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警察権力の腐敗の実態を正面から描いた社会派映画「ポチの告白」(高橋玄監督)の公開に先立つ1月22日、原案協力・出演者の寺澤有氏がトークイベント「対決!! 公安 VS 右翼 〜北芝健と鈴木邦男の邂逅」で作品の意義を語った。 「対決!! 公安 VS 右翼」は元警視庁刑事の北芝健氏、一水会顧問の鈴木邦男氏、寺澤氏を迎えて、東京都杉並区にあるライブハウス・阿佐ヶ谷ロフトAで行われた。「ポチの告白」は警察不祥事を精力的に取材している寺澤氏がさまざまなエピソードを提供して一つのストーリーにした映画である。 作品は2005年に完成したが、3時間という大作で、回転率を高くするために短い作品を好む映画館の傾向から公開する機会がなかった。「靖国 YASUKUNI」の配給で知られたアルゴ・ピクチャーズが配給し、1月24日から新宿K's cinemaで公開される。 寺澤氏はトークイベントで「映画には記事に書いていない裏話も載せた」と語る。映画の内容はすべて実話に基づいているとする。現実の方がエゲツなくて、逆に嘘くさくなるから止めようとなったほどという。警察官を「ポチ」呼ばわりすることに反感を抱く警察官もいるかもしれない。しかし、映画を観れば、日本国民全体が強い者になびく「ポチ」になっているとの警鐘だと分かってもらえると語った。 映画を観た鈴木氏は「3時間は長いと思ったが、あっという間でした」と感想を述べた。「短い映画で回転率を上げる中で、3時間もの作品を発表することは勇気がある。成功していますね」という。 これを受けて寺澤氏は、映画館に受け入れられるようにするために短縮版も作ったという裏話を披露した。しかし、「ポチの告白」の醍醐味は当初は真面目な警察官が段々と悪に染まっていくことである。何か大きな事件に遭遇して悪に一変するわけではない。警察組織で過ごしていくうちに悪に染まっていくという感じが短縮版では出せず、お蔵入りにしたという。 鈴木氏は「靖国 YASUKUNI」以上に問題提起する映画と絶賛した。「北芝さんも呼んで映画館でトークショーをやる。それが北芝さんの目指す警察の信用回復にもなる」と提案した。 今回のトークイベントは「北芝健の対決シリーズ第1弾」と銘打っており、北芝氏がホスト的な位置付けである。警察絶対擁護派を公言する北芝氏がホスト的な立場のトークイベントに、警察から取材拒否されたこともある寺澤氏が出演すること自体が異色である。北芝氏の懐の深さを感じさせた。 その北芝氏も警察の問題として、志布志事件については強く糾弾した。志布志事件は選挙違反の捜査で鹿児島県警が自白の強要や異例の長期勾留などを行った冤罪事件である。自白を得るために「踏み字」を強要した鹿児島県警のやり方を「同じ警察官と思えない。警察官である前に人間でない」と批判した。また、捜査を指揮した警部補1人だけが責任をとらされた結果も「トカゲの尻尾切り」とする。 あまりの剣幕に司会の御堂岡啓昭氏が「ここまで北芝さんが警察を批判するとは思わなかった」。その御堂岡氏からは「ポチの告白」に登場する悪徳警察官が実在の元警察官をモデルにしているのではないかとのイニシャル・トークも飛び出した。 イベント後半にゲスト出演した石原伸司氏(元暴力団組長・作家)も参加者からの質問に答える形で警察の問題を語った。警察の取調べを受けると体をガタガタにされてしまう。特に関西は酷いという。暴力的な取調べに対する暴力団側の対策についても石原氏は説明した。それは逮捕前に弁護士に裸の全身写真を撮影してもらうことである。これによって、留置中に傷ができれば警察官による暴行であると証明する。 イベントの最後で寺澤氏は「警察組織に顕著だが、日本は弱いものイジメがはびこる社会になっている」と警鐘を鳴らした。問題なのは自殺してしまうなど弱者もなされるままになっていることである。「弱者も一矢報いるようになれば、強者も少しは気をつけるようになるのではないか」と発言した。 私はマンション購入トラブルで泣き寝入りせず、売主の東急不動産と裁判で争った経験がある(「マンション販売トラブルで『お詫び』 東急リバブル・東急不動産」)。 トラブル当初の東急不動産の態度が正に消費者に泣き寝入りを強要する弱いものイジメの態度であった。それ故に一矢報いるようにしなければ変わらないという寺澤氏の発言は共感するところが大である。反骨精神から野心的なテーマに取り組んだ「ポチの告白」が世の中を変えるうねりとなることを期待したい。 関連サイト: ・「ポチの告白」オフィシャルサイト ・阿佐ヶ谷ロフトA 2009年1月スケジュール |