国土交通省(東京・霞ヶ関)
【大臣認定プログラム利用でミス見逃しの恐れ】
昨年6月に、構造ソフトの星睦廣社長が「非認定プログラムよりも大臣認定プログラムの方が、運用によっては
危険な存在になり得る」と指摘している。プログラムのバグの扱いに関して「プログラムに小さなミスがあった場合に、認定取り消しといった重罰が課される。メーカーにとっては死活問題」と懸念を表明するなど、問題点を指摘している。
さらに、
「大臣認定と同等以上のソフトを非認定プログラムとして市場に出した方がより安全で、構造計算書の偽造を防止する本来の目的を果たせる」とまで語っている。
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大臣認定プログラム利用でミス見逃しの恐れも、構造ソフト社長が会見/Kenplatz
し か し ……
【焦る国交省 大臣認定プログラムを仮認定】
昨年6月20日に施行された“改悪建築基準法”に対応する構造計算大臣認定プログラム。これは、設計業界の常識で考えれば、昨年初頭には供給されてしかるべきだったものだ。なのに、法施行日の6月20日に間に合わなかったどころか、国交省が07年の年末までにはと言っていた予定も狂った。この1月に至っても
認定されたソフトはいまだ1本もない状況に陥っている。
そこで国交省は非常手段に出た。
1本の構造計算プログラム(最も先行しているというNTTデータ製)を「仮認定」する。その上で、民間の設計者や確認検査機関の協力を得て試行的にプログラムを使用し、ソフトウエアの不具合の確認(バグ・フィクス)等を行っていくのだという。1月21日を目途に仮認定し、試行利用を開始するというのだが……。
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大臣認定構造計算プログラムの試行利用の開始について/国交省
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NTTデータ製の構造計算プログラムを仮認定へ/Kenplatz
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耐震偽装をシャットアウト 構造計算書作成ソフトを試行運用/産経ニュース
気になるのは、NTTデータへの“えこひいき”になるのではという問題だ。使い慣れたソフトを他社のものに変えることは簡単ではない。そのソフトによって作られた過去のデータ資産を保存する他、ソフトを変えれば1から習熟しなければならない。そのための後ろ向きの労力もばかにならない。
ソフトを乗換えるとは、そういうものだ。
構造設計事務所(建築設計事務所も)の多くは1人から数人で、経済的基盤は弱いからおいそれとソフトを変えることはできない。だからといって、業務が停滞すれば死活問題だ。
1本だけ認定された高価なソフトをしぶしぶ使わざるを得ない設計者も出るだろう。しかし、望んで乗り換えするのではない。
新しいシェアの固定化につながりかねないが、
なかば国による強制だ。
NTTデータは資本金1,400億、社員数9,000名に近い巨大企業だ。しかも国営企業のようなものだ。一方、構造計算ソフトの開発会社は、資本金数百万から1億円といったところ。社員数も多くて数百人だろう。
いったんシェアが変わったら、NTTデータの寡占状態になるかも知れぬ。空気が読めない・先が読めない国交省は、またまた“仲間うち”で利権を拡大しようというのか。姉歯元建築士が使っていた穴のあるソフトを認定した責任が、国交省と財団法人・日本建築センターにこそあるのだということを認識しているようには、とうてい見えない。
昨年6月19日まで通用していた認定プログラムは100本を超えていた。今回の「試行」は、ソフト会社の多くを倒産に追いやるだろう。
国交省はこんな利権にまで手を突っ込みはじめたのだ。いったい政治家はなにをやっているのか!
【相変わらずの冬柴“マリオネット大臣”会見】
冬柴国土交通大臣は、大臣認定プログラム仮認定の発表が行われた1月8日の記者会見で、相変わらずのマリオネットぶりを見せてくれた。官僚の糸に吊られた(脚本に乗った)言い訳ばかりだ。
大臣は、このプログラムが実用化すれば、構造計算適合性判定を伴う建築確認審査期間が半減するという甘い見通しを示した。「いままで70日を予定していたものが約半分ぐらいになると
聞いている」と述べた。
「聞いている」のは、市井の建築実務者からではなく、実務をなにも知らない官僚からだろう。相変わらずのリテラシー放棄だ。
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大臣認定プログラム実用化で確認審査期間は半減へ、冬柴国交相が見通し示す/Kenplatz
この記事の最後は、「07年秋以降、冬柴国交相の記者会見では、改正建基法に関連して釈明したり反省したりするコメントが目立った。07年最後の記者会見でも、大臣認定プログラムの完成の遅れや住宅着工戸数の激減などについて陳謝していた」。皮肉たっぷりだが同感!
記事に寄せられた読者のコメントから引用する。
(引用開始)
● 高校数学すらわかっていない、無試験でなった判定員がいる現状を正すべきではないか? また、大臣が釈明したり反省したりしているが、いずれも口先だけで
根拠のない楽観的見通しに対する責任をとろうとしない態度に憤りを覚える。
● 設計実務素人の役人の話や、実務から離れている偉い先生の話を鵜呑みにしているとしか思えない話です。構造設計は一貫計算プログラムで総てが自動的にできるものではない。また、
構造設計未経験者が適合判定員にいるとしたら恐ろしい。
(引用終り)
この2つのコメントでは、
構造計算適合性判定員の能力について疑問を提している。構造設計者として内情を把握しているからだろう。
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1月8日大臣会見
【緊急大募集! 構造計算適合性判定員】
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「構造計算の適合性判定員求む」、国交省が就業を要請
もともと構造設計者の数は少ない。少ないうえに、国交省が原因の混乱で疲弊しきっている構造設計者を提供できるわけない。なんと、先を見通せない人達なのだろうか。
先を読まない泥縄!
読者のコメントから
● 構造設計者があなた達のオカゲで嫌気がさしているのに、そんな要請に答えていたら、ますます設計の現場が動かなくなりますよ!
判定員の技術レベルを本当に確保してくださいよ!それと、もっと大切な倫理レベルもね!問題起きたら責任とってよね、国交省さん。何から何まであなた達の責任なのだから。
【『官製不況』で世界に認知された“戦犯” 国土交通省】
(引用開始)
各方面から「最大の戦犯」と名指しされるのは国交省だ。
……改正法では、建築確認の申請後、これまでとは違って書面の差し替えが認められず、変更点がある場合は原則的に再申請をしなくてはならない。
このため理屈の上では、設計者側は申請前に完璧(かんぺき)な図面や構造計算を求められる。審査する自治体や民間確認検査機関側も微細なチェックに追われ、「明確でない運用基準のもとで過剰反応が相次いでいる」(中堅ゼネコン幹部)という。
インターネット上で「建築ウェブ」を主宰する1級建築士の森山高至氏は「建築工事は工場での大量生産と違い、さまざまな条件を検討しながら進めていくもの。それが改正法では、いわば
『料理をする前に調味料のグラム数に至るまで全部決めろ』となった。
(引用終り)
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家が建たない 「国交省が引き起こした官製不況だ」/産経ニュース
一般メディアとしては、実に的を射た優れた記事といえよう。『料理をする前に……』は、言い得て妙!
小川富由国交省大臣官房審議官殿。
いまや海外では「KANSEI FUKYO」で通るようになったとのことです。ご同慶の至りでございます。