閑静な高級住宅街に加え、宝塚歌劇の街としても知られる兵庫県宝塚市。民間会社が実施した都市としてのブランドイメージ調査では「学術・芸術のまち」として全国2位になるなど魅力的な街として人気がある。その宝塚市で2代続けて市長が逮捕されるという不名誉な出来事が起こってしまったが12日、新しい市長を決める出直し市長選が告示された。
受託収賄罪などで起訴された阪上善秀・前市長(61)の辞職に伴うもので、前県会議員の伊藤順一氏(46)、会社役員の西田雅彦氏(44)、元市議会議員の芝拓哉氏(47)、元市幹部の中原等氏(63)、元衆議院議員の中川智子氏(61)、市会議員の菊川美善氏(69)の6人が立候補を届け出た。林立状態だが、いずれも無所属。政党色を出したがらない最近の首長選の傾向は今回市長選でも顕著に見られる。
6氏が林立する宝塚市長選(宝塚市内で)
新人6人が立候補を届け出たわけだが、いずれも無所属表明で政党色はさほど前面に出してはいないが、実質的には政党が支援する形もある。一転して「汚職の街」のイメージが強くなってしまったが、有権者にとって提供された材料の中で清潔な市長を選ぶことは非常に難しい。各候補者は同日、早速、町中に繰り出し支持を訴えた。行政や政治経験をアピールする候補がいる一方、若さや「政治は素人でも経営はプロ」などとあえて政治とは一線を画する姿勢を示す候補もいる。
2006年には今回と同じように、パチンコ店の出店にからんで800万円相当の高級乗用車を受け取ったとして、収賄容疑で当時の渡部完容・市長が逮捕されたのを受けて、出直し市長選が行われたが、汚職追放など清潔な市政推進を訴えた阪上前市長が任期を待たずに同じ汚職事件で失脚したことは市民に市政への不信感を植え付けてしまっている。
前回市長選の投票率は45・62%と同市長選の中では低率だった。今回も投票率が低迷すれば、突出した候補者が見あたらない中で、どの候補者も有効投票者数の4分の1の法定得票率を得られなかった場合は、再選挙となる可能性もある。選挙での主張や選挙公報だけでは人物が清潔なのかどうかは分からない。投票した市民の誰もが、まさか2代続けて市長が逮捕されるなどということは想定外だったに違いない。
宝塚歌劇の町としても知られる(同)
前回市長選の年に宝塚市が実施した「市民意識に関するアンケート調査」では、市長が逮捕されたが、市内に「事情が許せば住み続けたい」と回答した割合がおよそ7 割を占め、「現在の住居は変わりたいが引き続き宝塚市内に住み続けたい」と答えた人と合わせると8割以上が今後も定住する意識を持っていることが分かった。一方で、身近な開発行為に対する市の手続きの透明性確保については、「あまりできていない」「できていない」の回答割合が37.9%に達した。「分からない」と回答した人も34.7%おり、開発がらみの汚職が顕在化したことへの不信感が鮮明になっていた。
市内では今、ゴールデンウイークにかけて各地でフリーマーケットやコンサートなどが開催される「宝塚スプリングフェスタ」が行われている。イベント会場では家族連れなどで賑わうが、こと市政に関しては大阪や神戸方面に通勤する世帯が多数を占める地域だけに、どれだけ関心を高められるかで市長選の動向も左右される。最大の争点は腐敗の再発防止と開かれた市政を具体的にどう市民に示せるかだ。
関連リンク:
宝塚市長選挙(市選挙管理委員会