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私は11月3日、下記の手紙を各党党首に送りました。 ◆ ◆ ◆ (本状発出先) 自民党 小泉純一郎 総裁 民主党 岡田克也 代表 公明党 神崎武法 代表 共産党 志位和夫 委員長 社民党 福島瑞穂 党首 平成16年11月3日 村田光平 (東海学園大学教授・元駐スイス大使) 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 今月2日付各紙は、原子力委員会が長期計画策定会議での審議を踏まえ、使用済み核燃料を再処理する方針を決めたと報じております。 下記の重大な諸問題を抱えた今次決定は白紙に戻し、この際、核燃料サイクル政策を国会の場で審議されますようお願い申し上げます。 [国民の安全確保] これまでの審議では、国民の安全を確保することを最優先する姿勢が全く欠けております。再処理工場の危険性については次の諸点が指摘できます。 (1) 六ヶ所村の再処理工場は、配管の長さが総計1500kmに及び、溶接箇所は40万箇所を超える。市民の直感からも、このような施設の安全を長年に亘り確保することは不可能と言える。現に、300箇所以上の不正溶接の発覚等々、ズサンな管理体制が表面化している。 (2)1976年7月、ケルン原子炉安全研究所は、再処理工場で万一冷却施設が不能になると、爆発によって工場の周囲100kmの範囲の全住民が、致死量の10倍から200倍の放射能を浴びて即死、最終的死亡者の数は人口の半分にのぼる可能性があるとのレポートを内務省に提出している(1977年1月15日付毎日新聞)。これを根拠として、六ヶ所村の再処理工場については、最悪の場合、原発1000基分という人間の想像を超えた事故となり、その場合、世界の人口の半分近くの犠牲者を生むと言われている。 (3)使用済み核燃料の再処理は、原発自体よりも環境への放射能放出が大きく、原子力施設の中で最も環境的に問題がある工程であることが常識化している。イギリスの核燃料会社(BNFL)やフランスの核燃料会社(COGEMA)の再処理工場の周辺では小児白血病が増えており、またその環境中の放射能レベルが非常に高いことが、データや統計により示されている。 (4)パリに本拠のある市民科学者組織ワイズ・パリのマイケル・シュナイダー博士は2001年秋に東京で講演し、英国のセラフィールド及びフランスのラアーグの再処理工場が事故を起こした場合の被害は、チェルノブイリの数十倍であるというワイズ・パリの調査結果が、同時多発テロの直前に発表されたと述べている。 (5)私も出席したスイス・バーゼルでの「核戦争防止のための国際医師団」主宰のシンポジウム(2002年4月)において、各国から出席した専門家(ベルギー環境大臣、フランス国務大臣政府顧問を含む)は、原発及び再処理工場をテロ行為から守ることは実際上不可能であるとの意見が大勢を占めた。 [国会審議の必要性] 策定会議における今次決定においては、出席した22人のうち明確に直接処分を主張したのは1名のみだったと報じられております。このようなメンバー構成の策定会議が、将来、数十兆円規模の経費が見込まれる核燃料サイクル政策の帰趨を決めることは、明らかに不適切です。これまで同政策が本格的な国会審議を経てないということは異常であり、この際ぜひ是正すべきものと思われます。 [重大課題を先送りする倫理と責任の欠如] 未来の世代の人々は、現在の核燃料サイクルに見られる倫理と責任の欠如に激怒することでしょう。先送りされようとしている重大課題を列挙すれば、次の通りです。 (1)すでにわが国は内外に40トンのプルトニウムを保有しているのに、再処理でさらに生じるプルトニウムをどうするのか。猛毒なこの物質を増やし続けることは、未来の世代に対する罪悪ではないのか。 (2)プルトニウムを燃やす高速増殖炉は、実用化の目途が立っていない。 (3)既存の原発でプルトニウムを使う「プルサーマル」計画も、住民の反対により実施困難となっている。 (4)再処理に踏み切っても全量再処理はできないのならば、見切り発車は無責任ではないか。 (5)再処理で生じる高レベルは放射性廃棄物をどう処分するのか。 (6)さらに、再処理工場が製造するMOX燃料(ウラン・プルトニウム混合燃料)の加工工場も、着工すら目途が立っていないのが現状である。 (7)再処理工場が事故を起こした場合の費用、工場廃業に要する費用等はどうするのか。 [動き出した世論・マスメディア] このように難問が山積する中で、ウラン試験を実施することは到底容認できないはずです。これにより1500kmの配管が放射能汚染を蒙り、その浄化に兆円規模の経費が必要になると言われているのです。 このたびの新潟中越地震は、これに放射能災害が重なった場合の恐ろしさを連想させるものであり、世論とマスメディアは原子力関係施設の危険性に目覚めつつあります。 8月9日に発生した美浜原発事故により「安全神話」は崩壊したと言えましょう。関西電力のズサンな管理体制(10月25日付共同通信は、火力発電施設での自主点検データの捏造、基準値改ざんなどの不正、誤記などのミスの総数が8163件にのぼったと報じている)が表面化し、他の電力会社の体質にも疑問が提示されております。 国民の安全確保への配慮を最優先しない現在の原子力政策は、転換を求められております。今こそ政治の出番と考えます。各党におかれましては、何卒ご深慮いただき、超党派的立場から早急に核燃料サイクル政策の見直しに取り組まれますよう、心からお願い申し上げます。敬具 村田光平・公式ホームページ http://homepage.mac.com/kurionet/murata.html |