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■ 審議入りした「廃止」法案 後期高齢者医療制度の「廃止」法案の審議が29日、参議院の厚生労働委員会で始まりました。この「廃止」法案は、4月から導入された後期高齢者医療制度への批判が高まる中、野党4党が共同提出したものです。 野党は、2月末にも「廃止」法案を衆議院に提出していましたが、衆議院で多数を占める与党の「審議拒否」により、一度も審議されないまま制度が始まってしまいました。そこで法案を大きく修正した上で、今回の再提出となりました。 「差別的な制度」「姥捨て山制度」と酷評されるこの制度の廃止に向けて、期待が集まります。 ■ 野党に対する疑問 しかし、これまでの野党の対応にも疑問が残ります。 まず、2月の「廃止法案」について、なぜ参議院ではなく衆議院に提出したのか、ということです。もし、あのとき参議院に提出していれば、少なくとも一度も審議されないという状況に陥ることはなかったはずです。 「政局優先」と言われる民主党としても、この問題について制度の導入前から与党との対決姿勢をもっと強く打ち出せば、より多くの支持を集めることができたでしょう。それを、わざわざ与党優位の衆議院に提出したことについては、本気で制度を止める気があったのだろうかと疑いたくなります。 また、なぜ再提出が今頃になったのか、ということもあります。通常国会は6月15日に会期末を迎えますので、残された日数はわずかです。 しかも与党は、今回も既に衆議院で否決する姿勢を示しています。衆議院での審議入りさえ微妙な状況で、法案成立はかなり厳しいと言わざるを得ません。なぜ、もっと早く法案を出さなかったのでしょうか。 ■もともと「廃止」法案に消極的だった民主党 実は、民主党はこの「廃止」法案提出に、あまり乗り気ではありませんでした。元々「2年後の見直し」を目ざしていたのです。 07年の参院選のマニフェストを見比べれば分かりますが、民主党はこの後期高齢者医療制度については何も触れていません。参議院で民主党と統一会派を組む国民新党も同様です。 共産党は、この制度の「抜本的見直し」を訴えていましたが、「見直し」の具体案は一向に見えてきません。 一方、社民党はこの制度について「凍結」、つまり「導入しない」ことを掲げました。 すなわち、制度自体を「廃止」しようというのは、元々は社民党の主張であり、政策だったのです。 実際、この2度の「廃止」法案は、社民党が民主党に対して「こんな制度を2年間も放置するのか」と迫り、ようやく提出されたものでした。 ■ 民主党内の事情 前述の通り、民主党ははじめ、与党優位の衆議院に提出し、結局は法案を「見殺し」にしましたが、これには民主党内の事情もありました。 参議院に法案を提出するのは、参議院議員でなければなりません。法案提出者は審議の中で、質問に対する答弁にも立たなければなりません。政府の答弁ならば官僚が原稿を用意してくれますが、野党は全て自分たちでやる必要があります。 民主党は04年、07年の参院選で勝利し、ついに参議院で第一党となりましたが、その多くが新人議員で占められています。答弁にも立つとなると、新人議員には荷が重い仕事です。 また、当時、民主党は他にも法案を提出しており手が回らなかったということも、理由の一つとしてありました。昨年の臨時国会で、国民新党が主張していた、郵政民営化見直し法案の提出を渋ったのも同じ理由からでしたが、このように民主党は自分たちの主張ではない法案に手を取られるのを嫌ったのです。 ■ 最後まで全力で 民主党が昨年の参院選で「国民の生活が第一」と訴えたことは記憶に新しいところです。しかし、こうして見てみると、本気でそう思っているのかどうかは疑問です。 いま、この後期高齢者医療制度、特に年金からの保険料「天引き」は、多くの国民を不安に陥れ、その生活を脅かしています。今回「廃止」法案を提出した以上は、何としても成立させてもらわなければなりません。 民主党には今度こそ、法案も、国民の生活も「見殺し」にすることなく、最後まで全力で取り組んでもらいたいものです。彼らが「第一」と宣言した、多くの国民の生活が懸かっているのですから。 ◇ ◇ ◇
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