行で流れていく。


行き先が見えにくい聴いたことのない不思議な旋律。そのすべてが楽聖ベートーヴェンの手になる「第五」のヴァリエーションではあるのだが、ひょっとしたらだれかほかの現代の作曲者の手になるのではないかとも感じてしまう。


たとえばこの指揮者バーンスタインの名作「ウエストサイド物語」の変奏曲として聴いても違和感がない。それほどの現代性をもちあわせた19世紀初頭の作曲家、ベートーヴェンの像が二重写しになる。


 そしてこのフィルムの最後は、やはりベートーヴェンの第五の最終決定稿が他の草稿をすべて圧倒的に引き離し、ぶっちぎりのトップで快走するというバーンスタインのことばで終わる。


なんという桁外れの才能、なんという天才、やはりダ・ダ・ダ・ダーンは、そのあとのすべてを統括して、ベートーヴェン以降の現代をすべからく表現している。



参考:
ベルリン・フィルハーモニー
モーツアルト幽玄


[39647] 「映画のあとで拍手が出るなんて珍しい」ほどの成功
名前:浜地道雄
日時:2008/12/12 09:22
「映画のあとで拍手が出るなんて珍しい」と劇場側でも驚くほどの成功でした。
あらためてPaleyセンター、出版元ドリームライフ社、翻訳者佐久間公美子氏ら関係者に感謝します。


事後、いくつかの感謝メッセージが寄せられたので、拙訳します。


It is we who should be thanking you for the Bernstein presentation. We loved it! I had never seen the Omnibus broadcast. I knew about Bernstein's extraordinary musical talents, of course, but I was unaware of his extraordinary communication skills. It was a lovely program, and we do thank you. As to the applause at the end, I don't know if it is unique to New Yorkers -- but I do know that New Yorkers appreciate cultural events, and also consider Lenny "one of their own" all of which may have had something to do with it. Again, thanks to you for the unique program!
(Joan)


バーンスタイン映写会、感謝せねばならないのは私たちです。本当によかった!OMNIBUS上映を初めてみました。もちろん、バーンスタインの尋常ならぬ音楽才能は知ってましたが、彼のすぐれたコミュニケーション力は知りませんでした。本当に素敵なプログラムでした。ありがとうございます。
映写会の最後に皆が拍手をするというのがニューヨーク市民独特のものかどうかわかりませんが、、確かにニューヨーカーは文化事業を評価し、かつ、レニー(バーンスタインの愛称)を「one of their own」(誇り)に思ってることと関係がありましょう。本当にユニークな催し、ありがとうございました。


As someone who followed Bernstein's career (and who was present for his very last performance in which he faltered on the podium), I was very touched by seeing a young, healthy Bernstein conduct so vigorously and speak so eloquently. I grew up in a New England town which got TV access quite late. I had never seen those two films. Thank you so much for your role in bringing them to us. (CAW)


バーンスタインの生涯を追ってる(かつ、彼が指揮台でよろめいたまさに最後の公演を見た)者として、私はこの若くて健康的なバーンスタインがこんなに
元気に指揮し、流暢に語るのを見て、本当に心を動かされました。私はNew England(米国東海岸)の町で育ったので、長じるまでTVを見ることがあまりなく、今回の二つのプログラムを見たことがありませんでした。私たちにこんな機会をくださったお役目に感謝します。


We enjoyed the screening very much, but had to leave before the 2nd one was finished. I think this kind of thing is an excellent idea, but nobody except us knew about it. If it were better publicized, the turnout would have been much better. (DS)


二本目の最後まで見ることはできませんでしたが、映写会を本当に楽しみました。今回のような企画は実にすばらしいのですが、それを知っている人は
少ない。もっと、広報をしてれば、もっとよかったのにーー。
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