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文化

ニューヨーク・フィル

ティーチング・アーティスト

サウンドワールド

音の世界

聴衆参加型

双方向


子供たちとワクワク・ドキドキ・コンサート「サウンドワールド〜音の世界」−NYフィルのティーチング・アーティスト−

浜地道雄2008/11/17
ニューヨーク・フィルのティーチング・アーティスト・アンサンブルによる親子むけ「サウンドワールド〜音の世界」演奏会は、陽気で明るい「アメリカ人気質」であればこそ可能な聴衆参加型。世界各国の音楽を演奏し、メロディ、リズム、ハーモニーを踏まえ、子供たちと双方向で異文化を考えていく。音楽会が終わって、子供たちがスキップしながら、中にはダンスをしながら、保護者ともども余韻でウキウキと会場を後にする。
日本 音楽 NA_テーマ2
 通常クラシックの音楽会は、モーツァルト、ベートーヴェンがポピュラーだし、近代作曲家のものだと、身構えて、観客がグッと減る。

 他方、「子供向け」となると、今度はガンダム、宇宙戦艦ヤマト、からディズニーもの、アニメものにおふざけが入った「ちびっ子大会」となりがちだ。

 ところが、NYフィル(New York Philharmonic)のTA(Teaching Artists)アンサンブルによる「音の世界」と題する親子コンサートでのプログラムはこれだ。
 ・Dumisani Maraire:Mai Nozipo(母 ノジポ)
 ・Astor Piazzolla: Fracanapa(フラカパナ)
 ・盛 宗亮:Seven Songs Heard in China(中国で聞いた7つの歌より)
 ・Lenard Bernstein:Overture to Candide(キャンディード 序曲)
 ・Wallace/Heins:Scheherazade Takes a Trip(シェヘラザードの旅)

 そして、この一見難解なプログラムの音楽会が終わって、子供たちがスキップしながら、中にはダンスをしながら、保護者ともども余韻でウキウキと会場を後にする。こんな稀有のことが11月14日、東京都港区・麻布区民センターで起こった。

 コンサートの始まりは、ステージにチェリスト一人が登場、ごく静かな美しい旋律を奏で始める。さあ、何が始まるのかとかたずを飲んでいると、会場の四隅の出入り口から、そのチェロの美しい音色に重ねて、ヴァイオリン、ビオラ、クラリネットが美しい和音を創って、入場。たちどころに会場全体が素晴らしいハーモニーで満たされる。

 そして、打楽器も加わり、子供たちはじめ250人満席の聴衆の興奮がはじまる。「母 ノジポ」では「なぜアフリカの音楽はアフリカを連想できるのか?」等を子供たちと双方向的にディスカッションをして考えていく。

 趣旨は世界各国の音楽を演奏し、メロディ、リズム、ハーモニーを踏まえ、異文化を考えていくことだ。「タンバリンは?」  勿論、「スペイン!」と子供たちは大きな声で答える。

 突然、呪文のような中国語も飛び出す。南米のタンゴに続き、子供たちは「マンボ!」と声を張り上げる。これらを「世界旅行」という形でつづっていく。

 兎にも角にも、「会場全員参加」型なのだ。子供たちとともに大人も一緒に音の高低を皆で手を上下させて、確認する。二手に分かれて手拍子の駈けあい。シェーラザード(リムスキー・コルサコフ原曲)のエキゾチックなメロディーに合わせて、ベリーダンス。そして、タンバリンの超絶ともいえる演奏は時空を超えて子供たちをあの魅惑に満ちた千夜一夜の世界に導いていく。旅の最後はやっぱりニューヨーク! 軽快なドラムスに乗って、パンクまで出てくる。

 アンコールでは「千の風」を皆で合唱(どこかのテノール歌手によるより、ずっとこころに沁みる)。

 これらの実に考え尽くされた音楽教育演出が一流の演奏家によって進行される。総じてみると、やはり、陽気で明るい「アメリカ人気質」であればこそ可能な聴衆参加型の制作、進行、舞台であると、今更ながら感心させられる。

 文化人類学者であり同時通訳の大御所、國弘正雄氏はしばしばアメリカに対する厳しい批判もされるが、会場で、こればかりは楽しそうに童心に帰っておられたのは筆者にとってうれしいところ。この「親子コンサート」は引き続き、17日、新潟県妙高市・文化ホールで行われる。

子供たちとワクワク・ドキドキ・コンサート「サウンドワールド〜音の世界」−NYフィルのティーチング・アーティスト− | <center>「音の世界」コンサート、チラシ</center>
「音の世界」コンサート、チラシ
 さあ、東京公演がひと山越えたところで、筆者の音楽ボランティア活動、今度はNYマンハッタンにおける、「バースタインの音楽のよろこび」上映会だ(11月23日、日曜日)。
 関連拙稿:マンハッタンでの「バーンスタイン祭」


付記
 日本音楽財団、米国大使館、コスモ石油、文教大学の助成・協賛などによって可能になった今回の「NYフィルTAよる子供たちのための音楽会」プロジェクトは、「親子コンサート」に加えて、次のごとき一連の行事からなり、筆者が代表を務める主催:LMP Life with Music Project「くらしに音楽プロジェクト」(音楽家・砂田和道氏創設の非営利)はボランティア活動をさらに来年以後にも続けていく。

 絶妙な通訳は山口県から駆け付けてくれ、大阪からは研究のため音楽教育専攻の大学院生など、他にも多数のボランティアが縁の下を支えてくれた。


○小学校(東京都港区南山小学校、芝小学校/高輪台小学校、新潟県妙高市立妙高小学校と新井小学校)でのワークショップ、学校コンサート。

■昨年よりの継続テーマ ⇒ 「音楽で表現する楽しさを広げる」
 NYフィルの方たちだからこそ私たちに得られるものを検討すると、そこには日本人あるいは日本人音楽家とは違った「創造力」「発想力」「表現力」があるであろう。その要素をプログラムの中で展開し、児童や学校へ音楽という領域の親しみや見識をより高める。ハーモニーを題材に創作ワークショップを展開する。


○音楽家へのセミナー(ティーチング・アーティスト養成事業)

■音楽家に対して教育プログラムに関する研修をする。
 NYフィルの活動は子どもの創造力を高め、可能性を引き出すというポイントを最重点にプログラミングしている。研修では子どもとのコミュニケーションで、どんなポイントに注意して話し、プログラミングをしたらよいか演習していく。研修生はオーディションの後、次に事業に参画していく。

 ※来年のNYフィル来日公演にて教育プログラムに参加する。
 ※東京国際フォーラムとの連携で、ラ・フィル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭の教育プログラムでも活動する。


○パネルディスカッション

■フリートークによるディスカッション。
 総合的な学習、地域文化振興活動に有益な音楽家像を踏まえ、どのような芸術教科(活動)の実践が思考性ある人材教育になるか考える。

 オープニング・スピーチ:
‐アメリカ大使館文化・交流担当官 デール・ラージェント氏

 パネリスト: 
‐田村徹 氏(作曲家)      
‐セオドール・ウィプルドゥ氏(作曲家)ニューヨーク・フィル教育部門ディレクター
‐小倉信宏 氏(文化庁 芸術文化調査官)

 ファシリテーター:砂田和道(くらしに音楽プロジェクト事務局長/ティーチング・アーティスト)


○港区教育委員会主催事業 港区教育推進月間 記念講演会 

■教育特区の港区が推進する「国際理解教育」に関する講演会に続き。
 区立小学校へ、なるべく英語のみの使用でワークショップを進め、「英語と音楽」を通じて児童たちの理解力、創造力といった思考力を高め、コミュニケーション向上を試行する。

子供たちとワクワク・ドキドキ・コンサート「サウンドワールド〜音の世界」−NYフィルのティーチング・アーティスト− | <center>公開ワークショップで開演挨拶するNYフィル教育ディレクター、TedWiprud氏</center>
公開ワークショップで開演挨拶するNYフィル教育ディレクター、TedWiprud氏
 そして、来年2009年、10月、何とか実現したいのが、バーンスタインの精神を引き継ぐ、NYフィルによる日本初公演のYoung People’s Concertの開催。もし、そこで児童たちがNYフィルと共演できたらなんと素晴らしいことだろう。

 関連拙稿:
 ・NYフィルの贈り物−日本の小学校で楽しいワークショップ
 ・バーンスタインを巡るRight(英語教育ニュース)

子供たちとワクワク・ドキドキ・コンサート「サウンドワールド〜音の世界」−NYフィルのティーチング・アーティスト− | <center>バーンスタイン、NYフィルの「Young People's Concert」</center>
バーンスタイン、NYフィルの「Young People's Concert」
参考記述

■出演者たちについて
 NYフィルのティーチングアーティストは、リンカーンセンターインスティチュート、ジュリアード音楽院、カーネギーホールの教育プログラムの中枢の頭脳としてアメリカの教育プログラムをリードしている。そしてイギリスを始め世界各国の教育プログラムに多大な影響を与え続けている。NYフィルの教育プログラムは1880年代から実施されており、バーンスタインで有名になったYoung People’s Concertは1924年から始まり、1950年代後半からテレビ放映でバーンスタインが名声を高めた。

■平成21年(2009)度における私達の展開    
 1.日本を代表する音楽祭、ラ・フィル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭の教育プログラムに日本人音楽家研修生を登用
 2.「地域社会で求められる創造的人材養成のためのシステム開発に関する基礎的調査研究」をNYフィルと国際共同研究を開始
 3. NYフィル団員とティーチングアーティストによる作曲ワークショップを小学校で実施
 4.ティーチングアーティストによる小学校への教育プログラムの展開/ティーチングアーティスト養成研修
◇ ◇ ◇

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[39062] あるビジネスマンからのコメント
名前:浜地道雄
日時:2008/11/17 18:56
ご家族四人で来られたあるビジネスマンから
こんなうれしいコメントをいただきました:


家族皆のりのりで、恥ずかしがりやの次女も大きな声で音楽家の皆さんや司会の方の質問に手を挙げて答えていました。
彼女は「音楽のお兄さん、お姉さんと遊びたかった。」ともらしていました。
ピアノと声楽をやっていた妻もレベルの高さに驚いていました。
皆で楽しむことができました。心よりお礼申し上げます。