左より中山武敏、日隅一雄、田場暁生、杉浦ひとみ、の各申立人(参議院議員会館で筆者撮影)
イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故(2月19日)について、防衛省の説明は二転三転した。増田好平・防衛事務次官は
2月27日の記者会見で、事故直後に防衛相や事務次官の行った航海長への事情聴取の内容について「記憶がない」などと語り、虚偽ではないかと批判されている(その後も、事故をめぐる説明などが混乱をつづけている:
関連サイト・保坂展人)。
3月13日、中山武敏・弁護士、日隅一雄・弁護士ら8名は【何人も隊員に規律違反の疑いがあると認めるときは、その隊員の官職、氏名及び規律違反の事実を記載した申立書に証拠を添えて懲戒権者に申立をすることができる】とする「
自衛隊法施行規則・第68条」により、石破防衛大臣あてに「懲戒申立書」を提出した。
関連記事(田中龍作記者)で報じた公開質問状に回答がなされなかったことから、懲戒申立となった。
懲戒申立がされれば、防衛省は真相を究明し、懲戒の是非に関わらず申立人に事情を報告しなければならない。懲戒がされる場合、その詳細は防衛省に任される。事故の犠牲者や国民に対して、不誠実としか受け取れない増田次官らの対応について、申立人らは真相究明を期待している。防衛省に報告の義務が生じるため申立人は8名に絞られたが、懲戒申立の賛同者はすでに200名をこえ、ひきつづき賛同者を募集している。
(関連サイト)
申立に先立つ記者会見で、杉浦ひとみ弁護士は「重大な事件なのにも関わらず、防衛相はいい加減な国会答弁を繰り返し、事務次官らの記者会見も説明が二転三転する。このような不正義を黙っていてはいけない」と述べた。また、田場暁生弁護士は「事故直後のヒアリングについて『記憶にない』筈はない。航海長は事故の詳細も話したのではないか。メモの存在も明らかになった。問題は、メモの内容とヒアリングで話された事故の詳細だ。海上自衛隊はかつて、潜水艦・なだしおの事故でも証拠隠滅をはかった」などと指摘した。増田事務次官は、嘘をついていないのなら職務遂行の能力がない。申立はこの点を問題にしている。
「東京大空襲裁判」にも関わる中山弁護士は「1945年3月10日の東京大空襲は、翌日の新聞は被害の報道を一切しなかった。自衛隊の情報かくしは戦前の大本営発表に似てきていないだろうか」と危機感をあらわにした。また賛同者からは「あたごの事故は、戦前、警察と陸軍が対立し、軍部が台頭する結果となった
『ゴーストップ事件』に似ている。許してはいけない。海上保安庁の捜査を前に、海上自衛隊は口裏あわせを行ったのでは」などの発言もあった。
防衛省・自衛隊をめぐっては昨年以来、文民統制(シビリアンコントロール)が脅かされているという指摘が相次いでいる
(関連記事・黒井孝明記者)。この日も「あたごの事件でも、政治家や官僚が『国民に納得をしてもらう』という姿勢を見せていない。文民統制のみならず、民主主義も危機なのでは。戦前の軍部暴走への反省からなされた自衛隊員の懲戒制度を、いまこそ国民が活用する必要がある」などの指摘が相次いだ。
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